珈琲時光

◎概要

タイトル 珈琲時光   原題:
監 督 候孝賢(ホウシャオシェン)(台湾)  
製作年:放映時間 製作年:2003年   放映時間:103分
舞台となる国 日本国  Japan
空間的移動など ほぼ1点型:東京都内(特に神田神保町)、群馬県吉井町
アクティビティの
ポイント
○台湾の監督からみた東京
感想一言 松竹が小津監督の生誕100年記念映画を台湾の候孝賢監督に依頼した「現在の東京物語」。都会で暮らす子どもを心配する故郷の親という構図は、世界共通かもしれない。
東京を中央線と都電という対照的な鉄道を利用して表現するという感覚が新鮮だ。東京は鉄道の街なのだと気づく。浅野忠信が特にいい。
配給会社 松竹
公式サイト 珈琲時光 公式サイト
 注)ストーリーや登場人物などについては、上記の公式サイトかミニパラ を参照してください。

◎アクティビティ

Q1: 肇の古本屋がある千代田区(神田神保町)と、陽子の故郷である群馬県吉井町を比較してみよう。
A1: 比較表を作成してみました。

  東京都千代田区 群馬県多野郡吉井町
面積 11.64 キロ平米 58.35 キロ平米
人口(2000年) 36,035人 24,845人
昼間人口(2000年) 855,172人 20,793人
可住地人口密度 3,402 人/キロ平米 678 人/キロ平米
事業所数
従業者数
36,104 事業所
888,011 人
1,135 事業所
8,738 人
農業粗生産額 - 千万円 229 千万円
商店数
小売業売場面積
3,438 店
336,881 平米
231 店
22,720 平米
平均地価(全用途) 30,336 百円/平米 571 百円/平米
鉄道・駅 全部で28駅。
御茶ノ水駅(総武線、中央線、丸の内線)、東京駅、大手町駅など。
1日あたり乗降客数(平成10年度)
 御茶ノ水駅 240,647人
上信電鉄上信線
1日当り輸送人員(平成15年度)
  馬庭駅   495人
  吉井駅   342人
  西吉井駅 155人

駅の様子 中央線の駅はプラットホームが多く、それぞれ大きな屋根があり暗い。
コンクリートばかりで美しさは感じられない。
ホームは1つ?で屋根が小さく明るいオープンエア。
駅舎に住みついた猫がいて、駅員や乗客に可愛がられている。駅の外にはコスモスが咲いている。
その他 東京の都心区。丸の内や大手町などのオフィス街がある。
神田神保町は古書店街として知られる。
典型的な日本の田舎といった感じ。
自然も多く残っており、のどか。

 千代田区は夜間人口が3.6万人なのに、昼間人口は85.5万人と約28倍に膨れ上がる業務都市。農業粗生産額はおそらく0。地価は吉井町の53倍。
 吉井町の昼間人口は2.1万人。吉井駅は342人の利用。
Q2: 中央線と都電荒川線を比較してみよう。

A2: 比較表を作成してみました。

  中央線(総武線) 都電荒川線
概要 東は千葉から八王子方面(最長は山梨県大月)まで、東京都を横断する路線。東京駅から八王子方面へは快速がでている。
東京に残る路面電車。早稲田から大塚、王子を経由して三ノ輪橋まで。王子駅付近など道路を横切るため信号待ちがある。
全線で50分所要。
線路の数 複々線(御茶ノ水以西は各駅停車と快速、両国以東は各駅停車と横須賀線快速) 複線(一部は道路と共用)
編成 20両?編成 2両編成
路線の役割 千葉方面や多摩地区からの東京都心部への通勤・通学者の利用が多い。 沿線住民の通勤・通学や生活移動用に利用されている。
沿線の様子 三鷹以東は大半が高架になっている。特に四谷から御茶ノ水付近は、旧江戸城の外堀などがある一方トンネルもあるなど地形の変化もあって楽しい風景。 主に住宅街の中を通っている感じで、窓から手を伸ばすと住宅といった感じの風景が多い。
映画での位置づけ 陽子の仕事の移動手段。
肇の鉄道の音採集の対象。
なお、御茶ノ水駅の東側で中央線快速と中央線(総武線)との分岐点で、かつ丸の内線が見える箇所が数回出てくる。おそらく聖橋からクレーンなどで撮ったもの。
陽子の移動手段だが、生活感がある。

Q3: 陽子の台湾人の恋人の実家はどんな商売をしていますか。
A3: 洋傘作りの工場を経営している。規模を拡大しており、台湾のほかに中国、マカオ、タイに工場を持っている。陽子の恋人はタイの工場を任されていた。
これは、日本の製造業が中国やアジアに安価な労働力を求めて進出していったのと、同じ現象である。台湾、韓国などの経済成長の様子が伺える。

Q4: 肇が乗っている電車(快速)を、陽子が乗っている電車(各駅停車)から撮っているシーンがある。この路線の特徴を述べよ。
A4: 各駅停車専用の上下線のレールのほかに、快速専用の上下線のレールがある「複々線」であるため撮影可能なシーン。通常の複線の場合は、各駅停車の電車は快速(急行)待ち合わせが必要となるが、複々線では不要であるため運行本数を増やすことができる。中央線の場合、各駅停車も快速も5〜10分間隔で運行されている。
なおレールが1つしかなく、上下線がすれ違う場合には待避所(駅など)を使用する路線は単線と呼ばれ、ローカル線の多くがこの形態である。

上記のシーンでは、肇と陽子は目指す方向が同じなのに、お互いが触れ合うことがないことを暗示させている。しかし後で偶然さりげなく2人が出会う。この脚本の憎いところだ。


■その他

 御茶ノ水駅付近の中央線(各駅停車と快速)と丸の内線と飯田掘(神田川)のシーンを見ていたら、東京に都市計画だとか、静的な都市の美しさとかを求めるのは無理ではないかと思えてきた。モダニズム的な都市の美しさを成立させる基盤(平坦な土地などの地形的要素)が、そもそも東京には欠けているからなのか。
 その都市の中で電車は生き物のように、また規則的に動く。
 それにしても珈琲を静かに喫茶店で飲んでみたくなる映画だった。


2004.10.06 テアトル新宿タイムズスクエア
Top Pageへ 外国映画紹介とアクティビティ教材に戻る