+mild+
世間は 空しきものと あらむとそ
この照る月は 満ち闕けしける
summer times
蛙の合唱が息をひそめ、蝉がいそぐようになきだした。雨粒が降ってくるは
ずの空は陽射を注ぎ、灰色の雲は真っ白な絹に変わった。ゆるやかなカーブを
描くカーテンはそのままで、作り出す物が自然から機械へと転じていた。水滴
と共存する紫陽花の色味はすっかり消え、太陽を真っ直ぐに見つめる向日葵が
背伸びをしていた。水たまりは既に足元にはなく、道のずっと先に漂っていた。
柔らかさよりも激しさをあらわしていた。静寂だった午前が、子供達の声に縁
どられた。凝縮された時間は広がりに広がり、薄いスープとなった。その一方、
日常にはタイムリミットが生まれた。
季節の移り変わりは日に日に見えない所で行われる。刻々と準備は進められ、
内々に全ては完了する。月が笑っていた。謎解きを示されても、答えとなる
ものは、ない。言えることはこれしかない。
心頭滅却すれば火もまた涼し。
そういうわけで、夏がやってきました。
チキチキオンカチカチ
振りむくたびに見えるのは違う情景。
手をのばしたとしても決して報いをうくことない恩恵。
暗い闇の中で次第に目が慣れてきたような安堵感。
光を知った時に涌きでた異様な恐怖感。
怒りを覚えることで消化していた過去。
悟りを示すことでぬるく緩めていた自己。
向かうべき道を探し当てながら
それでも僕等は歩き続けてゆく。
これをラップ調でやってください。真顔で。
首だけ前後させて。
理想と現実
今、どういう風に言えばわかってくれるのだろう。
日々はさりげなく過ぎていくけれど、記憶まではさらってくれない。
もうどれくらいたったのか。明白なのはたった一つだけ。
一から十まで手取り足取り教えてくれた人は、もういないということ。
日常から外れ、共有していたものが次第に消えていった。
中途半端に思いだけを残して、あとかたもなく消えてしまった。
ええ、私は元気ですとも。
ふたりでいたあの時から何も変わっていませんとも。
えはがきをくれたから、忘れていた情熱らしきものもまた燃えてますとも。
ふと目をやった折、あなたのにおいがしました。
やるせない気持ちになって、貼りつけてあった花びらに思わず頬ずりをしてしまった。
りくつなんかでは、到底説明できない。
まだまだ、わかってもらうには時間がたっぷりあるのだから、
しんじることを、しんじてみようかと思うよ。だから帰ってきたら、
ただいま、の一言だけで全てを許してあげる。
。
現実はたて、ということですか。
7.6
吉田カバンを山田カバンだと思っていました。
山田うどん。
ひかりとかげ
ひかりがないとくらくて生きていけないの。でもひかりが強くなればなるほ
ど、かげもよりいっそう濃くなってしまうの。かげができてしまわないように
必死で体を抱えこんでも、後ろには絶対かげがいて、わたしと同じくなくなる
ことはない。かがみとはまた別の、表情のないかげはただ無言で、行き先を決
しておしえてくれない。そしてさむさもあつさも感じることはなく、コントラ
ストとして存在するだけ。あのお話のように、かげがわたしと入れかわってし
まったらどうなるのだろう、と考えてはみても、やっぱりかげはわたしと同じ
動作をし、何一つ変わりばえしない。
まばゆいくらいのひかりがわたしをてらして、手で顔をおおうけれど、そう
したら今度は顔にかげがうつってしまうの。くらい、くらいかげ。だからわた
しは手を元の場所にもどして、かげを見ないようにとひかりを見続ける。目を
開いていられないくらいまぶしいひかりがわたしをてらす。やめて、もうこれ
以上かげを浮きあがらせないで。そう願ってわたしはそっと振りかえる。くら
い。吸いこまれてしまいそうなくらさがそこにはある。目をそらしても、まだ
残像が残っていてなかなか消えそうもない。
くらくないとあかるすぎて生きていけないの。おひるの日差しはわたしには
強すぎて、まっすぐに見ることができないの。くらくなるとわたしのかげも薄
くなってくれて、あらゆるものが一体化した気がして少し、うれしくなる。木
のかげとわたしのかげが同化して、とけあう。そうするとわたし自身も木と同
化した気分をあじわえる。でも、くらすぎる場所はわたしに不安しか与えてく
れなくて、自然とひかりのあるところへ足がむかってしまう。
よるがくるとやみがすべてを吸いこんでしまって、たまらなくこわくなって
しまうの。こどもみたいに泣きじゃくってしまうけれど、やみは静かにわたし
のことをみまもっている。このままいっしょになって、どこかへ旅立ちたくな
る。目を開けているのと閉じているのとではなにかが確実にちがっていて、こ
わくてもわたしは目を開けたままで、やみといきていた。ひかりを求めても、
どこにもない。
かげおくりをやった。わたしは、追いかけてくるかげがおそろしかったけれ
ど、がまんして上を見上げた。そうしたら、かげはやっぱりわたしとおなじポ
ーズで、空に立っていたの。かげに表情はつくれない、けれどわたしたちは確
かにわらいあったの。これからもよろしく、ってね。
バーゲンの季節と相成りました。
恥を捨てて金を捨てるか。
己を守って平をたもつか。
二つに一つ。
もちろん答えは最初から見えています。
バットアイハブノーマニーオーライ?
