LET IT BE
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 1、Two Of Us
 2、Dig A Pony
 3、Across The Universe
 4、I Me Mine
 5、Dig It
 6、Let It Be
 7、Maggie Mae
 8、I`ve Got A Feeling
 9、One After 909
10、The Long And Winding Road
11、For You Blue
12、Get Back
 録音の順番から言えば、「ABBEY ROAD」と前後するが、リリース順ではビートルズ最後のオリジナル・アルバム。2枚組アルバム「THE BEATLES」のレコーディングの際、メンバー間の感情的、音楽的見解の相違などの対立が表面化。ビートルズは解散の危機に見舞われた。そんな危機を打開しようと、ポールはもう一度ビートルズを立て直すため、オーバー・ダビングを一切行わないライヴ感覚のアルバムを作ろうと考えた。また、そのレコーディング風景を撮影し、映画化、そのためのライヴも行おうと提案した。こうして’69年1月2日から”原点のもどる”という意味合いを込めて「GET BACK」と名付けられたセッションが開始された。
 その際、録音された楽曲は100曲以上、フィルムの方も膨大な量が残された。なお、この時のプロデュースはかのジョージ・マーティンではなく、実質的にグリン・ジョンズであった。(彼は当時エンジニアとして活躍していたが、’70年以降、名プロデューサーとして大成する)ビートルズの4人は編集には一切かかわらず、グリン・ジョンズに全て任せる。大変な労力を伴いながら、G・ジョンズは一旦アルバム「GET BACK」としてまとめる事に成功し、後はリリースを待つばかりというところまでこぎつけた。しかし「ABBEY ROAD」が先にリリースされ、また、「GET BACK」の方は映画と一緒にリリースという戦略が採られていたため、フィルムの編集待ちとなる。しかしフィルムの編集は遅々として進まず、ズルズルと時間だけが過ぎてしまった。その後もリリースされる事なく遂に幻のアルバムと化してしまう。
 ’70年ジョンとアラン・クレイン(当時、アップルの新経営者として招聘されていた。この人事を巡ってもポールと他の3人による激しい意見の衝突があった。)は、このセッションの編集を大物プロデューサーのフィル・スペクターに一任。ウォール・オブ・サウンド(音の壁)で知られるスペクターは得意のオーケストラを分厚くオーバー・ダビングさせたアレンジを施し、ようやくアルバムのリリースにこぎつけた。しかしアルバムは当初の目的、オーバー・ダブを行わない”原点にもどる”というコンセプトは失われ、また、グループはすでに事実上解散していた。

 このアルバムの世間一般の評価は決して芳しくはない。それどころか酷評さえ受けて、アンチ・ビートルズ達から格好の攻撃材料になっているとさえ言える・・・?アルバム全体のまとまりに欠ける、一貫性に欠ける、緊張感に欠ける、演奏が悪い、天下のビートルズも最後は甚だ寂しい終わり方をした・・・云々・・・So What!!それがどうしたと言いたい!今一度収録曲を見て欲しい!B・E・I・K等はビートルズ後期の代表曲と言えるだけではなく、ロック史上に残る名曲揃いである。並のグループであれば、間違いなく歴史に残る”大傑作”と大絶賛されたであろう。ビートルズだけに、少々の欠点でも鋭く指摘され、それが強い調子でバッシングされる。それが残念でまた悔しくてたまらない。私にとっては、そこにビートルズの楽曲があれば、その全てが名曲であり、全てがかけがえのない宝物である。最後に声を大にして言いたい!私は評論家でもビートルズの研究家(世の中には、そういう方もいらっしゃる)でもない。でもこれだけは断言できる私は世界1のビートルズ・ファンであると!!!!!
一人よがりの曲解説
 、Two Of Us
   ポールがアップルの新人グループ、モーティマーのために書いた曲。結局、モーティマーのバージョンはリリースされず、このセッションでビートルズによってレコーディングされることになった。
ジョンとポールがアコースティック・ギター、ジョージがエレクトニック・ギターを担当。ベースは入っていない。「僕ら二人は、やっと家に帰る気になったんだ」・・・ポールがジョンにビートルズに戻るように、強く促した曲と言われている。しかしポールは否定している。ファンを非常に複雑な心境にさせる罪な曲。

 2、Dig A Pony
   ジョンの作。映画の「ルーフ・トップ・ライブ」でこの曲が演奏されている。本作では、映画で使用されたテイクがそのまま収録されている。ただし、オープニングとエンディングにあったはずのポールとジョージの「All I Want I You」というコーラス部分がフィル・スペクターによってカットされている。ジョンのヨーコに対する強い思いのこもっている部分だけに、ジョンにとっても非常に残念ではなかったろうか?

 3、Across The Universe
   ジョンによる珠玉の名曲。’68年2月4日〜8日にかけて行われた、シングル「Lady Madonna」のセッションの おり、レコーディングされた作品で、ジョンはシングルでリリースしたがっていたが、結局ボツになってしまう。そのためジョンは”No One`s Gonna Change Our World”というタイトルでこの曲を世界野生動物保護基金救済のためのチャリティー・アルバムに寄贈してしまった。フィル・スペクターはここで、オリジナル・テイクにオーケストラを加え、またテンポもおとし、ポールのコーラス部分もカットしている。そのため、楽曲の良さを生かしきれず、ジョンの声も何かギクシャクして聞こえてくる。後にジョンがこの曲の出来を絶賛しているだけに至極残念。フィル・スペクターによる、オーバー・プロデュースの罪がここでも出てくる。

