
| ビートルズの3rdアルバム。ご存知ビートルズの初主演映画「A HARD DAY`S NIGHT」(邦題「ビートルズがやってくるヤァ ヤァ ヤァ」)のサントラ。映画に使われたのは1〜7まで。3作目にして初の全曲オリジナルで占められ、加えて全曲レノン=マッカートニー作による唯一のアルバム。フル・オリジナルというのは当時としては、まさに画期的な出来事であった。それまでの音楽業界における楽曲制作システムはといえばプロの作曲家がいてそれを歌うプレイヤー達がいた。両者は完全に分割されていて、プロの作曲家たちの制作した楽曲が音楽業界を支配していた。そんな確固たる業界のシステムがビートルズの台頭であやうくなり、さらにこのアルバムの発表で完全に崩壊してしまう。 「こんなバカ騒ぎは半年持てばいい・・・1年も2年も続くなんて全く思ってもいない・・・」大半の人々はそう思っていた。いや当人達ですら、そんな風に思っていたはずである。しかし、そんな杞憂とは裏腹に、ビートルズは確実に成長していった。ジョンとポールの曲への創作力はますます進歩し、雲が沸き出でるがごとく次から次へと名曲を生み出していく。最早、彼らに追いつこうする者すら存在せず、ビートルズは華麗なポップ・メロディーを書く最も優れた作曲家となった。演奏テクニックも格段に成長した。次から次と新しいコードを生み、また、新しい楽器を取り入れ、それまでのポップスの常識を覆すような革新的なメロディーやハーモニーを作り出していく。さらに録音機材(4トラック・レコーダーの導入など)の進歩が彼らのサウンドに厚みを加え、革新性に益々拍車をかけた。このようにビートルズの魅力の全てを盛り込み、また様々な意味で革新性を備えたこのアルバムは初期の最高傑作として”永遠”に聞き継がれて行くだろう。 レコーディングはジョージ21歳の誕生日の’64年2月25日に開始される。この年の前半は世界規模の人気へと加速していく時期と重なる為、前2作に負けず劣らずの猛スピードで行われた。12、5、2、6,3,4がこの順で4日間のセッションで完成された。その後、映画の撮影が4月24日に終了。しばらくの休暇の後、6月1日、2日に残りをレコーディングした。発売日は'64年7月10日(イギリス)。21週間連続全英No1を獲得。プロデュースはもちろんジョージ・マーティン。 |
| 一人よがりの曲解説 1、A Hard Day`s Night(ビートルズがやってくるヤァ!ヤァ!ヤァ!) ”ジャ〜ン”イントロのこの一発でマイッタ!って感じ。いつもながらオープニングは素晴らしい。アルバムのタイトル曲でシングルとしても大ヒットしたジョンの作品。ヴォーカルももちろんジョン。しかしミドルの部分のキーが高すぎてジョンの声が出なかったため、ミドル部分のみポールがヴォーカルを執っている。ジョージは12弦ギターを弾いている。またリンゴはボンゴも担当。ピアノはジョージ・マーティン。間奏のフレーズが早すぎて弾けなかったため、ジョージはテープ・スピードを落としてレコーディングしたと言われている。映画タイトルにも使われているこのフレーズ、タイトルが中々決まらなく、ある日リンゴがヘヴィーな1日を嘆いて呟いたこの言葉をメンバーが面白がって、そのままタイトルに用いたというエピソードが残っている。 2、I Should Have Known Better(恋する二人) これぞポップスの王道!これぞポップスの”ミドル・オブ・ザ・ロード”頭のどこをほじくれば、こんなに楽しくてカワイイメロディーが浮かんでくるのだろう?映画の公開当時、この曲と「If I Feel」のカップリングでシングル・カットされ、大ヒットした。日本人好みのメロディーが幸いしてか、このシングルが最も人気があった。どなたか忘れたが某評論家の方が、ビートルズ最強のシングル盤と評していた。哀愁漂うメロディーとジョンのもの憂いげなヴォーカルがマッチして、最高のポップ・ソングに仕上がっている。ジョンはギブソンのアコースティック・ギターを弾き、ハーモニカも担当。ジョージの12弦ギターも美しく、耳に心地よい。後年、ジョンは「何の意味もないただの曲」だと言っているが、そう思わせないところが、この曲の魅力とも言える!? 3、If I Feel(恋におちたら) ジョンの作った、美しい!美しい!美しい!バラード。