パート3:映画音楽のパラメータ/ジェイのアプローチ
イ:しかし映画音楽には、非常に厳しい面もあるのであろうと想像するのですが。
ファ:最大の要素は常に時間です。私はレコーディングアーチストであった時代、特にラストアルバムでは40分の曲に9ヶ月から10ヶ月を要していました。それがUPN局の「ヴァイパー」を手がけ、去年3年目で終わったのですが、そのときには、シーズン中ずっと、40分のオリジナル音楽を2週間ごとにつくらねばならなかったのです。それは実際、「しなければならない」遺言のようなものでした。
イ:映画音楽製作へのアプローチはどのように?
ファ:映画において、閉じているドアを開ける最も大きな鍵は、正しく音響の構成を見つけることであるということがわかりました。私は、映画を見、そして最初の週、私はどんな曲も書かず、ただいろんなサウンドを検討するのみです。その中から形成していくべきサウンドの家族を見つけ出すのです。それはビジュアル的なことです。例えば、フィルムから静止画像を1、2枚見ます。すると、その絵がどんな風に撮られたのか、どんなライティングであったか、どのようにしてカットされたか、テンポとペースはどのようなものがいいか、いかにキャラクターを強調あるいはぼかすべきか、などの考えが浮かんできます。一度映画を見ると、あるサウンドがそれにこびりついてきます。ちょうどマジックテープのように。そうして、一旦私がパレットを持つや、次は実際に描く作業へと移るのです。

ジョジョガン時代の若きジェイ・ファーガソン
イ:すでにそこにあるものをどれくらい増幅させるものですか、何かをクリエイトすることと比べて。
ファ:そのフィルムを前面に押し出すか、もしくは問題を解決するか、常にどちらかの作業を行います。フィルムはどれも違います。あるものは問題点に満ちています。監督は、それを許すことさえあります。その場合彼はコンポーザーに対して、フィルムにある問題点を解決するよう依頼します。あるキャラクターをより愛すべきものにしろ、より不気味なものにしろだとか、プロットの中に誰にでもわかるようなキーとなる瞬間をつくれ、とか。そうして、いろいろなことが作用して、最終的に完成したフィルムとなります。私たちはそのまわりで枠組みを作っていくという作業をすることになります。あるときには、誰もがこれで行けるはずと思ったより少しだけ高く、それを持ち上げてやるのです。アーチスト達は皆、「内部批判家」といっしょに仕事をすることを覚える必要があります。そして自分の力で、どのようなアプローチが生産性を最大限にするかを発見しなければならないのです。ジェイ・ファーガソンは、創造性、インスピレーション、そしてわずらわしい内部批判を行うこと、について持っているアイデアを我々と共有してくれる、といったように。
イ:60年代においては、ドラッグが創造性に寄与するというのがアーチストたちの間でありましたが。それについてはどのように考えていますか?
ファ:完全に意識における違いがあります。60年代は50年代、40年代のカルチャーを破壊することが求められていたと思います。しかしそれはベターなクリエイティブモードとはいえませんでした。それは、それまでのものとは異なる新しいものでした。みんなが聴いていた、そして影響を受けていた、どのアーチストも、ある種ドラッグの要素をもっていました。その要素はごくごく普通のこととなり、特にドラッグを実際に経験しなくても、その経験の中に入り込んでしまっていました。どのクリエイティブな人間も持っていた最大のもがきは、内部批判です。おそらくドラッグのもつ最大の利点は、それが内部批判を鎮めさせ、しばらくの間思うがままにさせてしまうことです。短期間はメリットがあるのだと思いますが、私自身はそれに頼ったことがありません。私が作業に従事していたスタジオでは、二つの異なる場所を持つことによって、内部批判を扱っていたのです。ひとつは、クリエイティブであるために座っている場所、もうひとつは私が批評家である場所です。実際は私はイスを変えて座っています。それぞれの役割を果たす為にキーボードもコンピュータも別々ですよ。

スピリットのアルバムジャケット。サイケな感じはしますがドラッグとは本当に無縁だったんでしょうか・・・
イ:ワオ。内部批判ってのはそんなに強いものだとは・・・
ファ:私は、それはクリエイティブな人間なら誰しも持っているものだと思います。必要なのは、クリエイティブでいられるほど十分に長くその内部批評家を黙らせる方法を見つけることですね。
イ:しかしあなたはまだその批評家を必要としている。
ファ:そのとおりです。だから私はその批評家の為にもうひとつイスを用意しているのです。それは基本的には観点という問題です。私はある部屋の片側でフレッシュなアイデアを創造し、反対側でミックスする作業を行います。アイデアはすべてそこでリファインされ、いっしょにされ、また最終的な判断がなされるのです。じっさいそれは非常に役立っています。
イ:あなたがもっともクリエイティブでいられるときというのはどういうときですか?
ファ:私の時計は朝8時から午後2時の間に創造性が最大になるようにセットされているんです。しかし、違う時間に違うことが出来るということもありますよ。例えば、何か手がかりになるような簡単なスケッチをするような場合、一番いい時間は夜遅くだったりします。そうすると次の日に、それが満たされて、その日の8時から2時の間に作業をすることが出来るわけです。
イ:もし自身がそのことをやらなければいけないというとき、そのときが理想的な時間ではない、という場合でも自分自身をそのモードに切り替えることが出来ますか?
ファ:私は音楽を外に出させることは出来るのです。が、インスピレーションを受けたり、実際曲を書いたりというのとは違います。自分の技術に寄りかかるということは重要なことですが、そればかりではだめです。それではインスピレーションを得られません。その場合は前に動くことです。私は多くのライターから創作方法を学びました。彼らは、自分自身を毎日、この時間とこの時間の間に書く、といったことを強いられるのです。彼がそのことをどんなふうに感じていようともです。それは、ちょうど数オンスの金を得るために山を掘る作業に似ています。そこで毎日毎日掘り続けなければいけないのです。インスピレーションが肩を叩いてくれるのを待ち続けるのは大きな間違いだと思っています。働きに出なければいけないのです。そしてそれが自分自身とインスピレーションとの出会いにつながるのです。
ジョ・ジョ・ガンの復活を楽しみに待ちましょう〜!

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