とまどい
かすかな戸惑いを僕はおぼえてしまうのです。いや、違和感とかそういう類
のものではなくってですね、妙にためらってしまうというか、それを違和感と
呼ぶのかもしれませんが、僕の中では違うのです。確実に何かが違っているの
です。わかりますかね、これ。あなたに言っても解決する問題ではないことだ
と重々承知していますが、それでも誰かに言わずにいられないのです。なんせ
僕は内に秘めておけるタイプではありませんし、嘘だってつけません。この前
も友人をだまくらかそうと計画を練っていたというのに、あまりに僕の様子が
おかしいのですぐに見破られてしまったのですよ。正直言ってかなりくやしい
ですよ。僕だって女のひとを手玉にとってあははーん僕の仔猫ちゃーん、とか
やってみたいのにですね、僕の性格上どうあがいても無理なのですね、かなし
いことに。
ではまず何から話しましょうか。といってもとりたてて長いわけでも意味が
あるわけでもないのですが、とにかく。とにかく、僕は戸惑ってしまうのです
よ、あらゆることに。今までは当然のこととして受け入れていたこととか、習
慣になっていたこととか、ほかにももろもろあるのですって、いや本当に。あ
れ? と思ってしまって、普段の生活に支障はないのですが、ただ最近あまり
にも戸惑いを覚えすぎてしまって、何かの病気ではないかな、とまで思うよう
になりまして。そしてこうやってあなたに話している次第であります。
具体的に話そうとしてもですね、どう表現していいのかわからないのですよ。
こう、ぼんやりとしていて例えるならお酒を飲んだ時のようなフィルターがか
かった感じ、ですかね。扱い方がわからなくてまた一段と、戸惑ってしまうの
です。はてはてこれは一体何なのでしょうか。わかりますか? 何せこういっ
た体験は初めてなもので、やはりここは経験豊富なあなたに、と思いまして。
それで僕はどうすれば良いのでしょうね。病院に行った方が得策なのですかね。
はい? ま、まさかそんな。僕に限ってそんなことはありませんよ。僕、真
剣ですよ。からかわないで下さい。やめて下さいよ。あ、また変な感じです。
視界がぼやけてきました。おかしいですね、今、目、開いてます? そうです
か。どうしてなのでしょう。ちょっと手をかざして頂けますか? あれ、全く
見えなくなってしまいました。真っ暗です。これ戸惑いどころじゃすみません
よ。このままだと僕どこにも行けませんよ、どうか僕を助けて下さい。自分で
はどうしようもないのです。教えてください、これは何なのですか。
恋は、盲目。
your advise
笑わせないで。こんなに必死にこらえているのに、ここで笑ってしまったら
苦労したかいがなくなってしまうじゃない。私はクールを気取っていて、絶対
に本音は見せないの。いい人のふりもちょっとだけして、黒い部分なんて出す
わけないじゃない。私を誰だと思っているの? もう何年も演じてきてるから、
化けの皮なんて、誰にもはげやしない。腹の奥底で誰にも気づかせないように
一人、笑っているの。それがまた、最高の蜜なんだから。
うん? 私の意見が聞きたいって? そんなこと聞いても無駄なのにね。か
わされるってことわかっていないの? あなた達が真剣になればなるほど私の
こころは冷めていって、今風に言えば「ひいちゃう」んだよね。どうにもこう
にもついていけないし、あまりにくだらないことで悩んでいる人を見ると、あ
ざ笑いたくなっちゃうんだよね。あはは、でも私がこう思っているなんて誰も
知らない。楽しい。そう、もっともっと私を楽しませてよ。
そんなアドバイス、何の意味もないのにあなたもかわいそうね。気休めって
わからないのかな。ちょっとでも冷静になれたならこんな簡単なことわかるの
に。くっだらない。あの人は物知り顔で言ってるけど、あなたのことなんかち
っとも知らないでしょ。あなたにとっては人生を左右するほど大切な問題なの
かもしれないけどね、他の人にとっては全く意味のない、単なる話のネタにす
ぎないの。それにしてもその話、おもしろすぎる。作り話じゃないとしたら最
高ね。努めて無表情になるようにするけれど、どうしても口の端が上がってし
まうの。本当、笑わせないで。
私だったらどうするって? そんなの簡単、私はあなたじゃないもの、わか
