磐梯山(6月下旬)

福島県を代表する名山、磐梯山。度重なる噴火により、表と裏ではまったく違う山容を見せ、四季を通じてどこから見ても人々を感動させる景観を持った素晴らしい山です。登山口もシンメトリック的な表磐梯側、デフォルメ的な裏磐梯側から数箇所登山口が開かれていますが、今回は最もアプローチルートの長い川上温泉登山口から登りました。

登山口からはすぐにうっそうとした森になるのですが、極端な登高もなく、中々楽しい森林浴が楽しめます。林内にはムシカリ、エビネ、イチヤクソウ等の花が見られました。緩やかな登りの登山道をコツコツと1時間半ほど登ると次第に周囲が明るくなり、森林限界が近い事を予感させられます。登山道の道すがら、アカモノが見られるようになると視界に裏磐梯の爆裂火口が目に飛び込んできます。森林に視界を遮られていたのですが、知らず知らずのうちに噴火口近くまで来ていたのを実感させられます。

噴火口付近は平坦な道が続きますが、所々に土石流が地面を抉った後あり、雪解け水を集めた不思議な沼あり、また、爆裂火口壁からは絶えず落石の音が聞こえたりと、緊張感のある風景でした。40分ほど噴火口の平坦地を歩いた後、潅木が植生の優先している森に入り、その森を抜けた後がいよいよ山頂へ向けての爆裂火口壁を登る急登となります。このあたりから外への視界が開け、神秘的な銅沼、五色沼の湖沼群、そして遥かに吾妻連峰、飯豊連峰などの南東北の名峰群が見えるようになります。

ガレ場を喘ぐように登る頃になるとイワカガミやバンダイクワガタ等の高山植物が目に付くようになり、本峰と櫛ヶ峰のコルのあたりにはバンダイクワガタの大群生を見ることが出来ました。またしても「至福の時」を味わう事ができた思いです。更に歩を進めて弘法清水付近にはミヤマキンバイ、トカチフウロが咲いていました。

川上温泉登山口という超マイナールートを登ってきた為か、弘法清水まではカモシカとカナヘビ、エゾハルゼミ以外誰にも会わなかったのですが、頂上直下の弘法清水まで来たら可也の登山者がいました。ほとんどの人がアプローチの楽な猫魔八方台から登ってくるのでしょう。山の中なのにいきなり都会的雰囲気になっていました。「磐梯でこうなんだがら、北アルプスなんかもっと悲惨な状況なんだべなぁ〜。」なんて思いながら今渋滞する頂上への道を尻目に、もと来た道を戻る事にしました。ピークを踏む事もなく只、長い道のりを歩く。なんだか自分でもいやらしく感じてしまうような山登りなんですけど、その過程も結構楽しいものです。

 

絶えず落石の音が絶えない火口壁

初夏の陸奥の森をにぎわすエゾハルゼミ

火口壁から望む銅沼と遥かに飯豊連峰

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