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| ジョージ初の本格的ソロ・アルバム。('68年にシタールを中心とした、インド音楽からなる「WONDER WALL MUSIC」を、’69年にシンセサイザーを主要楽器とした、インスト・アルバム「ELECTRIC SOUND」を発表している)ビートルズ時代、数多くの曲を書き溜めていたが、アルバムにつき2曲という暗黙の了解みたいなものが存在していた。そんな処遇に少なからず不満を感じていたのは事実であろう。本作には、そんな束縛から解放されたジョージの生き生きとした姿が随所に見受けられ、また、彼の才能が一気に開花した作品でもある。実際、「ビートルズが解散して、一番、得をしたのはジョージ!!」と評論家諸氏を唸らせた大傑作でもある。本作を発表する際、ジョンは「あいつは頭がどうかしちまったんじゃないのか?いきなり3枚もレコードを出すなんて。それにこの写真、まるで喘息にかかったレオン・ラッセルじゃないか」と随分ひどい事をいっている。それに対してジョージは「いろいろ否定的な事は言われていた・・・でも、何がおころうと、たとえそれが失敗に終わろうと、僕はただ”心の安らぎを得るためにやっていくだけ”と思ったんだ」と応えている。ここらあたりに、すでに神秘主義者、インド哲学の哲人然としているジョージの姿が見え隠れしている。しかし、ジョンの辛辣な批判にもかかわらず、シングル・カットされた「MY SWEET LORD」は大ヒット、アルバムも'71年1月に3枚組のアルバム(LPは3枚組)では史上初の全英、全米でNO1を獲得した。 プロデュースはフィル・スペクター。ビートルズの「LET IT BE」では酷評に晒されたスペクターではあったが、本作での彼は、本来の才能と力量を遺憾なく発揮している。また、豪華なゲスト・ミュージシャンの参加も本作の特徴の一つであろう。’70年代に入ってレーベルを超えた、大物ミュージシャン同士の交流が盛んに行われるようになった。大物ミュージシャンのソロ・アルバムが続々とリリースされる中で、参加ミュージシャンのクレジットを見るのも楽しみのひとつになったものである。参加ミュージシャンを見てみよう、リンゴ・スター、ビリー・プレストン、クラウス・ヴアマンらのビートルズ時代からの旧友たち、プロコム・ハルムのゲイリー・ブルッカー、スプーキー・トゥースのゲイリー・ライト、そして盟友エリック・クラプトン、デイヴ・メイソン、カール・レイドル、ボビー・ホイットロック、ジム・ゴードン、ボビー・キーズ、ジム・プライスらデラニー&ボニー&フレンズを通じて交流の出来た面々、名前を聞いただけでゾクゾクしてくる・・・。このデラニー&ボニー一派の参加が、本作を泥臭いスワンプ・ロック的サウンドへ導いているといっても過言ではない。「スワンプ・ロックとフィル・スペクター」というと意外な組み合わせだが、本作では、そんな危惧がまったく必要なく、とてもゴージャスで画期的なサウンドが展開されている。また、ジョージのソング・ライターとしての才能にも目を見張るところがある。もしこれらの楽曲がビートルズとして発表されていたら、どんな風に味付けされていたであろう?そんな想像をしてみるだけでも楽しみが倍増してくる。 ビートルズ解散後、それを待っていたようにいち早くソロ・活動を開始したジョージが、持てる才能をフルに発揮し、全身全霊を傾けて製作された本作は、’70年代初頭を飾る金字塔として現在もまったく輝きを失っていない。デジタル・リマスタリングされた本作には、「MY SWEET LORD」のニュー・センチュリー・バージョンが挿入されている。それを聞いていると、まだまだロックに対するエネルギーが衰えてないように思う。これからの活躍をますます期待していただけに早すぎる死が本当に惜しまれてならない。ジョージよ安らかに・・・・・。 |
