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Last Updated 2004.05.01

響きの世界 - イラク問題
ファルージャ大虐殺
イラク攻撃の疑問点
スコットリッター氏講演


ファルージャ大虐殺
[TUP速報]287号 米軍はファルージャ市民を虐殺している 04年4月15日から引用。

イーワ・ジェシウィック
             4月11日 オキュペーション・ウォチ掲載


 米軍はファルージャで、クラスター爆弾や大砲を使って、罪もない女性や子供たちをすでに数百人殺した、と現地の目撃者は告発している。その残虐さは、イスラエル軍によるジェニンの難民キャンプでの大量虐殺よりもひどいと描写する人々もいる。 筆者はこの3日間、ファルージャから負傷者をバグダッドに運び出した友人たちと電話で話した。ここに彼ら3人の証言を書きつづることにする。

*イタリア女性、ポーラ・ガスピローリの証言
 
 ファルージャでは大量虐殺が行われています。すでに470人が殺され、1700人以上が負傷しています。停戦など、実際には履行されてはいません。市民の中で、女性や子供たちの多くは街を逃げ出そうとしています。 バグダッドへと向かう橋も、米軍により破壊されました。米軍は救急車にまで発砲するので、路上の負傷者を病院に運ぶことさえできません。 私はもっとイラクにいたいのですが、危なくてこれ以上ここには居られません。すでに外国人が27人も人質にされています。イタリア人の私も誘拐の目標になっているんです。私は飛行機でアンマンに飛びます。

*今日、そしてこの数日間、ファルージャにいた友人男性の証言

 私たちはこの目で見たんです。ファルージャから逃れた何千人という人々が、13キロメートルにものぼる車列を作ってバグダッドを目指したのですが、砂漠で立ち往生しているんです。そして米軍は、その難民たちに向かって爆撃しているんです。 米兵はイラク人家族たちを攻撃しているんです!子供や老人や女性たちが、砂漠で米軍に痛めつけられているんです。

 ファルージャ市内では、米軍はB52爆撃機を使って、爆撃したんです。彼らは病院も爆破しました。別の病院に傷ついた子供がいたのですが、その子の家族25人が全員、爆撃で殺されたんです。 米軍は空からクラスター爆弾を落としています。クラスター爆弾は地上で3ー4メートルジャンプするんです。街の路上では殺されたイラク人がころがっています。米軍は「停戦する」と言いながら、また空から攻撃を仕掛けてきたんです。

 これは大量虐殺です。どうか助けてください。世界中の人々に、大使館に抗議するように頼んでください。私たちには外国人が必要なんです。外国人ならここで何かできます。 私たちはこの3−4日間、ほとんど眠っていません。明日は外国人たちで米軍の検問所に抗議に行きます。

*イギリス人ジャーナリスト、レイ・ゴードンの証言

 ここはもう狂気のさたです。私は自分の命がどうなるかも分かりません。外国人は徐々に殺されて行くでしょう。ファルージャのイラク人たちは、どんどんと絶望の崖っぷちに立たされています。 彼らの母親や父親や家や犬や猫や・・・すべてが爆撃されたら、イラク人たちは外国人を襲いはじめるでしょう。

                (抄訳・パンタ笛吹/TUPチーム)

米軍はファルージャ市民を虐殺している

ダール・ジャマイル 4月13日 アンチ・ウォー掲載  

ファルージャではここ数日間、市全体が米軍により包囲され、水も電気も ないまま、一般市民が「集団処罰」を受けているという。なのにマスコミは その惨状をほとんど報道してはいない。  実際、ファルージャ市内で取材している記者は、たった二人しかいないの だ。私は現場で起こっているだろう残虐行為をこの目で見て世界中に報らせ るめ、ファルージャに行くことにした。  

バグダッドの友人たちの助けもあり、私たち世界各国から集まった小さな グループは、医薬品などの人道支援物資を大型バスに積んでファルージャに 向かった。いつまた始まるか分からない次の虐殺の前に、負傷者たちをバグ ダッドの病院に連れ帰ることも、このバスの目的のひとつだった。

いまとなっては、バグダッドを離れるだけで危険きわまりない。米軍はヨ ルダンまでの道路を封鎖している。ハイウェーでは爆破されたタンクローリ ーが道路わきでくすぶっていた。また、抵抗勢力の攻撃を受けたばかりなの か、まだ黒煙をあげている米軍の巨大なMー1戦車の横も通り過ぎた。  途中、道路わきの小さな家から子供が飛び出し、バスに向かって、「ぼく らは死ぬまでムジャヒディン(聖なる戦士)なんだぞ!」と叫んだ。

