Be Conscious


コメント



池永 陽

コンビニ・ララバイ
☆☆
コンビニを舞台に様々な人生を描く短編集。僕にとっては自分のいる世界とかすりもしないので共感のもてる話がなかった。そのため、星2つ。50代の修羅場をくぐってきた人には楽しめるのかも。
全体的に非常に暗い。

つまらない見栄でそのうまさを吹聴したとき、もう一度食べてみたいと治子は八坂に言った覚えがある。八坂は治子の生まれた町へ行ってきたのだ。

無口でネクラで人間嫌いの、あれはまさに君のためにあるような練習法だ。私を見てくれと路上で叫べ。あざといぐらいに自己アピールしろ。無視されたら睨み返せ。力ずくでも振り向かせろ。しぶとく図々しくなれ。そこそこ器用に何でもこなす役者などいちばんつまらん。


伊坂 幸太郎

重力ピエロ
☆☆☆☆
連続放火の謎に迫るミステリー。主人公とその弟の理屈っぽい会話が結構楽しい。個人的には主人公の兄弟よりもその親父と探偵の黒澤がかっこよかった。自分の子ではない子供を育てた親父の人生に感動。


計算通りの人生なんてまっぴらだ、と思いながらも人は計算をやめない。

「そっちこそどうして」質問を質問で返すのは無作法かもしれないが、時には有効である。

「安定とか不安定なんていうのは、大きな川の流れの中ではさ、些細なことなんだよ。向かっていく方向に大差はない。好きにすればいい。」

人の一生は自転車のレースと同じだと言い切る上司もいれば、人生をレストランでの食事に例える同僚もいた。

「会社は会社、家族は家族、プライベートはプライベートだよな」という同僚もいる。「会社なんてさ、給料貰うためだけに来てるんだからさ」と社長を煙たがる。そういう彼らに限って会社に多くを望み、愚痴を垂れ、リストラが始まると親に裏切られたような形相で怒り出すのは、不可解でも合った。

「何かわかった?」
「こんな写真を見たところで大事なことはわからない、ということだけ分かった。」



市川 たくじ

separation
☆☆☆☆
こんなにも切なく、愛しく、悲しい小説は、初めてかもしれない。
どうしてそこまで、もうかんべんしてくれ〜、と思ってしまうほど読み進めば進むほど切なく、愛しく、悲しい。涙を流すことはめったにないが、これは、ぐっときます。恋愛小説の涙物を読みたい人は必読。
ちなみに僕はVOICEよりSEPARATIONのほうがよかった。

「春は夏に、意地の悪い現実は優しい記憶に、そしてジョンは鯨に・・・」
祐子が寂しそうに微笑んだ。

高沢は走ることによって何かを得た。
走る。
力の限り。
それが鍵なのかもしれない。
多分。

走れなければ歩けばいいのだし、歩けなくなれば、こうやって立ち止まり休めばいい。
目的の地は、いつもそこにあるのだから。




井上 尚登

T.R.Y
☆☆☆☆
横溝正史賞受賞作品。明治末期の中国-日本を舞台に繰り広げられる騙し合い。謎と知的スリルと意外性にあふれる。非常に完成度の高いおもしろい作品でした。登場人物の一人一人のキャラがまた楽しい。この詐欺師仲間にのちの蒋介石がいたとは・・・これまたビックリ。

民衆の力で倒さなければ、この国の不幸な歴史はまだまだつづくことになるだろう。


井上 夢人

オルファクトグラム
☆☆☆☆
人の嗅覚より数千万倍から数十億倍もの嗅覚を手に入れてしまった主人公のミノル。ファンタジックでミステリーで、恋愛小説でもある。
非現実的なはずなのに気がつくと物語りに入り込んでしまっている。井上夢人の本をはじめて読んだけど、とても楽しかった。匂いの世界に関しては文句なしの描写がされ、それとは別にまたミステリーな部分でもドキドキしてしまうし、ミノルの彼女ミキとのやり取りもとってもいい感じ。




大沢 在昌

涙はふくな、凍るまで
☆☆
直木賞作家大沢在昌の「走らなあかん、夜明けまで」に続く第2弾。
ストーリー的には楽しかったのだが。取材した先々での取材内容を主人公に箇条書きのように当てはめてしまっているような感じを受けてしまった。
そのため、主人公のキャラがなかなか浮かび上がってこない。主人公の歳が近く平凡なサラリーマンであるため共感できそうなところはあったのだが。う〜ん。好きな人は好きなんだろうけど。僕にはイマイチ。


岡崎 二人

99%の誘拐
☆☆☆
少年が誘拐されたが、無事に保護された。時効を迎えたその事件の真相に、被害者である誘拐された当時の少年が気づく。真相を知らずして身代金を払った親父の仇を取ろうと綿密な計画を実行する。
展開事態はおもしろかったが、登場人物の個性が今ひとつでったので☆3つ



