ISA〜THE NATURAL SOUL VIBRATION〜
R&Bとポップス。スウェーデンからの期待の新人イーサのデビュー・アルバム 『プリテンダー』には、この2つのテイストが盛り込まれている。いかにもスウェーデンのヒット・チャートの主流を行く双方を取り入れた音楽性だが、曲作りのスタッフには地元の優秀なシンガーソングライター・デュオに加え、 ホイットニー・ヒューストンやシャニースを手掛けてきたテロン・ビールも参加。 じっくり話し合って曲作りからスタートしたとあって、本格派と呼べる内容の高さだ。特にR&Bをベースにしつつ、ポップなメロディをアコースティック・サウンドを乗せた「アンティル・ユー・ラブド・ミー」は、彼女のオリジナリティを感じさせる ナンバーだ。
「基本的にはジャズが好き。でも、とにかく歌うことが好きだったから、 いろんな音楽に挑戦してみたくて、今回はR&Bとポップスにこだわってみたの。日本盤は日本用の曲順になっているけれど、スウェーデン盤はまた違うから 両方聴いて比べてみてね」
スウェーデンで最高峰の音楽学校に通っていた彼女は、ジャズを作曲する一方、 ロビン等のバッキング・ヴォーカルとしてツアーに参加したり、ライヴハウスで 歌っていたり、毎日が大好きな音楽漬けという日々。好きなアーティストの名を挙げてもらうと、ホイットニー・ヒューストン、 マーヴィン・ゲイ、チャカ・カーン、スティーヴィー・ワンダー、アレサ・フランクリン、 マックスウェル、そしてジョナサ・ブルック、ショーン・コルヴィンといったシンガー ソングライターの名前も出てきた。
「歌に魂が感じられて、とにかく素晴らしい声、そして引き付けられるような メロディを歌える人が好き。声を一瞬聴いただけで、誰かの歌だか分かるような存在の、ね。 それに今は心のこもってない、コマーシャルでフェイクなシンガーが多いから、私は絶対に自分の経験を元にしたリアルな歌を歌っていきたい。私にも何に自信があるかと聞かれれば、1に歌声で、2が楽曲だから。歌っている時 こそ、生きているって実感できるし、そういう歌こそ人に感動を与えられると思う。歌詞の面では、ショーン・コルヴィンの歌詞はすごく勉強になる。音楽に私の人生を反映させていきたいから、これからもっといろんなことにチャレンジしていきたい。でも、最終的にはジャズをやりたいわ」
写真を見たときはあどけないルックスに思えたが、実際に会ってみると北欧人らしく体格もしっかりしていて、人生に積極的な人。けれど、内面はパワフルというより、彼女が 書く歌詞から感じられるようにとても誠実で、人との出逢いや交流を大切にする 実直な人に思えた。 特に女性に対して「もっと自分を大事にしなさい」というメッセージが多く、
「経験することは自分の人間としての幅を広げてくれるけれど、必要以上に 傷つく必要はないのよ」
とも力強く語ってくれた。今回のアルバムでも、もちろん自分のことを歌った曲もあるが、女友達に向けて書いた ものや、自分の周辺の恋愛話を参考にして書いた曲もあるという。R&B系の曲はマイナー調、ポップス系は明るいトーンの曲が多いが、必ずしも サウンドの雰囲気と歌詞の内容が一致しているわけではない。
「自分の気持ちやメッセージを伝えるのに、耳に入りやすいサウンドを選んでいるからで、 曲をきっかけに内容に興味を持ってもらえれば嬉しいわ」
自分の歌から生きることや愛の大切さをリアルに伝えていきたいと話すイーサ いろんな音楽にトライしていきたいし、先輩ロビンのように、
「北欧に収まらない音楽活動を世界各地でスタートさせたい」
と夢は大きい。
「日本でもできるだけ早くライヴを行って、自分のヴォーカルを聴いて欲しい」
と目を輝かせて話す。ぜひとも、早いうちにそれが実現して欲しい、楽しみな新人である。
インタビュー・文:伊藤なつみ
アルバム『プリテンダー』について
今作品がデビュー盤となる現在21歳のISA。スウェーデンのポップ・グループの キーボーディストを父に持ち、幼い頃から音楽に触れてきた彼女。ハスキーヴォイスで 歌われるサウンドは、スウェディッシュ・ポップとブラック・ミュージックが融合された新世紀のポップ&ソウル!ソングライティングにホイットニーなどを手掛けたテロン・ビールを迎えているあたりも、その才能が本物であることを感じさせられる。
WAVEのフリーペーパー「FLYER 5月号」より
情報提供:yukichiさん