最初の米軍検問所では、米兵たちはすでに30時間ぶっつづけでそこにい るとぼやいていた。兵士たちから車内検査をされたあと、バスはファルージ ャに向かった。そこでも道路わきに、破壊され放置された武装軍用車があっ た。  ちょうど近隣の村人が、その軍用車からたくさんの箱を略奪し、運んでい るところだった。路上には他に車が走っている様子はなく、それはまさに殺 伐とした風景だった。  

いったんハイウェーの検問所から離れると、もうそこには米軍の姿はまっ たく見えなかった。私たちは、ムジャヒディンが米軍から奪還した領域にい るのだ。  バスが農道を通過する間、イラク人とすれ違うたびに彼らは、「ファルー ジャに行くのか? 神の祝福があらんことを!」と叫びかけてきた。すべて のイラク人が私たちのバスに向かって手を振ったりピースサインを出したり した。  

町に近づくにつれ、道路わきの子供たちがパンや水を、無料で人々に渡し ているのを見た。子供たちは平たいパンのかたまりを、バスの中の私たちに も気前よく投げてよこした。  これらイラク人たちの隣人愛というか親しく接待する気持ちは、信じられ ないほどだった。彼らはみんな私たちを歓迎してくれているようだった。  

ファルージャに到着するなり、市内から巨大な爆煙がのぼるのを見た。 米軍が大きな爆弾を投下したのだ。「一時停戦」なんて、あったものではな い。  ファルージャ市内は、ムジャヒディン戦士たちがそれぞれの街角で待機し ている以外は、ほとんどもぬけのからだった。ここは、戦闘中の街なのだ。  私たちのバスは、イタリアのNGOから託された医薬品を届けるために、 町中の小さな医院に向かった。    

街でいちばん大きな病院は、そこに出入りしようとする人々を米兵が狙撃 するので使えないし、もう一つの病院は米軍がすでに爆撃したので使用不能 だ。いまファルージャで機能しているのは、二つの小さな医院だけだった。 それはこの医院と、もうひとつは車の修理工場内に設置した臨時医療所だ。  

私がその小汚い医院にいる間に、米兵に撃たれた女性や子供たちがひっき りなしに運び込まれた。ひとりの女性は首を撃たれ、息をするたびに妙な音 をたて、苦しそうにもがいていた。  同じく首を撃たれた小さな子供は、医者が必死で命を救おうとする間も、 うつろな目を空に向けて、口から何かを吐き続けた。30分たったころ、医 者は二人の命をあきらめざるをえなかった。  外では狙撃の音が断続的に続いていた。米軍の侵略行為で傷ついた犠牲者 が次々に運ばれたが、そのほとんどが女性や子供たちだった。  

夕方、モスクのスピーカーから「ムジャヒディンは米軍の軍用車隊のひと つを壊滅させた」との放送があった。すると町中から歓声があがり、お祝い の銃声が道々にとどろいた。  そしてモスクから祈りの詠唱がひびきわたると、この町の人々の決意と自 信がひしひしと伝わってきた。  

11歳の小さな少年は、自分の背丈ほどもあるカラシニコフ銃を手に持ち 医院のまわりを警護していた。彼は銃撃戦になるのを恐れてはいなかった。 米兵はこの11歳の少年と戦うことをどう感じているのだろう? とふと思 った。  

次の日も、ファルージャを去るときも、私はいくつかの少年のグループが ムジャヒディンとして戦っているのを見た。

医薬品を医院におろしたあと、私は3人の友人といっしょに、まだ動いて いる救急車で、路上の負傷者を乗せて連れもどることにした。その救急車の フロントガラスには、すでに三つの弾痕があった。米軍狙撃兵が救急車のイ ラク人運転手の頭を撃ったのだ。  外では爆撃が散発的に爆発し、銃撃の音がしばしば聞こえるなか、今度は 私たち外国人が救急車に乗っていれば、米兵も狙撃しないだろう。そうすれ ば、路上で苦しんでいるイラク人負傷者を助けられると思ったのだ。    

