早池峰山(6月下旬)
| 早池峰山は憧れの山でした。蛇紋岩の残丘とそこに咲く珍しい高山植物をいつの日か是非、見に行きたいと何時も思っていました。 しかし、福島から300kmと遠く、ハヤチネウスユキソウを始め、お目当ての高山植物が最も見頃なのが梅雨時であること事から 中々、天侯状態とスケジュールが合わず、いけず仕舞いになっていました。
2000年6月18日。TVの天気予報は翌日ないし、翌々日の好天を告げていました。19日と20日は丁度スケジュールがあいていたので迷わず早池峰登山を決断しました。そう決めると行動は早いものです。憧れの山だけにアプローチルートは頭の中に入っているのでろくに下調べもせずに飲む物だけはたらふく飲んで次の日に備えて寝てしまいました。 次の日は午前4時前に起きて山道具を整えて出発です。山に登る為に朝早く起きるのは中々気持ちがいいものです。特に福島より北の山に行く時は東北自動車道を使う事が多いのですが、朝日や朝霧を突き抜けて高速で車を走らせるのは結構なストレス解消になります。 早池峰山の河原坊登山口に着いたときには9時近い時間になっていました。梅雨時だというのに信じられない晴天で登山口付近からも蛇紋岩が作り出す、モナドノックの奇妙なオブジェの稜線を確認する事が出来ました。ちなみにこの早池峰山が隆起を始めたのは白亜紀の一万年前、その後、長い年月によって侵食され、植物の生育に適さない蛇紋岩が形成する残丘の山となったわけです。そう言った地質の特性が、ハヤチネウスユキソウを始めとする、普通の土地では生きていけない希少な高山植物の生育する山となったという事だそうです。 河原坊登山口からのルートは樹林帯を抜けた後、コメガモリ沢ずたいに山頂を望みながらの登高です。高度を上げるにしたがってタカネスミレ、チングルマ等の高山植物が現れ目を楽しませてくれます。頭垢離と言うところから沢筋と別れ、蛇紋岩のガレ場を登るルートに入るのですが其処からが高山植物の宝庫でした。ミヤマオダマキの藍、ヨツバシオガマの赤紫、ナンブイヌナズナの黄色、ナンブトラノオのピンク等、其処に棲息する植物達の個性や色彩をキリがないほどの高山植物の楽園でした。 お目当てのハヤチネウスユキソウは少し時期が早かったのか、ほとんどが蕾でしたが、わずかに咲きかけを見つけることが出来ました。目当ての生き物を求めて山に入り、いくら探しても見つからず、ついにその生き物を見つけた時の感動は頂上至極の思いです。 山は好きですが、ある種の冒険家とは違ってピークに達することを目的とする山登りは比較的、俺はしません。山に登るための目的が中腹にあればそれで満足してしまうような早漏登山が好みです。この日も咲きかけのハヤチネウスユキソウを見た時点で下ろうかと思ったのですが、なんだかそれでは日本男児として許せないような気がして頂上まで行って見ました。其処には素晴らしい景観、決して人間では作り出せない蛇紋岩のオブジェが広がっていました。そして不思議な事に寝不足と二日酔いの脳みそのフィルターを通して宮沢賢治の眼差しが瞼の奥に見えました。 |
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蛇紋岩の不思議なオブジェ。早池峰山頂 |
五月晴れの光彩を受ける高山植物 |
咲きかけのハヤチネウスユキソウ |