『月光』
――今日も綺麗だな――
満点の星空を見上げてオレは心の中でそう呟いた。
「ユージさん、なにしてんのぉ?」
「えっ いや、なんでも…」
声の方を見ると小走りで駆け寄ってくるヤスの後ろには北さんも歩いてきていた。
「天体観測、ですか?」
今日はとても綺麗な星が見えてますからね。
少し星座の話でもしましょうか。
そうですね…。
今日は満月ですから、月の話でもいかがですか?
太陽の光を受け止めて、昼も夜も輝きを守りつづけている月の話を……。
北さんの話を聞いているうちにオレはある女性のことを思い出した。
「雄二さん」
そう声をかけてきていつも優しく微笑んでいた、
。
いつも君はオレのすぐ後ろでその柔らかな光を守って立っていた。
あたりまえの様に、どんなときも微笑んで。
君の心の傷を 痛みのしずくを流していることに気が付かずに
オレはただ、そんな
を見つめていたのだ。
オレの背中越しに覗かせてきた君の横顔が、今 静かに揺らめいて消えてゆく――
月のように
両手いっぱいに光を受け止めて。
その優しい光はどんなときだって君を照らしつづけて
オレの帰る場所を教えてくれていたのに。
もう二度と
の明るい笑顔を見ることは許されないのだな……
そして今。
オレが守っている、この光。
からもらった優しさのしずくの隣に強く生きる心を従えて。
何も怖くなんかない。
空を見上げれば見つめてくれているのだから。
君の明かりがそっとこの胸の中に届くまで、いつだって。
月のように
広げた両手に君からの光を受け止めて
どこにいても僕を照らして導いてくれるから。
信じてる。
君の心が姿を変えてしまってからも、迷わず答えることができる。
君が見上げていた空と同じ空だから
オレはいつだって
を側に感じて生きている。
この光が守ってくれるから
誰より遠くに離れてしまっても
オレは君を忘れはしない――
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