夜になると、私たちは地元民の家に泊まった。そこの家主は、自分がここ 数日間に撮影したビデオを見せてくれた。次々に出てくる、血まみれになっ て殺されたファルージャ市民たちの映像・・・中でもひどかったのは、お乳 を吸っていた赤ちゃんが、母親の胸から引き剥がされ、海兵隊員によって、 無惨に殺されてしまった姿だった。。  

私がファルージャにいる間中、ひっきりなしに聞こえてきたのが米軍が放 った遠隔制御無人戦闘機のブーンブーンという音だった。夜、私たちがから っぽの街路を宿泊所まで歩いていくときも、無人戦闘機は私たちの上空を飛 びながら、いくつかの照明弾を発射した。  私たちは走って近くの壁に身を隠した。クラスター爆弾を落とされるので はないかと恐れたのだ。  地元民の話では、今夕、医院に最後に運びこまれた二人の犠牲者は、クラ スター爆弾でやられたそうだ。二人の体は引きちぎられ、恐ろしいくらいに 焦げていた。  

翌朝、友人の女性は、また救急車に乗って、米軍に狙撃され傷ついた老人 を医院まで運び込んだ。この老人は自分の家の前で撃たれて倒れたのだが、 その妻と子供は、さらなる狙撃を恐れて外に出られないので、家の中から、 外で苦しんでいる老人に向かって泣き叫んでいたという。  病院に着いたときには、老人の体はすでに硬直していて、その傷口にハエ がたかっていた。  

状況はひどくなるばかりだ。米兵からは「掃討作戦」が始まるので待避せ よとの警告も受けた。私たちはバスに乗せられるだけのイラク人負傷者を乗 せてバグダッドに向かうことにした。  帰りの路上では、もっと多くの米軍用車が「自由の戦士」たちに撃破され て、黒煙をあげていた。  

私がこのレポートで伝えられることは、ファルージャではマスコミが伝え ているような「停戦」など履行されていないということだ。イラク人の女性 や子供が米狙撃兵によって、撃たれ続けているのだ。  ファルージャではすでに六百人が、アメリカの侵略により殺された。住民 は二つのサッカー競技場を集団墓地にして、次々と死体を葬っている。    

そしていま、米軍は最大スケールの侵攻を再開しようと準備している。 四人の米国人警護員(実際は傭兵であり、住民に憎まれている非公式の戦闘 員)が殺されたので、その犯人を捕まえるためにという口実で、これらすべ ての惨劇が起きているのである。                                  

(抄訳・パンタ笛吹/TUPチーム) 

原文はこちらです。
http://www.antiwar.com/orig/jamail.php?articleid=2303



2003年3月米英軍によるイラク攻撃関連の疑問点
  1. 2002/10/01に国連監視団による大量破壊兵器査察をイラクが受け入れたにもかかわらず、10/12に米国がイラク攻撃準備(地上部隊の湾岸派遣命令)をしたのは、なぜ?
  2. 2002/11/27に国連監視団によるイラクの査察(武装解除)開始。2003/01/09安保理での中間報告、01/27 査察継続を要請と平和的にイラクの武装解除が進行している時点で、米英軍が先制攻撃を決めたのは、なぜ?
  3. 2003/03/20 米軍によるイラク攻撃開始。国際法上の解釈は?
  4. イラクが大量破壊兵器を保有している証拠は?
  5. イラク国民は米英軍の進出を支持している?
  6. 米国の大量破壊兵器所有はかまわない?
  7. イスラエルによるパレスチナ占拠はかまわない?
  8. 戦争を引き起こしているのは国家、それとも個人?


スコットリッター氏講演
正当性なき米国のイラク攻撃 by 青山貞一 No Justification for U.S. Attack on IRAQから引用
第一部 スコット・リッター氏講演
 2003年2月6日午後6時〜午後6時50分 東京大学駒場900番教室
<通訳 星川淳氏、トランススクリプト 池田こみち氏>

 イラクが大量破壊兵器をいることが世界の脅威となっているが、私は、イラク武装解除のため、査察官として7年間にわたりイラクで過ごした経験がある。91年当初、イラクは兵器を隠したり査察を妨害したりしたが、我々査察団はそんな中でも大きな成果を収めることができた。96年までにイラクの90〜95%の大量破壊兵器を検証可能なかたちで破壊することができた。それには兵器工場や設備の100%が含まれる。しかし、5〜10%は、不明なまま残った。それらについて、確認するため、94〜98年、イラク全土に査察・監視のための立ち入り査察を行ってイラクを包囲し、厳しく調べたが、大量破壊兵器が残されているという証拠はなかった。

