













| マーヴィン・ゲイはモータウンを代表するシンガーとして、’60年代に数多くのヒットを放った。にもかかわらず、彼ほど過小評価されたソウル・シンガーはいないだろう。不屈の精神と勇気を持って、彼はモータウンのヒット曲製造システムを変えたのである。それまでの、モータウンは作曲チーム、プロデュース・チーム、そしてシンガー達と完全分離システムをとっていた。そんなシステムにかねて反発を覚えていたマーヴィンは自分で作曲し、そしてプロデュースをしてアルバムを製作したいとして会社と対立して行く事になる。’71年マーヴィンは社長のベリー・ゴーディーの反対を押し切って素晴らしいアルバム「WHAT`s Goin` On」をリリースする。デュエットを組んでいたタミー・テレルの突然の死による苦悩。泥沼化するベトナム戦争に対する憂い、スラムの子供たちの問題、深刻化する環境問題など今日的なテーマを、今から30年以上前に問題提起していたのである。モータウンのヒット製造システムは、レコードの購買層を意識して、社会的、政治的なメッセージ性の強いものは極力避けてきた、そういう意味でも「What`s Goin` On」は画期的なアルバムと云えよう。このアルバムが後のソウル・シーンに与えた影響は計り知れず、スティービー・ワンダーを始めとする多くのソウル・シンガーが触発された事は言うまでも無い。 「Let`s Get It On」は彼を一躍セックス・シンボルに仕立て挙げた。「What`s Goin` On」で見せたジャージーな雰囲気をすて、ソウル・シンガーとしての実力を見事に演出している。 「I Heard It Through The Grapevine」は’68年にリリースされた超強力盤!マーヴィンのオリジナル曲はないが永遠の名曲のタイトル曲をはじめ、モータウンの作曲チーム、プロデュース・チーム実力を知るには最適なアルバム。 「Greatest Hits」はタミー・テレルと組んだ最強のデュエット・チームの珠玉のヒット曲が、これでもか、これでもかと押し寄せてくる決定版。 |
| 稀代の名プロデューサー、フィル・スペクターの基に製作された、アイク&ティナの異色作。スペクターの特徴の一つである、”ウォール・オブ・サウンド”(音の壁)を知るうえで格好の1枚と言える。@はまさしく音全体が壁の様に押し寄せて来、ティナの熱唱も絡まって迫力ある曲に仕上がっている。アルバム自体はスペクターの名にふさわしいものではないかも知れないが、ファンにとっては必聴の部分が多々ある。 |
| ハリウッドのトルヴァドールとニューヨークのビター・エンドで収録された感動のライヴ・アルバム。オリジナル曲も素晴らしいが、キャロル・キングのCでの観客と一体となった大合唱は感動もの!ジョン・レノンのFは涙が出るほど素晴らしい。コーネリー・デュプリーやウィリー・ウィークスのバック・ミュージシャンのプレイも充実し、今では珍しくなってしまったダニー・ハザウェイの奏でるエレクトリック・ピアノも聞きもので、いつ聞いても楽しめる好盤。 |
| インプレッションズと共にあって、カーティス・メイフィールドは’60年代から’70年代にかけて最も刺激I的なシンガー兼ソング・ライターであった。また、プロデューサーとしても’60年代のシカゴ・ソウルを一人で支えるがごとき活躍を見せた。1970年にソロに転向し、自らのレーベル”カートム”を設立する。’72年に彼の大きなターニング・ポイントとなる大傑作アルバムをリリースする。それがここに紹介する「Super Fly」。当時、大流行していた”ブラック・ムービー”のサントラ盤。映画そのものは麻薬の売人を扱ったもので、たいした事はなかったが、このサントラが素晴らしく、映画共々大ヒットした。カーティスのいつもながらの多少鼻にかかったファルセット・ヴォイス、ワウワウを多用したギター、そしてコンガを前面に押し出した個性的なリズムが洗練された中にも、すごく”黒っぽさ”を感じさせる。Bとタイトル曲のHはシングル・カットされ大ヒットした。ここに紹介したCDは”RHINO”によるデジタル・リマスター盤。いつもの様に丁寧な仕事ぶりで、素晴らしい音に仕上げられている。特にAにおけるコンガの音色は恐ろしくクリアーで思わずサウンドに引きずり込まれて行ってしまう。出来たら解像度のはっきりしたスピーカーで聞いて欲しいものだ。とにかく素晴らしくカッコイイ曲の連続で、今聞いても古さを全然感じさせない。ソウルいや全音楽ファン必聴の名盤。 「People Get Ready」はインプレッションズ時代の代表作。名ヴォーカリスト”ジェリー・バトラー”の脱退後にリリースされた作品なので、彼らの全てではないかも知れないが、彼らの代表的名曲「People Get Ready」が収録されている。この曲、数多くのカバーが出ているが、TV・CMでロッド・スチュワートのバージョンがよく流れていたので、ご存知の方も多いであろう。 |
| '50年代から'60年代にかけて、メンフィスには注目すべき活動をしたレーベルが2社あった。オーティス・レディングを有するスタックスとアル・グリーン有するハイ・レコードである。エキサイティングなサザン・ソウルを展開するスタックスに対してハイはロマンティックなソウルを歌い人気を博した。その代表作が本作。ウィリー・ミッチェル=アル・グリーン=アル・ジャクソンの手によるタイトル曲@は滑らかな滑り出しから、押したり引いたりのアル・グリーンの歌唱が素晴らしく、永遠の名曲というに相応しい。ティナ・ターナーを始めカヴァーも数多く出ている。しかし、アル・グリーンのゴスペル・スピリットも忘れてはならない。ビージーズのFなどは、そんな彼のゴスペル・スピリットを十分堪能出来る、素晴らしい名曲に仕上がっている。現在も彼は牧師としてまたゴスペル・シンガーとして地道な活動を続けている。 |