西澤 保彦

仔羊たちの聖夜
☆☆☆
一年前のクリスマスイブ。コンパの後、コンビニに寄ったら上階から女性が飛び降りてきた。女性の身元をたどるうちに5年前の同じ日にも飛び降り自殺した人がいたとわかった。関連があるんだかないんだか最後まで謎だが、ひとつひとつ紐解いていく探偵ミステリー。親子問題も取り上げ結構楽しかったが主人公の僕タックとヒロインのタカチとの最後がイマイチ理解
きなかったので☆3つ。


世の中には、それを絶対に許さないタイプの親もいる。そして、それを親の義務であり愛情であると勘違いしている。





藤原 伊織

ダックスフントのワープ
☆☆☆
 すばる文学賞受賞作品 藤原 伊織のデビュー作。
 「ダックスフントのワープ」「ネズミ焼の贈りもの」の二作品。両方とも何ともやりきれない気分にさせられる。文学的な作品を読みなれていない僕にとっては少々理解しがたい。行間になにかを見つけられればと思うが、難しかった。

 誰でも、個人的な事情は持っている。それを軽率に尋ねるのは、ダックスフントの主義に反したんだ。おまけに相手は初対面の命の恩人だしね。

 なあ、おたく、俺と組まないか。毎日一度、俺はコップ一杯の水と干し肉を一切れ提供する。おたくは三日に一度俺のネジを巻く。

 邪鳥と闘うか、アンゴラウサギのように金属製の傘にスッポリ隠れるか。
 モラリスティックな結末、人と向き合うための授業だったのか、生きる意味を問うているのか。


テロリストのパラソル
☆☆☆☆
 アル中のバーテンを軸に事件が展開していく。すべては男たちの過去と長年の時が原因。
最後まで気の抜けない展開と主人公の切れのよさにいっきに読んでしまう。

この男はたしかに切れる。人の心理と行動パターンを読む能力がある。浅井はもう一度、ニヤリと笑った。

あんた、損な性格してるな。自分の足場がぐらついているのに、周りに目が言っちまうんだ。今どきはやらないぜ、そんな性分は。

そいつは、俺の口から言わせるなよ。あんたが自分で調べろ。簡単にわかるこった。




宮部みゆき

かまいたち
あの有名な宮部みゆきさんの作品を読んだことがなかったので手にとってみた。平成4年に出版されたもので古いといえば古いものだが。時代物の短編集。読んで見て・・え!?どこがおもしろいのか理解できなかった。テレビでも時代劇があまり好きでない私にとって、この作品を楽しむには無理があったのか、楽しむだけの読解力がないだけなのか。宮部ファンのどなたか、解説していただける方はご一報をください。

「石が傷ついても石のままでいられるが、玉は、ひとたび傷が着いてはもはや元の玉ではありえないのですよ」




横山 秀夫

真相
☆☆☆☆
真相」「18番ホール」「不眠」「花輪の海」「他人の家」の五作品短編集。
どれも非常に完成度が高いと思う。僕は「真相」がいちばんよかったかな。さすがの一言。

☆☆☆☆☆
若い婦警さんが大活躍する警察小説。

泣き落としが通用する相手ではないことは最初からわかっていた。
言いなさい。自分に命じ、瑞穂は身を乗り出した。課員に聞かれぬように声を殺す。
「課長、取引させてください」

いかにもやる気なさそうな口ぶりとは裏腹に、板垣は実に勤勉かつ誠実だった。刑事ぶることもなく淡々と、しかし、じっくりと相手の話を聞く。三回に一回は瑞穂に聴衆を任せ、横から口をはさむこともせずに黙々とメモを取っていた。こうした事件ならば、かん取り、つまりは顔見知りや交友関係の操作のほうがやりがいがあるに決まっている。が、板垣は愚痴を言うでもなく、一軒一軒丁寧につぶしながら手元の地図に×印を増やしていく。その姿は、体に刻み込まれた技を確実に作品化していく老練な職人を思わせた。

だが、七尾は微笑んでいる。
なぜか。
そんなの決まっている。瑞穂がしょげていると思ったからだ。だから励まそうとわざわざ足を運んできたのだ。
やっぱり七尾は強い。凄い。

深追い
☆☆☆☆
深追い 又聞き 引き継ぎ 訳あり 締め出し 仕返し 人ごと 
短編集。
嬌声と足音が背後に近づいた。
三田村は斉木の目を見据えた。
「斉木  返してくれ」
「あ?何をだ?」
「十年前に化した千円だ」
宣戦布告。
背後の足音が止まった。

その前にしなければならないことがあった。
自らの毒を出すのだ。そうでなければ啓太と対峙できない。


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