 しかし、その後も国連安保理は100%の大量破壊兵器の破壊が目標であるとして、査察がまだ不十分だと主張している。査察が成功するためには、次の3つの要件が必要である。

@イラクが100%査察に協力すること。

A国連安保理がイラクの大量破壊兵器を除去することを選択した以上、 それをバックアップする体制を構築すること。

Bイラクに法の枠組みに従うことを求めるなら、査察自体が(国際)法 の枠組みに従って行われることを確保すること。

 しかし、イラクは私が査察官だったときには、十分な協力をしなかった。
国連安保理も法律の枠組みに沿った査察の執行を行うためのバックアップをしなかった。

 その責任はイラクにある。しかし、第三の要件が重要である。91年の初めからはじから査察がはじまったが、そのころからイラクのサダム・フセイン政権の転覆がアメリカの政策の最優先であり、査察よりそのことを重視してきた。

 アメリカがサダム・フセイン政権の転覆を最優先としたため、その目的を追求するためには査察を利用するが、そうでなければ査察を妨害するという政策が、第一次の査察活動を非常にやりにくくしたことは事実だ。

 国連安保理の決議による査察は、イラクの武装解除が目的であって、サダム・フセイン政権の転覆ではない。しかし、アメリカは、査察プロセスをフセイン政権を転覆させるために使おうとした。査察をサダム・フセインの身辺情報収集、すなわち諜報活動に利用した。さらに、多様な局面でイラクを挑発し、軍事活動の引き金として査察活動を使おうとした。

 イラクは査察活動、国連安保理の決議に完全に従った訳ではなかったが、イラクに査察を停止させる原因があったのではなく、アメリカが査察活動・査察プロセスを行き詰まらせるような妨害行為を行ったため、98年に中断せざるを得なくなった。国連安保理の決議のもとに行われた査察活動が、アメリカの単独主義によって中断せざるを得なくなったことは事実だ。

 98年に査察団がイラクを出て査察が中断されたが、その時点で100%、イラクが潔白になったわけではないが、イラクが国連案安保理の決議の査察中断に導いた訳ではない。その時点で国際社会にとって脅威となるようなものを持っていたわけではない。91年〜98年の査察で大部分の大量破壊兵器が破壊された状態だった。

 98年春、私は査察官を辞めた後、アメリカの国会で話をしたことがあった。そのとき、査察を引き上げれば、6ヶ月でイラクは生物兵器や化学兵器の工場を再建する可能性があると指摘した。その後4年間査察の空白があり、その間にイラクは再度、兵器を製造したり隠したりできた可能性もあったわけで、それを憂慮するのは当然だ。だから、自分としては、4年間の空白の間も査察を続行すべきであると主張してきた。国際法の枠組みの中でやることをやってから戦争に進むべきであり、法の枠組みの中で調べつくすことがまずは重要だ。

 昨年の秋、イラクは再び査察を認めた。今回はイラクはすべての査察を無条件で受け入れている。今回は国連安保理決議に協力しない場合には、イラクは深刻な事態を招くという条件がついていて、法の枠組みが以前よりしっかりしている。 従って、今回は先に述べた三つの要件のうちの@とAは満たされているが、Bの要件が整っていない。それは、アメリカが依然としてイラクの大量破壊兵器の破壊よりも、サダム・フセイン体制の転覆を最優先しているため、国際法の枠組みにそったものとなっていない点である。

 国連安保理決議の命令は大量破壊兵器の破壊であり、アメリカは国連安保理の一員である以上、それに従わなければならない。完全に国際法の枠組みから逸脱するものであり、査察をとりまく状況をゆがめている。

 アメリカは表面では査察を望むといっているが、実は、イラクの大量破壊兵器の除去が完全に行われてしまえば、経済封鎖が解かれて、再びサダム・フセインが国際社会に復帰することになり、アメリカにとってそれは絶対に容認できないことである。

 アメリカはイラクを武装解除したいのではなく、占領したいと考えており、それは査察を通してではなく軍事的に占拠しサダム・フセインを追い出して武力で取り除くということがねらいだ。

