第1話 ケナフなハナシその1

1月某日、今日も子ども達は元気に学校へ出かけていきいました。

シッポナ やれやれ、今日もうるさいのは学校へ出かけたか。これでゆっくり昼寝ができるぜ。
脳天気な飼い主メイ 子ども元気で留守がいいっと。さーて、今日は何をしようかな?
その前に……、シッポナくーん、ご飯だよ。 
シッポナいっつも遅いんだよな、おれのメシ。どうせならもうちょっとは早くしてくんない?
まあいいけどサ、冬場はあんまり食欲がないぜ。
おれんちにも暖房入れてくんなきゃ。やる気もでないぜ。
またまたぁまたまたぁ、やる気出していったい何すんのんよ。
それに下手にヒーターなんか入れて、ゆだっちゃってもしらへんで。
熱帯魚じゃないんやから。
わるかったな!悪かったな、落ちこぼれ金魚で!どうせ、俺は二束三文のテキヤ金魚だよっ!
(シッポナは、金魚すくいの金魚だったことにコンプレックスを持っているのだ)

それはそうと、今日は何か物騒な物持って学校へ行ったな。ノコギリ持参とは…
近頃の子どもときたら……護身用か?
まっさかぁ!まさか〜。シッポナ君、ワイドショーの見・す・ぎ。
今日は、学校で育ててたケナフを収穫するんやって。
茎の直径が5pくらい高さも2メートル以上に大きくなったんやって。固いから、ノコギリで切るの。
今頃収穫やって、もう枯れてんのちゃうんかな。
シッポナケナフって何に使うんだ?
食えるのか?そんな固い物……。
ま、おれには関係ないけどサ。
う〜ん…う〜ん、食べられる種類もあるらしいけど、葉っぱとかでしょ?
今はもう葉っぱは枯れてるから、紙すきをするんやと思うよ、きっと。
 ケナフってねえ、二酸化炭素をいっぱい吸収するんやって
地球温暖化*1なんて言われてるから、ここ何年かでえらい人気やで。
かえらし花咲くみたいやしなあ。
ふ〜ん、それで?ふ〜ん、それで?
ケナフをいっぱい植えたら、二酸化炭素が減って、地球温暖化が防げるわけ?
そんな簡単に何とかなるわけ?
だいたい、考えが甘いんだよ、人間って。
もうっもうっ、そうやってすぐにたたみかけんといてくれる!?
たかだか小学校の校庭でなんぼか育てたって温暖化を止めれるなんて誰も思ってぇへんよ。要は、環境教育よ。わかる?環・境・教・育!
ケナフを使って、「地球を大事にしましょう」ってゆう…、まあそんなことを勉強すんのっ
わかった?
じゃあさ、ケナフっていったい何なんだよじゃあさ、ケナフっていったいどういう物なのさ?
紙を作るったって、ケナフなんか植えなくても紙なんか捨てるほどあるんじゃないのか?
日ごろ、金はたまんないけど、古新聞ばっかりたまるって文句行ってるくせに…
もう〜よけいなことを〜コホン・よけいなことは言わんでよろし。
紙ってねえ、木を切って作るのよ。だから木を切る代わりにケナフを使って紙を作れば、森が守れるわけ。二酸化炭素が増えている原因の一つに森林破壊があるからね。森林は二酸化炭素を吸収して、酸素を供給してくれてるわけやから。ケナフで紙を作るようにすれば、まわり回って二酸化炭素の削減に役立つんよ。
言うはやすし、行うは…そんな、赤字家計簿の帳尻あわせみたいにうまくいくわけないだろ。。
