【ニュース】ネットで暴走、夜露死苦、哀愁 2001年08月09日


 新聞などで、既に知っている人も多いでしょうが、以下の記事を。

朝日新聞サイトより

iモード「仮想暴走族」から脱退の少女に暴行 5人逮捕

 携帯電話の「iモード」を通じて結成した「仮想暴走族」から脱退した少女(16)に集団で暴行したとして、警視庁は、リーダーの愛知県内に住む無職少女(16)ら5人の少女を傷害容疑で逮捕した。リーダーは襲撃には加わらず、実行役の1人(18)に携帯電話をかけて「私の分もやって」と指示していたという。

 メンバーは少女ばかりで、全国に約30人いて「狂翼天使」を名乗っていた。しかし、だれもバイクや車を持っておらず、主に身辺雑記を電子メールで交換するのが活動の中心だった。

 少年事件課と麻布署の調べでは、リーダーを除く4人と中学1年の少女(13)は6月1日夜、東京都内に住む無職少女が海外留学を理由に脱退を申し出たことに腹を立て、東京都港区内の公園に呼び出して顔や腹をけったり、金属製の棒で頭を殴ったりして約3週間のけがをさせた疑い。中1少女について警視庁は、傷害の事実を児童相談所に通告した。

 グループは今年1月に結成。総本部を愛知県に置き、山梨、東京、大阪、滋賀、三重、大分の6都府県に支部を設けていた。「おきて」もあり、「仲間を裏切らない」「けんかの場合は全力で」などの約束事を決めていた。(23:00)



毎日新聞サイトより

<仮想暴走族>脱退申し出にリンチ 愛知や東京の少女5人を逮捕(毎日新聞)

 インターネット上で結成した「暴走族」から脱退しようとした少女を暴行したとして、警視庁少年事件課と麻布署は7日までに、東京都と愛知、神奈川、千葉県の少女5人(16〜18歳)を傷害容疑で逮捕した。少女たちは実際は路上を暴走したことのないネット上だけのグループで、メンバーは全国に約30人いたという。

 調べでは、少女らは6月1日夜、インターネット上で呼びかけて結成した少女暴走族「狂翼(きょうよく)天使」から脱退しようとした東京都港区の無職少女(16)を同区内の公園に呼び出し、金属性の特殊警棒で殴るなどして腕の骨を折る約3週間のけがを負わせた疑い。

 同グループは今年1月、今回逮捕された愛知県内の無職少女(16)がインターネット上で呼びかけて結成し、自らが総長に就任した。ほとんどの少女がバイクを持っていなかったが、メンバーらは、ネット上の専用ホームページで、「夜露死苦(よろしく)」「ハンパなやつは迷惑」などと互いに気合を入れ合う書き込みをして交流。メールや携帯電話で「いつか一緒に走ろう」「全国制覇しよう」などと話し合っていた。

 被害者の少女は、「海外留学するから脱退する」とメンバーに話したところ、ネット上で定めた「鉄則」の「仲間を裏切らない」に違反したとして、関東地区のメンバーらがリンチしたという。






 ネット上と現実が、妙なリンクをした事件です。


 ネット上だけで構成される「暴走族」。誰も車もバイクも持ってないのだという。


 ある意味、驚きに値する想像力です。


 「狂翼天使」という、暴走族らしい語彙力の貧困さは、この際、無視しましょう。ネットだと殺戮などという難しい字であっても間違えることもないでしょう(いや、殺陸とか書かれると痛々しいですが)。なかなか素晴らしいです。




 それはともかく、「いつかは一緒に走る」ことを考えていた人はいるにしても、大半のメンバーは、たぶん走ることに本当はそれほど興味はなかったのだと思うのです。

 「いつかは一緒に走ること」自体よりも、おそらく、「いつかは一緒に走ることを夢見ること」自体が彼女達の満足の対象だったのだと思われます。



 それは別に良いのです。夢見心地に居場所作りをすることも唯一の居場所でなければ魅力的です。
 「ここにしか居場所がない」は痛過ぎですが、「ここにも居場所がある」とネット上の空間にも自分の居場所を作るというのは、現代を生きる一つのスキルとしては意味があると思うのです。





 ただ、「暴走族ごっこ」の「ごっこ」性を、どこまで自覚していたのか、どこまで自覚できるのか、これが問題です。

 「ごっこ」性と言っても、現実とネットの区別という意味ではないです。

 この事件は、「現実と仮想の区別がつかなくなっている」などという超ありがちなキーワードで批判することは、危険でしょう。

 「ごっこ」とは言っても現実に向こう側に傷つく相手方がいるという意味では、ネットというのも全くもって現実世界と同じ(現実と同じようにネットも扱うべしという意味では、そもそも現実と仮想は区別すべきものではない)。

 彼女らはそれをわかっていたのではないか。だからこそ、ネットの向こう側にいる現実の相手に「リンチ」をしてしまうという行動に出ているのでしょう。

 ネットであろうと、「人を裏切ってはいけない」。それを全うしようとしたのです。

 とすると、それ自体に問題があるのではないのではないか?。



 ネットであることはネットであると置いておいて、夢見る「ごっこ」のつもりの人がいて、「ごっこ」のつもりでない人がいる。
 その両者が両者の感覚を理解できないでいた、その辺りが「ごっこ」性の自覚の問題だということです(これは、ネットかどうかは関係がないのです)。




 その意味では、

 キーワードは掟の中にある「裏切り」というところのような気がします。

 「裏切られた」「傷ついた」

 このような言葉を発しがちな、このような感覚を持ちがちな、あまりに脆弱な彼女らの姿、こちらこそが、おそらく問題なのではないでしょうか。と、こちらの話題は、別の機会に。
一応こちらも→「裏切り」と定義論と








 まあ、やっぱり、仮想暴走族という発想は面白いのです・・・。



 そこまで想像力を駆使して「居場所」を「構築」できるのならば、どうせなら、リンチも仮想でやってもらいたかったです。



 チャットとかで。


あや総長)裏切るだとぉ?、ふざけんな、リンチにしてやる(怒り)

よしえ)総長お怒りだよ!、おらぁ、死ねぇ(ーーメ)。

まみ)どかっ、バキ。ぐぎぎぎ(爪をはがす)

さおり)掟なんだよ、忘れたとは言わせねーぞぉ、ゴルァ。

さなえ)ぐりぐり(タバコの火を押しつける)

じゅんこ)いやぁぁぁぁぁぁぁ、やめてぇぇぇ、死んじゃうぅ(涙)



 こんな感じ?(笑)・・・・。

 
 


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