ISAイーサ

歌声と作品には絶対の自信がある
だから人に感動を与えるためにチャレンジを続けたい

人前で歌うことがいつしか快感に

21歳とは思えない貫禄である。写真からはビョークのソロ・デビュー時をイメージさせる無国籍風のキュートなルックスを感じていたが、実際にイーサにあってみると166センチという身長が、北欧らしいガッチリした体格を強調する。そして、何より自分の音楽に対する姿勢と歌唱力が自信となって表情に表れている気がした。
「父親がミュージシャンだったから、子供の頃からポップス、R&B、ソウル・ミュージックなど、何でも家に流れていたわ。私はピアノを最初に習ったし、以前はクラシックかジャズのピアニストになることを考えていた。でも、16歳の時に学校の行事で人前で歌うことに快感を覚えてから、本格的にボーカル・トレーニングを受けてみたの」
「歌い始めたら、自分でも心地よかったけれど、歌うことで聴きに来ている人とコミュニケーションというか何か通じ合うものが感じられて、そして感動してもらうこともあって、いつのまにか歌うことが私の生きがいになり、心の源になったの」
16歳の時に、ヨーロピアン・ソング・コンテストで3位に入賞という経験もしている。好きなアーティストの名前を挙げてもらうと、ホイットニー・ヒューストン、マーヴィン・ゲイ、チャカ・カーン、スティーヴィー・ワンダー、アレサ・フランクリン、マックスウェル、そしてジョナサ・ブルック、ショーン・コルヴィンといったシンガー・ソングライターの名前も出てきた。地元スウェーデンのシンガーでは、ロビンとリサ・ネルソンが好きという。
「歌に魂が感じられて、とにかくすばらしい声、そしてひきつけられるようなメロディを歌える人が好き。声を一瞬聴いただけで、誰の声だかわかるような存在の、ね。それに今は心のこもっていない、コマーシャルでフェイクなシンガーが多いから、私は絶対に自分の経験を元にしたリアルな歌を歌っていきたい。私も何に自信があるかと聞かれれば、1に歌声で、2が楽曲だから。歌っているときこそ、生きているって実感できるし、そういう歌こそ人に感動を与えられると思う。歌詞の面では、ショーン・コルヴィンはすごく勉強になる。音楽に私の人生を反映させていきたいから、これからもっといろんなことにチャレンジしていきたい」

自分の声にあったメロディーを探して

高校卒業後はスウェーデンで一番といわれる音楽学校に通ってジャズを作曲する一方、ロビンなどのバッキング・ボーカルとしてツアーに参加したり、ライブハウスで歌うという日々が続いていた。やがて、イーサのボーカルは評判になり、スウェーデンの人気ソングライターや、ホイットニー・ヒューストンやシャニースを手掛けてきたテロン・ビールと知り合い、曲作りとレコーディングの準備を始める。そうして完成したのがデビュー・アルバム「Pretender」である。
アルバムは同郷のロビンも神様的存在のスティーヴィー、ワンダーも大好きという、イーサならではのポップ感とR&Bテイストが見事にミックスされ、スーッと抜けるようなシルキーなボーカルで魅了される。歌の内容はラブソングがメインだが、どれも彼女の誠実で純愛を重んじる性格が反映されている。友人の話を元にしたという曲でも、「経験することも大切だけど、必要以上に傷つくことはないのだから、もっと自分を大事にして」という、一般女性に向けてメッセージを込めているという。
「確かに誠実さや正義感は強いかもしれない(笑)。でも、私の音楽は堅苦しくないはずよ。私はシンガーとして、まだ第1歩を踏み出しただけ。人間的に成長しないと素晴らしい歌は歌えないし、もっと自分の声を探らないと自分なりのメロディは出てこないと思う。最終的にはジャズを歌いたいけど、ジャンルにこだわらずに歌っていくことに、今は一番興味があるわ」
明るさを持ったR&Bベースのアコースティック・ポップスが何よりの魅力。早く、自慢のボーカルという歌唱力をナマで聴いてみたいものだ。

FM fan No.12 P10,11より