| ’70年代以降のブラック・ミュージックを語る上で、絶対欠かせないミュージシャンたちの中で、最も重要な人物はスライ・ストーンであろう。スライはサンフランシスコの近郊の街に生まれ、地元のラジオ局でDJとプロデュースをやっていた。 ’67年に黒白、男女混成のメンバーでスライ&ザ・ファミリー・ストーンを結成した。ジェームス・ブラウンの革新的リズムを基礎にし、ジミ・ヘンドリックスや白人ロックをミックスして、ロックともソウルとも呼べない様なまったく新しいサウンドで「Dance To The Music」、「Thank You」などの大ヒット曲を次々と生み出していく。初期のスライの作品にはほとんど”アナーキー”といっていいような激しい精神とエネルギーが満ち溢れている。 「STAND!」はグループの代表曲が満載されている決定版。”ウッドストック”での熱唱が思い出されるBやタイトル曲@、D、Eなどはどれも大ヒットした。 「There`s A Riot Goin` On」は’71年にリリースされた彼らの最高傑作。社会的変化とスライの個人的な落ち込みなどから、これまでの楽観主義からは想像も出来ないような悲壮感溢れる多分に内省的な内容で、おそらく意識的に白人を避けている様に思える。C、Iはシングル・カットされ、共に大ヒットした。特にCはアルバム共々全米No1を記録している。いずれにしても、これほどパワフルなアルバムは知らない。このアルバム以降”ファンク・ミュージック”は大きな変化を遂げていく事になる。 「FRESH」は’73年のリリース。リチャード・アヴェドン撮影のジャケットがなんともカッコイイ!リズム・ボックスを多用した、サウンド面には聞くべきところは多分にあるが、Hのようなアメリカを代表するような明るくて健全な曲を、これ以上暗く歌えないように暗くアレンジしたところに、スライの挫折感を感じてしまう。これ以降のスライは精神的打撃が激しく、これと言った作品は全然リリースする事がなくなった。ある雑誌に”スライ・ストーンと書いて天才と読む”とあったが、今は昔・・・。 |
| テンプテーションズはモータウンの創設当時から活躍しているグループで、ヒット曲も多数送り出している。また、デヴィッド・ラフィンやエディ・ケンドリックスといった優れたシンガーも輩出している名門グループ。それなのに日本における取り扱いは極端に小さい。レコード店の店頭にも、まず彼らの作品はないし、また、例えあっても寄せ集めのベスト盤ばかり。悲しくなってしまう。私が本作を手に入れるのに、何年いや何十年かかったか知れない。日本でのCD化があったのかなかったのか知らないが、どれだけ探しまくってもなかったのは事実である。それで、あきらめ掛けていたのだが、つい最近、なんとなくアマゾンを覗いていたら、「貴方にお薦めのCDがあります」(アマゾンに登録している。最近CDを買うのはアマゾンばっかり)とあったので、開いてみると、なんとこの憧れのCDが載っていたのである。もちろん日本盤ではなくて実はイギリス盤。しかし、このCDは「Masterpiece」単独盤ではなく「A Song For You」との2 IN 1。最初は「何を余計な事を・・・」と思っていたが、これが意外と功を奏す事になる。 「Masterpiece」は’73年リリースで彼らのサウンド面におけるターニング・ポイントとなる最重要盤。前作のグラミー受賞作「オール・ディレクション」をさらに進化させた素晴らしいアルバム。全曲の作詞、作曲及びプロデュースをノーマン・ホイットフィールドが担当している。そういう意味ではN・ホイットフィールドの作品と言っても過言ではないかもしれない。タイトル曲Aなどは13分にも及ぶ大作にも関わらず殆どがインストルメンタルでヴォーカル・パートはわずかでしかない。こんな曲が堂々と収められるという事はやはりこのアルバムはホイットフィールドのものだからであろうか?しかしそうは言ってもBからEにかけてのテンプテーションズのヴォーカルも素晴らしく、バックとの一体感も見事。アレンジもすごくカッコよくて聞いていてゾクゾクする。 「A Song For You」はそれまでのテンプテーションズに見られるドゥー・ワップの系統をひくハーモニーを主体とした、オーソドックスなスタイル。それでも随所で聞かれるデニス・エドワーズのソロはとてもソウルフルで素晴らしい。新旧テンプテーションズを一気に聞く事で、彼らの音楽性の進化を感じ取る事がこのCDでは可能。2 IN 1 CDの成功例かも知れない。 |
| このCDも長年捜し求めていて、やっと手にいれたもの。 チャイ・ライツはリード・シンガーであり、ソング・ライター、そしてプロデューサーでもあったユージン・レコードに率いられて、繊細なバラードを悲しげな雰囲気で、またドラマティックに演出して「Oh Girl」や「Coldest Days Of My Life」などのヒットを放っていた。「Give More Power To The People」で彼らは華麗に変身する。ドゥー・ワップにスライ&ザ・ファミリー・ストーンに聞かれるファンキーっぽさを巧みに取り入れて、このアルバムを超一級品に仕上げている。タイトル曲のDやAは非常にリズミカルでカッコよく聞いていて楽しい。ぜひ一聴を!! |