 したがって、査察が成功裏に進んで終了することはアメリカにとって敵(好ましくないこと)なのである。

 査察が理想的に進んだ場合、大量破壊兵器がなかったら査察にさらに時間が必要となる。

 4年間の空白があったので、査察にはある程度は時間がかかる。イラクの協力を得て、何も見つからないことが望ましいことだが、アメリカはこの結果にい満足しないし、想像もしたくない。アメリカはあくまでも大量破壊兵器をどこかに隠していたり、造ったりしていると主張している。しかし、それには証拠が必要だ。

 アメリカが出した証拠はほとんど状況証拠に過ぎない。昨日のコリン・パウエルのプレゼンテーションにも確かな証拠だと主張した割には、何ひとつ確定的な証拠はなかった。

 兵器工場の写真を見せていたが、裏付けがない。盗聴テープなどを出していたが、全体の文脈や誰がどこでどんな目的で話しているのかがわからなければ、証拠にならない。

 亡命者の発言や証言は、私も多くの亡命者から聞いているが、信用がおけないし、証拠がない。
 
 イラクが1200kmの距離まで届くミサイルをもっていると主張しているが、何も証拠を見せていない。また、18台のトラックが移動式の生物兵器、化学兵器製造工場として存在しているというが、絵をみせるだけで、写真も何もない。これらをみても、コリン・パウエルの昨日のプレゼンにはほとんど証拠がなく、失敗だったと言える。

 すべてのパウエルの主張については、査察をひとつひとつ行っていけば証拠としては退けられるものだ。査察はアメリカにとって敵、それを早くやめさせたいと考えている。

 18台のトラックをもっているなら、イラク中のトラックをすべて査察して見つからなかったどうするのか。イラクが査察の入る前に運び出したというのか。査察でみつけられないとすれば、そういうことでもないとおかしい。

 コリン・パウエルは世界の人々に査察に対する疑義を植え付けようとしているに過ぎない。2月8日、UNMOVIC委員長が査察を再開し、14日に国連安保理で次の報告を予定している。15日、おそらく何も出てこない。イラクの協力は十分だったという結論に達するだろう。

 しかし、アメリカはもし査察で何も見つけられなかったとしても、戦争への支持をどう取り付けるかが最大の懸案事項となっている。査察は意味がないと主張するだろう。

 イラクを武装解除させる唯一の方法がイラクを侵略することと考えている。力でねじ伏せるしかないと。

 アメリカの目的は結局、イラクの武装解除ではなく、フセイン体制の転覆であり、その目的のために、国際法上まったく根拠のないことをやろうとしている。

 日本も是非そのようなアメリカのやり方に反対してほしい。


第二部 パネル討議
 「イラク戦争」を考える(概要)
 
2003年2月6日午後6時〜午後6時50分 東京大学駒場900番教室にて


パネリスト
・スコット・リッター(元国連大量破壊兵器査察官)
・姜  尚中(東京大学教授)
・首藤信彦(衆議院議員)
・高橋和夫(放送大学助教授)
・田中  宇(ジャーナリスト)
・石田英敬(東京大学教授・司会)


<通訳 星川淳氏、トランススクリプト 池田こみち氏>
(メモによるため、一部正確ではないことに注意。池田こみち)

Part1
石田:まずお一人ずつお考えを短めにお願いします。

高橋:二つの視点があると思う。

@コリンパウエルの国連安保理の証言の後半で、アルカイダとイラクの関係についてイラクの北部にテロリストの訓練基地があり、化学兵器、生物兵器を作っていてそれがヨーロッパに流れていると言う部分があったが、もしアメリカがそれを知っているなら、そこを先に爆撃しているはず。

Aアメリカのイラク攻撃の合理性について、サダムフセインは悪であると主張するが、80年代のイラン・イラク戦争のときに、サダムフセイン体制をしゃかりき支え、情報提供し、兵器の提供をし、クラスター爆弾を提供してきたのはアメリカである。その先頭に立ったのがラムズフェルド氏(現米国国防長官)であることは間違いない。

 これらのことは、アメリカはサダムフセインが悪であるというなら、80年代になぜそこまで肩入れしたのか。アメリカこそが悪ではないのか。論理矛盾である。この二人を査察すべきである。

