WITH THE BEATLES
 1、It Won`t Be Long
 2、All I`ve Got To Do
 3、All My Loving
 4、Don`t Bother Me
 5、Little Child
 6、Till There Was You
 7、Please Mister Postman
 8、Roll Over Beethoven
 9、Hold Me Tight
10、You Really Got A Hold On Me
11、I Wanna Be Your Man
12、Devil In Her Heart
13、Not A Second Time
14、Money
発売日        1963年11月22日(イギリス)    
プロデューサー   ジョージ・マーティン
 ビートルズのセカンド・アルバム。前作「PLEASE PLEASE ME」の大ヒット、そしてシングル・ヒットの連発で、最早ビートルズは社会現象となっていた。この時期のスケジュールは、それこそ異常とも言えるほど過酷なものであり、毎日のように続くイギリス各地でのライヴ、そして移動の合間の取材、その間を縫ってのTVやラジオへの出演等、尋常ではなかった。そんな超多忙な時期に録音された本作には、オリジナル8曲、カバーが6曲収録されている。レコーディングされたのは、7月18日と30日さらに9月11日と12日の計4日間。ファーストは1日でレコーディングした事から、単純に4日間もと思いたくなるが、実際には、超過密なスケジュールのためリハーサルもままならず、曲作りは移動の際にバスの中などで行われなければならない、ましてや、レコーディングでまる1日スタジオに篭るなどの時間的余裕などあろうはずもなく、そのためカバーが6曲という構成になったものと思われる。ファーストもオリジナル8曲、カバー6曲の構成が同じであるにもかかわらず、本作におけるカバー曲は7、8、10,14など有名曲が多く、またシングル・ヒットが1曲も収録されていない、それ故にカバー曲の印象が強いのであろう。アルバム全体の印象は一言で言えば”黒っぽい"というもの。ジョンのヴォーカルはどの曲をとっても素晴らしく、またワイルドである。このワイルドさがアルバム全体を”黒っぽく”させているのであろう。ポールはで早くも稀代のメロディー・メイカーとしての片鱗を感じさせてくれる。
 このアルバムのもう一つの特徴は、ロック史上に残る傑作と言われるアルバム・ジャケット。「ハーフ・シャドウ」という手法で撮られたもので、元々のアイディアはハンブルグ時代にスチュワート・サトクリフのガールフレンドだった”アストリッド・キルファー”によるもの(彼女やスチュワート・サトクリフについては、映画「バック・ビート」などに詳しい)。彼女は非常にセンス溢れる美大学生で、ビートルズのトレード・マークであるマッシュルーム・カットや襟なしスーツも彼女のアイディア。本作に使用されている写真はロバート・フリーマン撮影のもの。
一人よがりの曲解説

 1、It Won`t Be Long
  ジョンのリードとコーラスの掛け合いで始まるアップ・テンポのロックンロール。オープニングを飾るに相応しいナンバー。しかしこの時期、あくまでシングルが中心の時代のため不当に粗末な扱いを受け知名度の低いのが残念(このアルバムに収録されている多くのナンバーがそうなのだが・・・)。ジョン自身、シングル用に書いたのだが巧くいかなかったと発言しているが、具体的にどの部分を指すのか分からない。天才にしか分からないのか?「She Loves You」と同じ様に”Yeah”がキーワードになっている。その掛け合いがジョンの荒々しいヴォーカルにマッチして堪らなくカッコイイ。
 
 2、All I`ve Got To Do
  ジョンの好きなR&B風のバラード。ジョンのヴォーカルが渋い。

 3、All My Loving
  ポールが書いた名曲の中の1曲。日本では、シングルでリリースされ大ヒットしたものの、本国イギリスやアメリカではシングル・カットされていない。しかし「エド・サリヴァン・ショウ」に始めて出演した際に、この曲をオープニングに持ってきたため、何とカナダ盤のシングルが45位にランクされるという珍現象を引き起こしている。もっと沢山、輸入されていればNo1間違いなかったのに・・・。関税やら輸入制限やらの難しい問題があったのだろう・・・あの時期。聞きどころは、メロディーの良さは勿論の事、3連符を刻み続けるジョンの強烈なリズム・ギター。この曲をガチっとメリハリのあるものにしている。ジョージの”チェット・アトキンス”風のギター・ソロも印象的。
  昔、兄が持っていた「ホリリッジ・ストリングス」のアルバムでこの曲を聞いた時、余りの美しさに涙が出てきたのを覚えている。それほど美しいメロディー・ラインを持っているこの曲、ソング・ライター”ポール・マッカートニ”の片鱗を見せつけた重要なナンバーでもある。

 4、Don`t Bother Me
  ジョージが一人で書き、レコーディングした最初の曲。ジョンはタンバリン、ポールはクラベス、リンゴはアラビアン・ボンゴを担当している。

