臨死体験・気功・瞑想
| 覚醒・至高体験の事例集
|
林 武 氏
| 以下は、画家・林武の「光」体験である(林武『美に生きる
(講談社現代新書 60) そのときである。不意に、僕のひたいのあたりがぱっと光り輝いた。それは何か遠くの高いところで輝いている感じであった。それは神秘の光明だった。あれは、一種の霊感のようなものであったろうか。そのとたんに、僕は、全身から力がわくのを感じた。 この「光」体験は、かならずしも「自己」超越体験をともなっていたわけではない。しかし、画家はその後、一番大事な絵を捨てようと決心したときの心境と体験を次のように語っている。 それは一種の解脱というものであった。絵に対するあのすごい執着を見事にふり落としたのだ。僕には、若さのもつ理想と野心があった。自負と妻に対する責任から、どうしても絵描きにならなければならなかった。だからほんとうに絵というものをめざして、どろんこになっていた。そのような執着から離れたのであった。(中略)
ちなみにこの文章は、マズローのいうD認識からB認識への変化をみごとに描写している。木が「真の生きた木、ありのままの実在の木」として見えたとは、主体との関係や主体の意図によって歪曲されず、主体自身の目的や利害から独立した「それ自体の生命(目的性)において」見られた(B認識)ということだ。そのとき「その情緒反応は、なにか偉大なものを眼前にするような驚異、畏敬、尊敬、謙虚、敬服などの趣きをもつ」(マズロー)のである。 林武(はやし たけし) 1896〜1975 東京に生まれる。東京歯科医学校に学ぶが次第に文士を志すようになり、のちに絵画に転向。 強烈な表現と独自の造形理論で知られる。ドランやマチスの影響を受け、フォーヴィスムを基調としながら独特の構図を創造し、強い印象を与える色彩を大胆に使いこなす。 主な収蔵先 彫刻の森美術館 大原美術館 東京国立近代美術館 |