首藤:1月27日、国連安保理でブリックス氏とエルバラダイ氏の報告があったが、それを生で見た人がどれだけいるか。日本のテレビは(正確な)情報を流していない。世界的な危機なのに、夜中のテレビは女性の裸やNHKではシルクロードを放映している。ブリックス委員長は、「よくここまできた。これからが本当の査察だ。」と言っている。エルバラダイ氏も、「イラクには核兵器は絶対にない・もう少し査察が必要だ。」と言っている。ところが翌日の新聞は全く違う内容だ。
 コリンパウエル氏の説明はあまりに幼稚でばからしい。はずかしい内容だった。ライブで見る情報と日本の情報は違いすぎる。ロシアの詩人の詩に次のようなものがある。「最初の戦争に責任者はいない。2つ目の戦争は、誰かの責任だ。そして、3つ目の戦争は自分の責任だ。」と。これからの戦争が止められないとすれば、それは私たち一人一人の責任と考えるべきだ。

姜 :リッター氏の発言を聞いて、アメリカのイラク攻撃は「大仕掛けのえん罪」であると感じた。死刑執行人は決まっている。わかっているのに止められない。この状況は北朝鮮問題に直結する問題だ。アメリカは北朝鮮の核問題を国連安保理に提起し、北朝鮮を孤立させようとしている。このことは日本と朝鮮半島にとって重大な問題だ。北朝鮮に核兵器があるのか。核実験をしていない段階で、核兵器は持っているとは言えない。

 体制の崩壊(倒壊)という目的は北朝鮮に対しても同じこと。アメリカにとって望ましい体制とすることが主眼ではないのか。それと連動する力が日本の中にも働いている。国家社会主義の国には今までも多くの残忍な抑圧や制裁があった。北朝鮮やサダムフセインをヒットラー視するのは危険だ。イラク攻撃は日本に直接影響を与える問題であることを考えるべきである。

田中:1月6日〜21日にイラクに行って取材を行った。サダムフセイン政権をつぶしたい人と潰したくない人がアメリカにもいる。潰したくない人がコリンパウエルやべーカー等だ。中東の国境線を維持して石油資源を分断しておきたいと思うのが潰したくない人の考え方。戦争をしたい人はイスラエルのシンパである。中東の混乱はイスラエルにとって有利となる。昨年12月、トルコ、イラン、サウジの通商代表がイラクに来ている。バクダッドの株式市場で12月に最高値がついている。そんな状況で戦争は本当にあるのか、とも思う。日本ではメディアが機能していないのが問題である。裏読みが必要だ。

リッター:12万人の米軍が現在湾岸に展開しており、彼らは野球をするために行っているのではないので、おそらく戦争は起こるのではないかと思われる。自分は愛国者である。軍人として国のため、国際社会のためにこれまでも闘ってきた。その私がアメリカ政府の方針に反対するのは、自分の信じる本来のアメリカの価値に反するものがあるからである。(イラク戦争に)反対することは売国奴や非国民ではなく、それこそが愛国的な行動であると思う。反戦こそがアメリカのためになることであり、友人ならば「友が酔っぱらって車を運転することを許さない」という言葉のとおり、 日本人も友人の酔っぱらい運転手の肩越しからそれを阻止してほしい。市民の声を政府に聞き届かせることが必要である。

Part2
高橋:15万人もの兵隊が既に現地にいっていることが悲観的。

首藤:ラマダン副首相と会ったが、イラクでは確実に戦争になると言うことで、カラシニコフという機関銃をみんなが持っている。アメリカも簡単に攻められない。戦争のキーワードは「動員」である。動員をはじめたらなかなか戦争は止められない。客観的に見て難しい。クウェート侵攻とは違って、自国を守ろうとする国を攻めるのは簡単ではない。しかし、(戦争を)止めるチャンスはあり、それをどう生かすかが問題だ。

田中:アメリカの戦略はどう変わったかを確認したい。石油がどうなるのか。
 日本は対米依存を強めざるを得ない。アラブを簡単に民主主義にすることはできない。中東のことをもっと知らなければ。中東流の民主主義を考えるべきだ。

司会:次に、@アメリカにおけるネオコン(Neo-Conservative)とは、A体制(regime)の問題、についてご意見をお願いしたい。

リッター:アメリカは法治国家であり、憲法によってたっている国である。しかし、法は常に便利なものではないことも事実である。多くの人が比較的安定した状態で暮らせるためのものであり、法がすべての人に平等を保証するためにある。アメリカの対外政策もアメリカの理念と整合性をもった政策であるべきだ。

 戦後の米ソ二極時代には一定のバランスがとれていたが、ソ連が崩壊し、真空化したことによってアメリカの一極化が進んだ。アメリカは、Super Powerになった。しかし、「絶対的な権力は絶対的に腐敗する」ということも事実だ。