| 一人よがりの曲解説 1、 I`d Have You Anytime ジョージとボブ・ディランの共作。新たな出発はゆったりしたこの曲で始まる。透明感たっぷりの音色は聞いていて気持ちが良い。リード・ギターはエリック・クラプトン(らしい?) 2、 My Sweet Lord う〜ん やっぱり名曲!!それだけにシフォンズの「ヒーズ・ソー・ファイン」の盗作だと訴えられての敗訴が残念でならない。(潜在意識における盗用とかで敗訴。訳が分からん)もともとは、ビリー・プレストンの為に書かれたものらしいが、余りに良い出来だったので、すぐさま自身で録音した。ポップな感覚が満載で勢いに溢れたエース級のナンバー。アコースティック・ギターのストロークの中に、突然フィル・インしてくるドラムスやベースなどは、まさに完璧!スペクターの真骨頂か!? 3、 Wah Wah アルバム全体のベスト・トラック。フィル・スペクターの「ウォール・オブ・サウンド」ここにあり!!空前絶後の「音の壁」に圧倒される。バックを勤めるのは、エリック・クラプトン、カール・レイドル、ジム・ゴードンらの、後の”デレク&ドミノス”勢。ハードでエキサイティングな曲だが、歌詞の内容はポールとの確執を含んだシニカルな内容で、ファンとしては複雑な心境になってくる。やっぱり解散直後のこの頃は、メンバー間での非難の応酬が相当激しかったようだ。ポールの「トゥー・メニー・ピープル」やジョンの「ハウ・ドゥ・ユー・スリープ」しかり、そしてジョージのこの曲と・・・できる事なら、発表して欲しくなかった・・・悲しくなってくる・・・。 4、 Isn`t It A Pity 前曲の激しさから一転、優しさ溢れるジョージの声が、まるで賛美歌を聞いているよう・・・。アルバムで2度、録音されている事でも分かるように、ジョージにとっても最重要な曲であろう。大仰なオーケストラの挿入はやはりスペクターらしい。 5、What Is Life 印象的なイントロで始まるこの曲は、日米ではセカンド・シングルとしてリリースされた。本国イギリスでは「My Sweet Lord」のB面、もったいない・・・。最もスワンプ色が強い佳曲。ここで問題です?顔と声とが最も一致しないのはだ〜れだ?答え1位”ニール・ヤング”2位”ジョージ・ハリスン”・・・ジョージのルックスからは、もっとワイルドな声を想像するのは私だけだろうか?どうしてこんな事を言うのかと言うと、この曲はもっと黒っぽい声で聞きたかったから・・・。もともとは、この曲もビリー・プレストンに提供するというエピソードがあったらしい。ジョージもソウルやR&B系のシンガーを想定して書いたのではないだろうか。まさか”オリビア・ニュートン・ジョン”が歌うとは・・・。 6、 If Not For You ボブ・ディラン作。しかしジョージが歌う事に全く違和感がなく、彼のオリジナルに聞こえる。ジョージは’70年5月1日、ディランのこの曲のレコーディングに参加。スライド・ギターを弾いたが、結局そのバージョンはリリースされなかった。その後、ジョージは再録音。本作に取り上げた。クラプトンがドブロを弾いている。 7、 Behind That Locked Door カントリー・タッチの曲。それもそのはず、リンゴのアルバム「カントリー・アルバム」をプロデュースした、本場ナッシュビルのスティール・ギター奏者のピート・ドレイクが参加している。しかし、スペクターの処理で、カントリー独特の泥臭さが消えており聞きやすくなっている。 8、 Let It Down これぞまさしく究極のスペクター・サウンド!エネルギッシュなイントロからジョージの気持ちよさそうなヴォーカルが入り、続いてダイナミックなコーラスへ。この場面転換のかっこ良さがスペクターの真骨頂。「LET IT BE」でも、こんな仕事をしていてくれれば、言うことなかったのに・・・? 9、 Run Of The Mill この曲はポールに向けたジョージからのメッセージ・ソング。ジョンほどの辛辣さがないのが救い。 10、 Beware Of Darkness バングラ・デシュのコンサートでの、リオン・ラッセルとのデュエットが思い出される。