ジョンとポールのハーモニーがとにかく素晴らしい。ジョージはここでも、印象的な12弦ギターを弾いている。 4、I`m Happy Just To Dance With You(すてきなダンス) これもジョンの作品。リード・ヴォーカルはジョージが執っている。「僕には歌うことが出来なかった」とジョン。あまりにもセンチメンタルな歌詞のせいだろう。しかしジョンはここでも、素晴らしいリズム・ギターを聞かせてくれる。それだけでも、聞く価値は十分ある。 5、And I Love Her ポール作、珠玉の名曲。稀代のメロディー・メイカー、ポール初の本格的バラード。この先、数多くのバラードの名曲を生み出していくポールにとって、ターニング・ポイントになったとも言える重要な作品。ジョージはガット・ギター、リンゴはボンゴを担当している。 6、Tell Me Why 再びジョンの作品。後年のインタビューでジョンは「映画用にもう1曲アップテンポの曲は欲しいという事になり、その場で急遽でっちあげた」作品だとか。ポップな作品だが、ところどころにR&Bっぽい雰囲気も漂う。ドライブ感が素晴らしい。日本では、4とカップリングでシングル・カットされている。 7、Can`t Buy Me Love ポールの作品。”ロックン・ローラー”ポールの魅力が、余すところなく発揮された豪快なロックン・ロール・ナンバー。6枚目のシングルとして「You Can`t Do That」とカップリングで、’63年3月アルバムに先行して英米で発売。もちろん両国ともNo1。特にアメリカでは、上陸直後ということもあって、「ビルボード」で5週連続1位を記録。4月4日付「ビルボード」では、この曲をトップに100位中12曲をビートルズで占めるという圧倒的支持を得ていた。 8、Any Time At All ジョンの作品。前曲に負けず劣らずの豪快なロックン・ロール・ナンバー。オープニングに3度繰り返される「Any Time At All」の2発目の最高音部はジョンに変わってポールが歌っている。曲のタイトルを含んだミドル部分を冒頭に持ってくる手法は初期の頃に多く見られた。このアルバムで言えば、6や7などで聞き手に強烈なインパクトを与える。 9、I`ll Cry Instead(ぼくが泣く) ジョンの作品。元々は映画用に作られたが、あまりにも悲観的過ぎる内容のため、当初は使用されなかった。しかし、再上映時には、オープニングに挿入された。また、現在発売されているビデオにも収録されている。アメリカではシングル・カットされていて(B面は4)「ビルボード」で25位を記録している。シンプルなロカビリー・タッチのギター・リフを持つ作品で、ジョンがヴォーカルをダブル・トラックでレコーディングしている。 10、Things We Said Today(今日の誓い) ポールの作品。ヴォーカルとハーモニーもポールが一人で歌っている。マイナー・コードで始まりながら、途中でメジャー・コードに転調。その効果が非常に印象的なナンバー。イントロの「ジャカジャ〜ン」はその後、いろいろな曲に用いられていたような気がする。 11、When I Get Home(家に帰れば) ジョンの作品。R&B風のヘヴィーなナンバーで、ジョンの迫力あるヴァーカルが印象的。 12、You Can`t Do That ジョンの作品。「ウィルソン・ピケット風に作った」とジョンが言うとっても黒っぽいヘヴィーなナンバー。ヴォーカルはもちろんジョンが担当し、リード・ギターも弾いている。ジョージは12弦ギターでリズムを担当している。”ニルソン”がカバーし、そのカバー・ヴァージョンをいたく気に入ったジョンが、ニルソンに直接国際電話を入れたというエピソードがある。私の友人が加入していた”T−BIRD”というバンドが重要なレパートリーにしていた。 13、I`ll Be Back アコースティック・バラードのジョンの作品。「Runaway」でおなじみの”デル・シャノン”を意識して作ったと言われている。マイナー・コードの使用と滑らかなベース・ラインによって、ちょっとせつない哀愁感漂うナンバーに仕上がった。この歌詞、実はジョンの父”フレッド”に宛てたものと言われている。ジョンは'64年4月に、幼い頃の両親の離婚以来、行方不明であった父に再会しており、その気持ちを書きつずったもの。 |