 Neo-Conservativeは、現在、アメリカの意思決定システムを乗っ取った状態だ。一国主義的に世界支配をめざしそれを実現しようとしている。しかし、それは危険なことだ。アメリカは今、アメリカの価値を代表している憲法の精神とずれている。オサマビンラディンが国際社会にとって最大の脅威といわれるが、独善主義的な米国こそが最大の脅威である。

司会:アメリカのBushism vs フセイン体制についてどう考えるか。

姜 :Neo-Con.かLiberalか、RealismかIdealismかというと、今のアメリカには全くリアリズムがない。ジョージケナン氏ですらブッシュを批判している。相手を完全に殲滅する、空爆するというやり方は日本モデルをもって世界、アジアを叩くというやり方に他ならない。そこでは全くPower Politicsが成り立っていない。もし、国連安保理が拒否権を出さずに向って行った場合、帝国(Empire)としての米国が立法、司法、行政、軍のすべてを束ね、国連がその下請化するということが最も恐ろしいことだ。その両者(アメリカと国連)の間に補完関係が成立すると怖い。アメリカのように自分の気に入らないいやな奴をラベリングし、EvilだTerroristだと決めつけ、軍隊で潰して後始末を国連がするという構図になったら問題だ。

 79年のイラン革命の逆のこと。アメリカにNOという国に対しては、核攻撃すら辞さないというのは大変なことだ。汎暴力主義がひろまっているのはひどいことだ。戦争しかないと言う考え方は問題。いわゆる日本モデルが本来の平和主義(戦争放棄)としてモデルにならなければならない。

高橋:Neo-Con.は民主化すれば中東が思い通りになると思っているが、政府が親米だとその国の国民は反米、国民が親米だと政府は反米になる。査察が必要なのはブッシュの頭の中ではないのか。

司会:それにつけても嘆かわしいのは日本の状態ではないのか。

首藤:(イラク戦争)は複雑な戦争だ。ブッシュファミリーの怨念かということも当初あったが、それだけでなぜこんな動きになっていくのか。加えて、イスラエル・パレスチナ問題もある。危ないのはイラクかというと、むしろ危ないのはサウジ。石油の安定供給国としてイラク・サダムフセイン体制は中東の安定を考えている。軍事産業が存立できるか。そのためには敵国が必要。テロリズムと闘うような話では軍事産業は儲からない。敵国がどうしても必要となるのだ。現在でも小泉政権の人気があることが問題。(意味不明)

田中:アメリカの経済支配力は衰えつつある。アメリカは軍事を換金しようとしている。Neo-Con.はよくわからない。オサマビンラディンはアメリカにとってソ連に代わる格好の敵となっている。「文化の衝突」という本は、まさにアメリカにとっての(ビジネスの)企画書のようなものだ。日本人はもっと韓国や朝鮮半島と仲良くすべきだ。アメリカのプロパガンダに乗ってはいけない。

首藤:アメリカに毒されている。有事立法も同じ。他国の軍隊が駐留している国は、有事には他国の支配下におかれる、というのが事実だ。

リッター:イラクの大量破壊兵器の5〜10%は不明ということだが、炭疽菌については、91年に最後に製造されたが、96年に国連の査察で完全に破壊した。炭疽菌は製造後3年しかもたないので、今はないはず。また、化学兵器についても当時のイラクの設備は古くレベルも低いため5年しかもたない。83〜85年に作られたものは質が悪い。

 現在の査察は「full Access」を可能としているので無制限の立ち入りが可能。そのような状況下であらたに大量破壊兵器を持つことは難しい。UNMOVICは私が勤務していたUNSCOMの時の査察に比べて10倍有効に機能している。フセインの寝室にも立ち入ることができるのだ。

 なぜ査察官のなかで私だけがこのようなことを発言しているのかと言う質問だが、91〜97年のUNSCOM委員長だったスウェーデン人も私と同じ意見。8人のイギリスの査察官、フランス人も同じ意見だ。

 最近7年くらいの亡命者の発言にはあまり信憑性がない。特に戦争か平和かを決断するような材料としては使えない。

 今日、お集まりの皆さんは、戦争反対の強い気持ちをもっていることが伝わってくるが、問題はその気持ちを意思として政府に伝える行動を起こすことが大切。是非、日本がアメリカの属国とならないように、がんばってほしい。