それは、全部の紙の材料が木材からケナフに代わったとしての話だろうが。
木材と同じ量の材料をケナフで補うとしたら、いったいどれだけの畑が必要になるんだ?
狭い日本にそんな余裕あんのかよ。
おれには「捕らぬタヌキの何とやら」で、環境に優しいなんて言ってる気がするぜ。
うっそ、そう言われてみれば、日本で使う紙を全部ケナフで作るとしたら…日本中ケナフ畑になっちゃうかも。
それにさあ、それにさあ、ケナフって紙にするんだろ?
紙っつーのは消費材料だから、どんどん使って、どんどん捨てられる…
つまりゴミになるんだろ?
燃やしちゃえば元の木阿弥じゃん
木材じゃなきゃ、何もケナフでなけりゃってことはないんじゃないの?
他のもんでもいい訳だ。なのになんでケナフなのさ。
そういえば…そう言えば、そうかも。数年前まで、環境教育で紙すきっていえば、牛乳パックを作った再生紙作りなんかが盛んだったよね。基本的に和紙の作り方と同じ方法で、再生紙を作る……リサイクルってことからの環境教育だったんだろうけど、なんでケナフって……。
おいおい、ケナフの特性を忘れてんじゃないの?二酸化炭素をいっぱいい吸収してくれるからよ。二酸化炭素の増加による温暖化の問題を勉強するには、問題に直結して考えられるじゃない。それに小学生にも栽培しやすいんじゃないかな。
少なくとも、環境ってのをどけても、植物の世話をして育てるのって、いろいろ勉強になるやん。かえらし花咲いたら、子どもも喜ぶし、観察や勉強の励みにもなるし。優しい心を育むって意味もある。
一石二鳥やん。他にも、紙すきの作業は図工の勉強、紙すきから伝統的な和紙のことや、現代的な製紙業の勉強すれば社会科もできる。いろいろできてお得な教材やんか。使わん手はないで。
ひとの話聞いてんのか だから、実際的に実現不可能なもん持ち出して、環境云々いったって、甘い理想論を子どもに押しつけるだけで、本当に環境教育するなら、「ケナフじゃダメ」ってことをこそ教えないとだめなんじゃないの?
 植物を育てるのも、何もケナフじゃなくても、アサガオでもヒマワリでも何でもいいだろ。
いっそのこと和歌山市周辺でよく作られてるニンジンとかタマネギとか、地域に根ざした作物を栽培する方が現実的じゃないか?収穫したあと食えるしさ。それとも、日本在来植物で絶滅危惧種*2になってる物を選ぶとか。
 紙すきから広げて勉強するなら、牛乳パック再生紙でも同じ。…で、なんでケナフなの?
だからそれは……だ、だから、それは……(なんでやろ?)
でも、でもよ。
 食べらんないかも知れないけど、ケナフじゃダメってこともないんちゃうん?
環境だって、そら、ケナフじゃダメってんじゃなくて、「ケナフだけではダメ」ってことで、勉強を始めるきっかけとして、ええ材料やんか。
ホントにいいのか?そりゃ、実際にそこまで掘り下げて勉強ができてればな。あいつら、学校でケナフについてなに習ってんだ?身についてなきゃ意味ないぜ。特にここの息子はぼーっとしてるしな。
 いい材料って言うけど、ほんとにそうか?ほんとはよく知らねえんだろ?(メイをおちょくるのが好きなシッポナであった)
い、いじわる〜っなんで、私がいじめられなあかんねん。シッポナ君のいじわるっ。