るわけがないじゃない。第一私はそんな油断しないし、いつだってぬかりはな
いのよ。甘く見ないで。あはは、そう、腹黒いから誰もわからないだけなの。
偽善ぶってる、ってふうにも見えないようにしてるからみんな騙されてる。馬
鹿ね。
カメラがひくと、そこにうつったのは一人の女と大音量にしたテレビのみ。
『おもいっきり生電話』
ちゃらっちゃちゃららら、ちゃららら、ららっ、たんたんたんたんたんたん。
奥さーん。
lazy rainy afternoon
初夏の夕暮れの、雨があがった後の、けだるい感じ。独特の世界をつくりだ
すあの時間は、何とも言えなく心地よい。私が感情であらわしてしまえばそこ
で終わってしまうから主観はなるべくまぜないようにするけれど、あの感触は
決して忘れられないものだ。
学校帰りに自転車をゆっくりとこぎながら、少し大きめの公園を通りすぎる
と、ちょっとなまぬるいような風が私のほほをなでていって、みどりも軽やか
にさえずっていた。公園は人数も少なく、私だけのもののように感じられる。
この場から去ってしまうことが惜しいことのように思えて、ペダルから足を外
し、地面へと降り立つ。湿った土はやわらかく私を迎えいれてくれる。優しい
足跡を後ろにこしらえながら、一人、足を止めて深呼吸をする。あめのかおり。
雨は嫌いとあの人は言うけれど、天邪鬼な私は逆に好きだ。好き、という言葉
を使いたくはないけれど他に表現しようがない。細かい粒の雨がうたうように
降る時も怒り狂ったような恐ろしい時も含めて好きなのだ。憂うつになるどこ
ろか自然と鼻歌が出てきてしまう程に雨のことがいとおしくて仕方がない。傘
をさすのさえ億劫な時もあって、わざとぬれて雨を感じながら家路に着くこと
さえある。
でも今日は雨は既にあがってしまっていて、残ったのは幻想的ともいえる一
枚の風景。私の中に入っていく空気はあらゆる成分を含んでいる、いわばビタ
ミン剤だ。この場をひとりじめしてしまうのがもったいないような気がして、
一瞬携帯電話へと手がのびるけれど、清閑を壊すことの方が誰に対してか、何
に対してか失礼に思えたので手はそのまま空中でとどまった。再び風が残り香
を運んでくる。目をつむってもその情景は消えない。これほどに穏やかになれ
る自分に驚きつつも、懐かしくもあるような気がする。思い出せそうでも思い
出せない。知っているからこう思うのか、それとも知らないからこう思えるの
か。
ふう、と軽く息をはき、視線は五十度上で歩き出す。花はまだ見えない。し
かしそれでも安らぐのは木々が優しく接してくれるからなのだろう。揺れる葉
っぱから小さな雨粒がおりてくる。腕に乗った彼らは二、三回揺れて土へとか
える。目を細めた私は何も言わずに歩き続ける。次第に道が開けて、花が咲き
乱れる場所へとたどりついた。やっと、人の気配がする。助走をつけ、自転車
に乗り、今度は真上を見上げる。
雲間から陽がもれていた。それでもけだるい感じは相変わらず、続いていた。
いいわけ
また笑ってさきのばし。
後ろに手を組んで、隠したものは
いつになってもそのままにしておいて
気づかないふり。
確信犯を演じるのにも慣れて、
曖昧な表現で大体うやむやにしてしまう。
そういうわけで、課題忘れました。
少女
頭が痛い。押し潰されそうになる。これ以上何も考えたくはないのに許して
はくれない。はたから見れば呆けているようにしか見えないのだろうが、中で
は凄まじいほどに様々なことが行き交ってゆく。言葉だけではなく感情、映像、
記憶さえ一瞬のうちに通りすぎる。走馬燈のように、とはこのことだったのか。
私はそれでも考えることをやめない。やめられない。自らやめることを拒ん
でいる感もある。わかってはいるが意識したからといってやめられるものでも
ない。他人任せにしたとしても収まるものでもない。考えていることはくだら
ないことではあるが、徐々に私の思考ごとどこかに持って行かれそうになり、
それを必死でおさえているのだ。誰かに言ったとしてもいかれちゃってる子、
としか思われないだろう。だから余計に見た目はぼーっとすることにしている。
ひたすら悩んで汗をにじませていることの方が余計、徒労だ。
頭が痛い。これは何だろうか。ある人は自己、といい、ある人は悪意、とい
い、ある人は世界、といい、ある人は倒錯、と呼んだ。それぞれに答えがあり、
