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深夜のクラブと自由と個性と・・・ クラブ。 深夜。 音に揺られ・・・、身体を振動の中たゆたわせる。 不快なビート。 スゥイングのかけらもない。 ドスンドスンとした、不快なビート。 手のひらの上で皆を心地よく踊らせることこそ、D.J.の才能。 なのに、ただ 自分の呼びかけとあおりだけで、客をノせようとする。 なんて自己顕示欲の強い、へったくそなD.J.。 そう、今日のクラブはゴミカス。 そう、だからあきらめもつく。 もっと心地良いビートにノっていられるクラブもたくさんある。 けど・・・・・・。 振動が頭蓋骨をも揺さぶる中で、細切れの思考の断片だけが、散らばるように交錯する。 「ゴミ野郎、馬鹿野郎!」 女のコに声をかけ、手を触れ、唇に触れ、身体を合わせて踊ってみても、それでも、心の中では叫んでる。 「バカヤロー!」 心を消耗させるほどの音の嵐の中では思考も短絡的になる。 でも、思う。ニット帽の男達に、ピアスの男達に、スニーカーにダボズボンの男達に。同じように化粧して、髪をまとめてる女達に。 規律・協調性・画一性・没個性 これらに対するカウンターカルチャーを、これらに対する反抗を、レジスタンスを彼らが気取っているのだとしたら・・・、僕は苦笑し続けてアルコールをあおる以外にすべきことはない。 笑えるほどに、同じ格好の同じ顔の男達。 これが自由の証、個性の証だ!と「皆が全く同じように」叫ぶ。 そして、僕は彼らに叫びたくなる。 お前らこそ、画一性・没個性の海に飲み込まれてるよ!!。 何故、開き直れないんだろう?。「自由なんて、個性なんてない!」って。 こだわれば、主張すればますます自由から個性から遠ざかることに何故気づかないの?。 身体と精神が乖離していく中、思考だけがクリアになっていく・・・。 ビートは不快なまま。 女のコの手を引き壁際に連れて行く。 「どうかした?」 「・・・ここのD.J.苦手・・」 「うるさいだけだもんね。でも、もう少し踊ってくるね」 「どうぞ、ご自由に・・・」 僕は微妙な笑みを浮かべながら応える。 彼女は踊りの渦に呑まれてく。 僕は一人つぶやく。 「・・・どうぞ、ご自由に・・・・。そう、「自由」から自由になってください、みなさん・・・・」 |