でも、言われてみれば、あんまりよく知らへんなあ。ハイビスカスと同じ種類だってことぐらいしか…ちょっと勉強してみようっと。

というわけでちょっとお勉強……

た、たいへんだった、たいへんだ〜!ケナフをむやみやたらに植えまくったら、日本の生態系*3はわやになってしまう…かもしんない!なんて言ってる人がいるよっ。
 環境教育のつもりで、環境破壊しちゃってどーすんのぉ!?
な、何を言ってるんだぁ〜な、いきなりなにを言ってるんだっ!話が見えん!
落ち着いてちゃんとわかるよーに話せ!
え、えーっと…えーっと、つまり、ケナフってのは、海外から持ち込まれた植物であって、それが、もし仮に野生化して帰化植物として定着しちゃうと、もともと日本にあった生物群のバランスが崩れてしまうかもしれないってこと。つまりケナフのせいである植物が追いやられてしまったりすると、その植物を食べていた生き物も生活できなくなって、そんでその生き物を食べていた生き物もエサがなくなって、ほんで、ほんで、連鎖反応的に生態系のバランスがぐちゃぐちゃに……
なるほど…よしよし、だいたい言いたいことはわかった。
ところでケナフって、そんなに丈夫で増えやすいものなのか?
どうやろ?どうやろ?でも、小学生にも育てられるんやから、そんなひ弱なもんちゃうやろ。やけど栽培植物として歴史が長いみたいやし、一年草やろ。。ちゅうことは、長いこと人間の手によって栽培も繁殖も管理されてきた植物で、そのノウハウはもうできあがってるかも。冬が来たら必ず枯れるしね。
完全に管理下で栽培できんのやったら問題ないって事かな。日本の農産物って、そのほとんどが外来植物なんだって。厳密に言えばお米だってそうよねぇ。
そんな心配するほどのこともないかも…。勝手にお野菜がはびこっちゃって、困ったなんて話聞いたことないし。外から来た植物だって、ちゃんと管理できればいいわけだ
また出たな、こののーてんき!管理できてれば…、の話だろ。現状では管理がきちんとできてんのか?
できてないから、反対論者がうるさいんだろうが。だいたい、ケナフが農産物として普及してるようには見えんがね。なにやらエコロジーブームとかで、猫も杓子もケナフを植えようとか、いい加減なことしてるようだけど。
 ケナフが環境に役立つとしたら、それは、農産物として安定的に生産され、加工され、利用され、その上で木材パルプの消費がおさえられて初めてということになる。そういう歯車が社会の中でうまくかみ合ってこそなんだ。ただケナフを植えて、ああ、環境に優しい、いいことしちゃったーなんて勘違いしてるヤツがいるんじゃないか。
うっうっ、…。
(←かねがね、自分でも植えてみたいと思ってたやつ。)
つまりだな〜 つまりだな〜、どっかのお偉いさんが難しい理論を展開して環境にいいの悪いのと言ってるけど、どういうやり方がいいのか、またどういうやり方が悪いのかって結論も出てないのに、その勘違いしてるやからがやっちゃえやっちゃえと先走りしてるところが問題なんだよ。
 それにもう一つ。野菜がはびこって困ったって話を聞かないっていうけど、だからって今現在新しく持ち込まれたケナフが大丈夫だってどうして言いきれんだよ。それに、外来野菜が持ち込まれたとき、日本の自然環境はほんとに大丈夫だったのか?証明されてんのか?
 外から来た野菜だろうが、元々あったもんだろうが、人間のする”農業”ってのは、元々あった自然を切り開いてするもんだろう。人間のすることに、環境に影響しないものはあり得ないんだよ
ぐっ…そ、そこまで言われちゃ、どないもできへんやんか。人間やめるしかないってことになっちゃう。農業がダメって言うなら、何食べて生きてけばいいんよぉ。仕方ないやん、人間かって生きていかなあかんのやから!生きていくために永〜〜〜い時間をかけて作り上げてきたもんやで、日本の農業っちゅうのは!それ否定されてしもたら、もう環境どころの話やなくなってまうやん。日本の社会が成り立てへん。
そういうことだな。ま、そういうことだな。人間の方が無神経で気が付かなかっただけで、そんな大きな、むっちゃくちゃ大きな犠牲の上にふんぞり返って暮らしてきたっていうことさ。それで、今になってバックリあいた傷痕にやっと気が付いてあたふたしてるってとこだな。
…… ……今日のシッポナ君て、ちょーいけずやわ。何もそこまで極端なこと言っていじめやんでもえーやん…。

…あ、ご飯が遅かったんですねてんのやろ〜〜
あ〜‥ あ〜、話そらしてる。。。反論できないんだろ〜(やーい、やーい)
ムカッ(反撃開始!!)そやな〜食べ物の恨みは怖いもんなぁ。そや、お米もお野菜もあかんって言われたら、しゃーないなぁ。もう金魚でも食べるしかないなぁ〜〜〜
ギョッ!!げっ、!えっ!な・な・な・何を言い出すんだ〜〜、いきなり!
ヒキョーだ、オーボーだ!
あははあはは、本気で食べられるとでも思ったん?んなわけないっしょ、シッポナ君いかにもまずそうなんだもん。

だいたい金魚ってのは人間がフナかなんかを品種改良して作ったものでしょ?誰のおかげで今あんたがいるのよ。人間あっての金魚なのよ。そこんとこの立場わかってる〜?
………ちくしょう!この〜〜〜ひとの…じゃなかった金魚の弱みにつけ込みやがって。せこいぞ、そういう話に持っていくって、ほとんど脅迫じゃねーか!
むっそっちが喧嘩売ってきたんやんか。
喧嘩?……いつから喧嘩になったんだ?なんで喧嘩なんかしなきゃなんないんだ?
はた… ……?さあ?、なんで喧嘩になったんやろ?
喧嘩で解決する問題?ちゃうよなあ?
そうだなあ頭冷やして、理性的に考えてみないと、お互いに。衝突ばかりしてても何も変わらない…。
そうやねもちょっとよく考えてみようよ。ゆっくりね。

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