『DAWN 〜夜明け〜』

― そろそろ次のライブの具体案を考えてください ―
そんな注文がメンバーに伝えられた。
「新作アルバムの曲中心で行くんでしょぉ?」
そうだ、そうだ と他のメンバーも頷く。
「でも、今までの曲も入れていかなくちゃ…だよ、ね」
そう言って見つめる4人の視線。
「テツさん、今回はどういったコンセプトで?」
いつも全体の流れを決めているのはリーダーですから
それ決まらないと曲決めろって言われてもねぇ〜
僕もどんな衣装にしたらいいか解らないもの
舞台装置もイメージ作りにくいですしね
「お前ら…」
逃げてねぇか?
と思いつつ、実際自分がまだ何も決定案を出していないのも事実。
こうなったら早く作り上げてそれぞれに仕事を分担しなくては……
「わ〜ったよっ 今週中になんとか持ってくっから」
それまでどの曲がきても歌えるようにしとけよっ
ぜって〜弱音吐くなよ、お前ら
めちゃくちゃ凝った作りにしてやるから、覚悟しとけ!

「…だから、ここをこうすっと…う〜ん、違うな…」
ブツブツブツ
呪文のように小声で考えをまとめていた俺は
ふと顔を上げ窓から薄日が差してきたのに気がついた。
「夜明け…か」
誰もが朝を待っている、この街に
机の隣にあるベットで眠りについている  がいる。
その寝顔を見ていると
不意にキスをしたくなった

静かに陽が昇る この瞬間の神秘性も重なって ――

「う〜ん…」
頬に軽く触れようとした途端、あなたが寝返りをうった。
そしてゆっくりと薄目を開ける。
「ごめん、起こした?」
尋ねると首を横に振り、ううん、と小声で返事が返る。
まだ、まどろみの中の住人
急がなくていい
その目眩を拭い去ろうと しなくても、いい

夜明けの瞬間は
音もなく 暗かった街が 七色に染まる
この美しい世界は 嘘じゃないから
と見つめあえば
俺の心に暖かな光が注いで

それはきっと、あなたの心にも

同じ朝に生まれ 心にこぼれ落ちた、その答え
『今 あなたが全て』
その答えを いつも守ってるから
同じ朝にふたり 心に目覚めてゆく、この光
同じ光をわけあえたなら

部屋に入り込む風の香りが変わっていく
闇の世界から 光の世界へ誘うように
その空気を感じて 起き上がった
「おはよう」
そう言うかのようにただ俺を見つめて優しく微笑むから
ついさっきまで過ごしていた夜が教えてくれた
心の温もりよりも 愛しくて

「コーヒー 入れるね」
ありふれた時間が今日も始まる
二人の時間が この部屋で
いつもと同じ後姿にこんなにも惹かれるのは
……この夜明けのせいだろうか

朝を迎えて眩しい光に包まれて
夜の影が溶けてゆく
そして
心の影まで溶かすほどに もっと届けて
今日の に出会って
俺は 生まれ変わる 身体ごと

誰もが朝を待つ この瞬間に
愛しい に 伝えたい
「守ってるから…」
少しずつ そして優しく
あなたが見る夢より甘いキスを繰り返して。

この想いは
あなたの心にも きっと芽生える
だから
ふたりで目覚めたら すぐに
どんな夢も忘れられる

この朝に生まれた答えは いつまでも俺の胸の中に……