質問  なぜほかに仕事をもつようになったんですか。

こたえ

 それは、二つのわけがあります。
 一つは、収入が少ないということです。現在、0. 8haの田んぼをもっています。そのうち、転作と休耕で0. 3haを休ませています。0. 5haを稲の耕作にあてています。そこでの収入は、30kg袋で約80袋です。すると、1袋が1万円としたら、80万円しかならないんですね。ところが、コシヒカリを10000円とすれば、キヌヒカリは8500円、日本晴になりますと、7000円になればよいところなんです。もっとも、米価は毎年下がっていきます。コシヒカリでも、5年前は16000円だったんですが、今は下がっています。日本晴でも、5年前は10000円だったんです。それが今では6000円から7000円です。
 では、肥料代はどうでしょう。1年に15万円くらいかかります。農薬も10万円くらいかかります。
 それに、機械が高いんです。どんな機械が必要で、それがいくらくらいか教えましょう。
 播種機(はしゅき=種まき)・・・・・・20〜30万円
 田植え機・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・100万円
 コンバイン・・・・・・・・・・・・・・・・・・200万円
乾燥機・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・100万円
 もみすり機・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 70万円
 トラクター・・・・・・・・・・・・・・・・・・・100〜180万円
 運搬機・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・50万円
 草刈り機・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5万円
 他にもトラックなどが必要です。それらはよくもって10年でだめになります。つまり、1年で機械代として約70万円ほど使うことになります。それに、税金をはらったりします。だから、農業をして米を作っても、収入としてはないものと考えないといけません。

質問  では、なんのためにやっていらっしゃるのですか。

こたえ

  やめるわけにはいかないからです。田を守るため、といえます。しかたないですね。

質問   もう一つのわけは何ですか。

こたえ

  それは、機械のおかげで、仕事の時間が少なくなったからです。昔は、田植えでも、稲刈りでも、草取りでも、すべて手でしていました。耕すのは、牛をつかってやっていたんです。でも、今は機械です。おかげで、楽で、時間もかかりません。「日曜百姓」(にちようびゃくしょう)といいますが、日曜と土曜でしごとができるんです。
 どんなにちがうか、写真で紹介しましょう。
40年前 現在
田植え
10aあたり
1人の
労働時間
15時間 2時間
稲刈り
脱穀
10aあたり
1人の
労働時間
62時間 2時間

(農林水産省「米生産費調査」を参考にしました)

  むかしは、これだけではないんですね。手でやることがほとんどでしたから、他の仕事ができなかったんです。今は、時間がとれるんです。時間がてきたら、いろいろ工夫するんですね。専業農家の人も同じです。

 わたしの友だちは、専業農家をやっています。収入をふやすのに、いろいろ工夫しています。
たとえば、次の写真は、かれのビニルハウスを夜にとったものです。何を作っているでしょう。

 2月中ごろ

  中を見てみましょうか。

  いちごなんです。ふつうにいちごをむつくる(露地栽培)と、1000円で売れるとすれば、ビニルハウスで季節をかえて売ると、2000円、クリスマスの時なら2500円で売れて、収入がふえるんです。 

質問  なぜ電気をつけているんですか。

  冬は日光があたる時間が少ないので、電気で光をあてているんです。そして、あたたかいから、いちごが春だと思って、成長を早めるんです。すると、このいちごは、春のはじめに実をつけるんですね。みなさんに喜ばれます。

質問   受粉はどうするんですか。

  みつばちを使うんです。JAにたのんで、みつばちを飼っている農家の人にきてもらって、ハウスの中でみつばちをはなしてもらうんです。

質問   あたためればよいのですか。

  いいえ。いちごは、冬にこおるくらい冷やさないと、おいしい実をつけません。だから、クリスマスに実をつけさせるためには、夏に冷蔵庫でこおらすんです。西区のJA神出支部に大きないちごの苗をこおらす冷蔵施設があるんです。