しかしそれが全てではない。決めつけてしまうことで安心感を得ているにすぎ
ない。あるいは、共有することで偽りの糸を紡いでいるのか、ひとときの風景
を感じているにすぎない。私もその中の一人であり、同時に客観視する一人も
この頭の中にはいる。頭痛の原因はどちらの私なのか、さて、私自身にはわか
りえない。原因を探ったところで私が考えずにすむ方法などありはしない、と
わかっているから無駄に考えることをやめている。生じる撞着。
御託を並べ立てても言っていることに変わりはない。幼い頃から思っていた
ことが年齢を重ねるうちに、同じく化粧していったということだ。素直になれ
ばいい、という話ではないからこそ綺麗に飾り立てたくなる。本当は考えるこ
とをやめてしまったら自分に残るものがないかもしれないから、それが怖い。
私にはそれしかないのではないか、と思ってしまいまた思考は渦のなかへと身
を投げてしまう。守るために考えるのか、考えるために守るのか。
頭が痛い。いっそこのまま海へ沈んでしまおうか。考える必要のない無人島
へと一人で旅立ってしまおうか。喧騒は私に疑問を投げかける。その問いにこ
たえるべく、私はまた考えなければならない。海岸ではなく、思考の海へと。
無人島ではなく、漂流する個々の志向へと。
とびきりの頭痛薬はいまだに見つからない。
少し可愛らしく。風に吹かれながら思いました。
下記からどうぞ。
→ 風の強い日に 〜V.S wind〜
賛歌?
そう、例え馴れ合いだとわかってたとしても別にそれでいいのだ。表面は仮
面をかぶっておべんちゃらを言って、相手もそれをわかっているのだから無理
に気遣うことなどない。すりこまれた一握りの本音を探し出すのもまた一興。
いわば駆け引きだ。全てを口にしてしまえばそこで終わってしまう。知ってい
ても知らぬふり。胸の内で思ったことは決して吐き出さずに、別なもので消化
する。腹を立たせるよりもいっそその場を笑ってしまえ。自虐的であってもま
ず自分から傷ついたことにしてしまえば都合がよい。それでいいのさ。合う、
合わないなどという問題ではなくて、どう選んでいくかということだ。是か否
か明白な答えなどない。例え過去を振りかえってみても役に立つ情報などほと
んどありはしない。頼みの綱は今の、この自分だけ。先のことを考えろって?
今が楽しけりゃそれでいいのさ。そう言えるうちはまだ若いということなん
だから、めいいっぱい楽しむことにしよう。悩みなど二の次、とりあえず笑っ
てごまかせ。この宴を盛り上げようではないか。
校長先生の演説風に。これでいいのだ。
バカボンのパパですか。
きずあと
腕に残った、少しあかい線。
手を伸ばした時にふと目に入り、はっとする。
忘れていたはずの、嫌な思い出をなぞってしまう。
もう二度と同じ過ちはしない、と誓ったから
戒めのためにまだ消えないのかもしれない。
無意識に生じたこころの隙間。
気がついたときには真紅なものがしたたっていた。
ただ流れていくのを見つめていた。
痛みを感じることは今更ないのだが、ちくりと痛む所がある。
人に見られることを恐れててのひらは返さずに、さりげなく隠す。
誰にも言えない過去。
傷跡は何も言わずに、語りかけてくる。
猫にひっかかれるなんて、ばーか。
ちっ。
よそおい
もがけばもがく程穴にはまっていき、自らを責めてみてもどうにかなるわけ
でもなくまた落ちていくだけ。理屈だけで済ませられるのなら最初からそうし
ている。わからないのが歯がゆいから言葉にしようとしているだけで、本気で
わかる、なんて思ってはいない。手のひらにのったあめ玉を一つ一つ選ぼうと
しているだけ。しかしいくら繋ぎ止めようとしてもすり抜けていき、残るのは
悔いと名付られた甘え。後悔することが嫌いではない自分を罵ったところで状
況が好転するわけでもなく、また悪循環。逃避をする勇気さえない。正面切っ
て立ち向かっていく根気もない。周囲に在るものは全てこころに染みない。拒
絶、ではない。目を瞑り耳を塞ぎ世界を閉じ、それでどうにかなるわけではな
い。否定してばかり。使い古された常套文句を並べ立て、それで満足している
ふうに装っている。いまさらどうなるとでもいうのか。
今ここにある不満はただ一つ。そう、つまりは試食したチーズがくそ不味か
ったということだ。