12月8日(土)〜9日(日)
活動二日目、朝から山には入り、夕方降りてきて踏みしめる久しぶりのアスファルトの固い感触は、学生の頃の合宿後に感じた懐かしい、何年か振りの感触だった。普段、都会に暮らしていると固いアスファルトを「土」のように思ってしまう。それは人間の感覚を鈍らせる。本当はこんなに柔らかく、いい匂いで、暖かな気持ちにさせてくれるものなのだ。土の上を歩いていると都会でしていたおしゃれが無意味なものに感じられた。ここでは森が、土が、生活の一部である。
私がYMPの活動に参加するきっかけを作ってくれたのは、二年前、あるキャンプ教育団体主催のキャンプで出会った"彼女"から突然届いた手紙が始まりだった。YMPの活動に明るい"彼女"は手紙の中で「檜原村の森は素晴らしいから是非一回行ってみるといい」と書いていた。早速友達に声を掛けると「寒いからやだ」と言われた。私は反論できなかった。確かに寒いのは嘘じゃないと思ったからである。仕事場が完全に温度管理されている施設で一日中過ごし寒さを感じにくくなってしまっているので、逆に冬を体感できるこの活動に私は興味を持った。
活動初日、先が読めぬまま何をするんだろうという好奇心で胸が躍った。汚れてもいい格好に着替えて、腰に鋸をぶら下げると一端の山女の気分だ。準備体操をして、いざ出陣、現場へと向かう。人家のそばを通るとそこにはおじさんが、炬燵に当たりながらテレビを見ていた。目が合ったので軽く会釈をすると「へ?」という顔をされた。坂を下りていくと結構揺れる吊り橋があって足元を見下ろすと水が轟々と音を立てて流れていた。膝がガクガクしたが他の人達はどんどん先を進んでいく。吊り橋を渡りきると土と岩の道になり、木の肌を触ったり、葉っぱを引っ張ったりしながら登る。現場への道のりは登るのが大変で体温は上がり、とにかく暑かった。出発前は凍り付くように寒かったのに額が段々汗ばんでくる。
階段づくりはまず"程良い"丸太を探すことから始まった。けれどもその"程良い"がよく分からず「これじゃ頼りない(細い)」とか「これは腐ったいるからダメ」などと言われながら何本か仲間で見つけてくる。次なる難関は杭づくり。鉈で先っぽを削るも思うようにいかない。まるで子供が鉛筆を削っているよう。四苦八苦しながらアドバイスを受けて一本仕上げた。ハイキングで登っている階段が、削ったり打ち込んだりしながら手間を掛けて出来上がっているのかと思ったら感無量になった。今度山を登るときには愛を感じながら登ろう。
二日目の朝、表へ出てみると霜が降りていた。土を踏みしめるとサクッサクッと音がした。葉っぱの縁が白く凍ってとてもきれい。朝食の暖かいトマトリゾットとおいしいパンを食べてまた現場に向かう。今日は道づくりをするという。鶴嘴を使うのは初めて。多分掘られている土もびっくりしているだろう。石をどかしたり、掘った穴にまた土を被せたりして道が少しずつ出来ていった。土の中からカブトムシの幼虫に出会す。久し振りに触るとブヨブヨしていた。
気温は低いものの二日とも晴天に恵まれ、普段味わえない、澄んだ空気の中で作業が出来た。そして何よりも素敵でかつ個性的な人達に出会えたことが収穫だった。いろいろとお世話になり、有り難うございました。