 4、I Me Mine
   ジョージの作。ジョージがポールの頭ごなしの厳しい注文を皮肉って作った曲。「僕が何して、どうしたって言うんだ?」と歌っている。ここでも、スペクターはオリジナル・テイクにリピート部分を加え、更にオーケストラをオーバー・ダビングしている。よっぽどオーケストラが好きなんだね・・・彼は

 5、Dig It
   ジョン、ポール、ジョージ、リンゴの4人による競作。ビートルズの4人にビリー・プレストン(org)、ジョージ・マーティン(マラカス)が加わってジャム・セッション風に楽しんでいるナンバー。オリジナル・バージョンは6分以上にも及ぶ。本作ではわずか50秒。どうせならもう少し長くして欲しかった・・・持ってもいないし、聞いた事もないが、一説には、海賊版では8分とも10分とも言われている。という事は、結構ノリまくってジャムってるんだから、もっとエキサイティングなプレイを聞けたんではないか・・・?

 6、Let It Be
   ポールの作。今更説明するまでもなく、ロックの大スタンダードとして確固たる地位を築いている名曲中の名曲。宗教的な歌詞と相まって、ポールのヴォーカルはややゴスペル調である。オーバー・ダビングなしの「一発録り」が基本のセッションということで、ポールがピアノとヴォーカルに専念している。そのためジョンがフェンダーの6弦ベースを担当。ジョージがテレキャスターのカスタムメイド・ギターでリード、ビリー・プレストンがオルガンで参加している。アルバムに先行してリリースされたシングルは、同じテイクが使用されたがスペクターはアルバム用にリミックスし直し、リード・ギターとドラム、オルガンを差し替えている、さらに切り貼りにより、最終部のリピートを1回多くしている。スペクターの仕事に関して、いろいろと批判の多い本作ではあるが、この曲の中間部における、リード・ギターだけは、シングル・バージョンよりもこのアルバム・バージョンの方が個人的には好き。シングル・バージョンは現在「PAST MASTERS VOL2」に収録されている。

 7、Maggie May
   リバプールの船員の間で歌われていた一種の春歌。このセッションで無数に録音されたアドリブ風のテイクの一つ。この様な雰囲気でもっと続けて欲しかったと思うのは私だけだろうか・・・。

 8、I`ve Got A Feeling
   ジョンとポールの共作。ポールのタイトル曲とジョンの「Everybody Had A Hard Year」の2曲を繋げて録音した。アルバム中最もハードでヘヴィーなナンバーでハイライトといっても良い。前後半でそれぞれが自分の作ったパートでヴォーカルをとり、最後には二つのヴォーカルが重なる。なかでもポールのヴォーカルは圧巻で、彼のベストといっても良い。イントロ部分で聞かれるジョンのリフも、ジョージのチョーキングを多用した荒々しいギターもこの曲ではなくてはならないもの、とにかくすべてが最高にカッコいい!!

 9、One After 909
   ジョンの作。デビュー前の、’57,8年頃に書いたという曲。'63年のシングル「From Me To You」のセッションで録音されたがボツになった(そのテイクは「ANTHOLOGY1」に収録)。しかしクォリーメン時代は彼らの定番レパートリーでライヴでは必ず演奏されていた。ヴォーカルは作られた当時のスタイルそのままでジョンとポールが担当している。全体に荒々しい演奏で「原点に戻る」というセッションの趣旨に則したものか?ビリー・プレストンのライヴ感覚溢れるオルガンは見事!演奏終了後、ジョンは「Danny Boy」を口ずさんでいる。好きだね〜ジョンはこういうの・・・。

10、The Long And Winding Road
   ポールの作。珠玉の名曲になるはずだったのが、スペクターがオリジナル・テイクにオーケストラとコーラスを加えた事で台無しにしてしまった曰くつきの作品。ポールは後に激怒した事でも知られる。確かに前半のピアノ・バラード風の部分はスタンダードといっても良いほどの出来だが、中間部のオーケストラが入ったあたりから退屈でしょうがない。歌詞の内容からいっても、この曲はイージー・リスニング風のバラードではないはず・・・。この曲のベストは「ANTHOLOGY3」で聞くことの出来る、オーケストラがオーバー・ダビングされていないテイク。

11、For You Blue
   ジョージの作。オリジナル・タイトルは「Because You`re Sweet And Lonely」。ブルーズっぽい粋な曲。ポ-ルはピアノを担当していて、ベースは入っていない。ジョンは珍しくスティール・ギターでスライドを弾いている。ジョージの優しげな歌声はいつ聞いても耳に心地よい。

12、Get Back
   ポールの作。ポールがジョンに早くビートルズに戻るように訴えかけた、ファンとしては何とも切ない作品。歌詞に出てくる、Jo-JoはジョンLoretta・Marthinはヨーコの事と言われている。このアルバムからいち早くシングル・カットされ、大ヒットを記録した。そのため、1年後にリリースされたアルバムに「GET BACK」とタイトルを付ける訳にもいかずアルバム・タイトルも「LET IT BE」に差し替えられてしまった。シングルのプロデュースはジョージ・マーティン。スペクターはここでも余計な事をしている。ベーシックは同じだが、ラストのリピート部分をカット、曲の冒頭とエンディングにメンバーのおしゃべりを加えている。
   しかしこの曲は、私のベスト3に入るくらい好きな曲。カントリー・ロックっぽい、ポップなロックンロールで、ジョンがリード・ギターを弾いている。リンゴのドラムもメリハリがあって良く、ビリー・プレストンは相変わらず、素晴らしいプレイを聞かせてくれる。映画でのハイライト・シーン”ルーフ・トップ・ライヴ”では、やはりこの曲が一番印象に残っている。