ジョージのソロからリオンのねちっこいヴォーカルに変わるところで、おもわず冷や汗をかいた・・・ 11、 Apple Scruffs アップル・ビルの前にたむろするグルーピーの事を歌った曲。途中に聞こえるハーモニカもジョージ。 12、 Ballad Of Sir Frankie Crisp(Let It Roll) ジャケットの写真はジョージが手に入れた、大邸宅の広大な庭園で撮影されたもの(当時のミュージック・ライフにジョージのこんなコメントが載っていた「この庭に大きな池を作りたいんだ!水はテームズ川からパイプラインで引くよ!」・・・ハハハ何んでもすれば・・・。)この石造りの大邸宅を作ったのが、貴族のサー・フランキー・クリスプ。 13、 Awaiting On You All アルバム中、最も「ウォール・オブ・サウンド」的な1曲。ジョージらしい宗教色の強い1曲でもある。 14、 All Things Must Pass アルバムのタイトルにもなったこの曲は、ビートルズの「ゲット・バック」セッションでもレコーディングされた。結局採用されずじまいだった。当時の弾き語りのデモは「アンソロジー3」で聞ける。それにしても、この2枚組CDのDISC1の構成は見事の一語に尽きる。スローな曲とエネルギッシュな曲を交互に持ってきて、聞くものを決して飽きさせない。壮大なジョージの音空間を堪能出来て、聞き終わったあとの爽快感がたまらなく心地よい。 15、 I Dig Love ジョージによる、黒っぽいナンバー。バックのハードなプレイに比べて、ジョージのヴォーカルは多少甘くてメロウな感じがする。中間部のスライド・ギターが、たまらなくかっこいい! 15、 Art Of Dying 本作に収録されている全ナンバーの中で、一番最初に書かれた曲。その時期はビートルズが「RIVOLVER」を発表した時期に重なる、’67年から’68年頃のようだ。なんとなく、当時の雰囲気が漂うロック・ナンバー。全編に渡って、クラプトンのワウ・ペダル・ギターが炸裂していて、グイグイと曲を引っ張って行く。後半のブラスは、スペクターの仕事らしい。タイトルの「死の芸術」がネックになって、リリースのタイミングを図っていたとも言われている。 16、 Isn`t It A Pity(Version Two) バージョン1とうって変わって、THE BANDを彷彿させる。 17、 Hear Me Lord 神への思いを荘厳に歌い上げた、ドラマティックなナンバー。スペクターのアレンジが素晴らしい。 18、 It`s Jonny`s Birthday 19、 Plug Me In 20、 I Remember Jeep 21、 Thanks For The Pepperoni アルバムのレコーディングの合間に行われたセッションの模様をまとめたもの。アナログ・LPでは、アップル・ジャムと呼ばれていた。リラックスした雰囲気の中、各メンバーが素晴らしいプレイを聞かせてくれる。18は当時大ヒットしていたクリフ・リチャードの「コングラッチュレーションズ」をパロッた、お遊び的なナンバー。19はジョージ、クラプトン、そしてデイブ・メイソンの3人による強力なギター・バトルが繰り広げられる。とりわけ、デイブ・メイソンの張り切りようがスゴイ!リズム・セクションは後の「DEREK&DOMINOS」の3人。圧倒的迫力で完璧に聞かせてくれる。20はクラプトンの愛犬”ジープ”からタイトルが付けられたと言われるナンバー。ビリー・プレストンのピアノ、クラウス・ヴアマンのベース、そしてジンジャー・ベイカーという珍しい顔合わせのリズム・セクションにクラプトンのギターが快調にドライブするブルーズ・ロック。ジョージはシンセサイザーを弾いている。ビートルズにシンセサイザーを持ち込んだ張本人だけあって、強力な個性の持ち主のバックの連中に負けていない。21は再び「DEREK&DOMINOS」のメンバーにデイブ・メイソンが加わって快適に聞かせてくれる。相変わらずメイソンのプレイが光っている。 |