 5、Little Child
  ジョンの作品。ジョンがダブル・トラックでハーモニーをつけている。ポールはこの曲で始めてレコーディングでピアノを担当している。

 6、Till There Was You
  ブロードウェイのミュージカル「The Music Man」からの曲で、ポールがペギー・リーのヴァージョンを聞いて、レパートリーに入れたそうだ。ポールの相当なお気に入りらしく、ライヴでの定番でもあった。ラテン風のアレンジが印象的なナンバー。

 7、Please Mister Postman
  このアルバムのハイライトの1曲。オリジナルはモータウンのガール・グループ”マーヴェリッツ”で全米No1の輝いている。’74年に「カーペンターズ」のカバーもNo1を獲得。”ロコモーション”(「リトル・エヴァ」「グランド・ファンク・レイルロード」)”ゴー・アウェイ・リトル・ガール”(「スティーヴ・ローレンス」「ダニー・オズモンド」この2曲はいずれもキャロル・キング&ジェリー・ゴフィンの作品でこちらも凄い!)同様、オリジナル、カバー共にNo1を獲得した名曲中の名曲。にもかかわらず、世界的にもっとも有名なのは、シングル・カットもされていない(日本では「Money」とのカップリングでされている)ビートルズのこのヴァージョン。他のどのヴァージョンよりもカッコよく、圧倒的な迫力で迫ってくる。イントロのドラム一発からとんでもないグルーヴ!!直後の「Wait!」でもうメロメロ!ジョンのノリまくったヴォーカルとそれに絡むポールとジョージのコーラスも素晴らしい。「Twist And Shout」同様、カバー・ヴァージョンがオリジナル・ヴァージョンを超えてしまった稀有な例だろう。

 8、Roll Over Beethoven
  ジョージお得意のナンバーで、ご存知キング・オブ・ロックンロール”チャック・ベリー”のロックンロール・クラシック。ここでのジョージは素晴らしくカッコいい、切れ味鋭いヴァーカルは、デビュー前からこの曲で相当場数を踏んできたものと思え、抜群のグルーヴ感を漂わせてくれる。

 9、Hold Me Tight
  ポールの作品。デビュー・アルバム「Please Please Me」でもレコーディングされたが、残念ながらボツになってしまった。アレンジし直して再録音された。ポールのヴォーカルが中々良い。

10、You Really Got Hold On Me
  モータウンの大物”スモーキー・ロビンソン&ミラクルズ”が’62年11月にリリースし、全米8位にランクされた曲を'63年7月にレコーディングした、ほぼリアルタイムのカヴァー。ライヴでも’62年末にすぐ取り上げられたらしく、ビートルズのお気に入りの曲。ジョンとジョージが二人でメロディーとハーモニーを担当し、ポールが途中で加わるという珍しい作品。アルバム全体に言える事だが、この曲でのリンゴのシンバル音の大きさは格別。ピアノはジョージ・マーティン。

11、I Wanna Be Your Man
  ”ローリング・ストーンズ”のセカンド・シングル用にプレゼントされた曲。'63年4月頃に出会った彼らは、すぐに意気投合!まだオリジナルを持っていなかったR・ストーンズに贈られた。両グループのを比較すると、自分たち流のスピード感あふれるプレイで処理したストーンズのテイクの方がはるかに出来がいい。まぁリンゴに歌わせたところに密かなライバル心でもあったのかな?

12、Devil In Her Heart
  ビートルズのメンバーは余程ポップスやロックを聞きこんでいたのであろう。彼らのカバー曲をみると、無名のグループやシンガー、あるいは無名の曲にしばしば出くわす。この曲も”ドネイズ”というガール・グループのオリジナルで、原曲はほとんどヒットしていない。そんな曲を自分達流にアレンジし、見事に蘇らせるのもビートルズ一流の才能と言えよう。リード・ヴォーカルはジョージ、ジョンとポールがコーラスを担当。リンゴはマラカスも担当している。

13、Not A Second Time
  有名税とは中々厄介なもので、ビートルズの曲や歌詞、あるいはジャケット写真にいたるまでしばしば深読みされてしまって色々物議を醸し出す。そういう意味でこの曲は最初に有名税の餌食になった曲とも言える。本作の発売当時、「ロンドン・タイムス」の評論家”ウィリアム・マン”氏が「マーラーの『大地の歌』の静止和音と同じ」と言ったとか・・・。何のこっちゃ?楽譜も読めない(失礼!)彼らが何で”グスタフ・マーラー”なんじゃ!でも、それだけビートルズの影響力が大きかったって事だろう。

14、Money
  ジョン、大のお気に入り。オリジナルはモータウンの社長”ベリー・ゴーディー”が書いて”バレット・ストロング”がアメリカン・アン・レコードから'59年にリリース'60年にモータウンから再リリースされ全米23位まで上昇している。ビートルズは早くからレパートリーに取り上げデッカのオーディションでも歌っている。'69年にカナダのトロントで開催されたロック・フェスティバルに”エリック・クラプトン”らと参加した際にも歌われ、その熱唱が忘れられない。ラフなインストとジョンのワイルドなヴォーカルが絶品!エンディングに迎い吠えまくるジョンはまさしく史上最強のヴォーカリスト「JOHN LENNON」の真骨頂!