アフガン零年(ぜろねん)

◎概要

タイトル アフガン零年(ゼロ年)     原題:OSAMA  
監督・製作年 セディック・バルマク  製作年:2003
放映時間など 35ミリ、82分
舞台となる国 アフガニスタン Afghanistan
 (アフガン戦争前のタリバン政権下)
 外務省ホームページ(各国インデックス・アフガニスタン)
空間的移動など 1都市内  (カブールかカンダハルのようである)
アクティビティの
ポイント
○アフガニスタン(都市・カブール?)の様子
○タリバン(イスラム原理主義)と女性
感想一言 アフガン戦争後に製作された長編映画第1作目。タリバン政権下の女性蔑視政策が主題です。
戦後の混乱が残る中で撮影されたものとは思えないほど素晴らしい映像。青いブルカの女性のデモシーン、タリバンを警戒しつつ知り合いの男と2人乗りで自転車に乗るシーン、少女がタリバンに捕らえられた時に「あの子は男の子だよ」と泣きながら彷徨う少年の後ろ姿など、印象的な映像がいくつもあります。
配給会社 アップリンク  自主上映などの申し込みもこちらへ
公式サイト
 注)ストーリーや登場人物などについては、上記の公式サイトかミニパラ を参照してください。

◎アクティビティ

Q1: アフガニスタンの位置を地図で確かめよう。

A1: 地図に周囲の国の名前や、海洋の名称を記入してみよう。



Q2: 面積などアフガニスタンと日本を比較してみよう。

A2: 比較表を作成してみました。

  アフガニスタン 日 本
面積 652千キロ平米 377千キロ平米
人口 2390万人 1億2765万人(2003)
首都 カブール(245万人、1999年) 東京(区部人口808万人、2003年)
緯度 カブール 北緯34度33分
(東京都ほぼ同じ)
札幌 北緯43度03分
東京 北緯35度41分
那覇 北緯26度12分
月平均気温 カブール 1月-2.8度
     7月24.4度
東京 1月 5.8度
   7月25.4度
年間降雨量 カブール 338mm 東京 1466.7mm
国の周囲 海には面していない内陸の国
国境を接している国は、パキスタン、イラン、トルクメニスタン、ウズベキスタン、タジキスタン、中国
海に囲まれた島国
国 土 国土の4分の3は高山地帯。
大半が乾燥気候。
アジア大陸の東縁の島国
気候は南部が温帯、北部は冷帯
言 語 ダリ語(ペルシャ語系)50%、パシュトゥー語35%(以上公用語)、トルコ系諸語11% 日本語
宗 教 イスラム教スンナ派84%、シーア派15% 仏教、神道、キリスト教

Q3: アフガニスタンの主な宗教はイスラム教ですが、他にイスラム教を主な宗教とする国をあげなさい。

A3: 中近東を中心に西は北アフリカから東はパキスタンまでの大半の国と、他にインドネシアなど。
アフガニスタンの周辺国は、中国を除いてイスラム教を主な宗教としている。

Q4: イスラム教の中でも、いくつかの考え方の違いがあるが、タリバンはどのような位置づけとされているか。

A4: アフガニスタンでは、スンナ派が8割強、シーア派(イランなどに多い)が1割強。
タリバンは、イスラム法を厳格に施行する国家作りをめざすイスラム原理主義者の集団。

Q5: 少女マリナの母と祖母は、なぜ男の子とするためにマリナの髪をきったのか。

A5: タリバンが女性の労働を認めていないため、戦争で夫などの男手を失った家族にとっては、糧がなかった。そこで働けるようにマリナを少年に見せかけた。
Q6: タリバンのアフガニスタンにおける女性差別政策の内容をあげ、対応する映画のシーンをあげよ。

A6: 1.女性の就労禁止
 マリナの髪を切って男の子として働きにだしたことなど。

2.女性だけの外出の禁止
 身内の男性と一緒でないと、外出を認めない。看護士の母が患者宅から帰る際には、患者宅の主人と夫婦と偽って、自宅まで送ってもらっていた。

3.女性への教育機会を提供しない。
 タリバンは学校を開いていたが、男の子だけを対象としていた。

4.女性の政治活動を認めない
 女性の労働を認めさせるためのデモに対する放水など


Q7: 働きだしたマリナは、男の子としての名前を考えていなかった。タリバンに名前を問われた時、とっさに友達の御香屋の少年がOSAMAと名づけた。OSAMAは映画の原題であるが、どんな意味があるか。

A7: オサマは、アルカイダのビン・ラディンの名前でもある。なお、かつてはお店の名前に「オサマ」がつくことが多かったそうである。「オサマの名前をつければ祖国を愛する熱心なイスラム教徒が経営していると思われてお客が増えるだろうという狙いだった」(田中宇著「タリバン」光文社新書より引用)。
Q8: マリナが働いていたミルク屋の主人は、タリバンがマリナを男の子だと思って学校へ連れていった後、突然姿を消した。なぜだろうか。
A8: 女性を働かせていたことが、タリバンにばれると罰を受けるため逃げた。

Q9: 裁判の後に、少女が連れていかれたタリバン幹部の家には、他に女性が何人いたか。またなぜ女性が外出できないように、鍵がかけられていたのか。

A9: 3人(?)、イスラム教では4人まで妻を娶ることが認められている。
女性が外出できないように鍵を掛けていた理由は、タリバン幹部との結婚を女性が望んでいなかったので、逃亡の恐れがあったと思われる。
Q10: この映画は、アフガン戦争の始まる前のでき事と設定されている。もし少女がアフガン戦争を生き抜いたならば、現在はどのような境遇になっていると想像しますか。

A10: (タリバン幹部はどこかへ逃げて少女は解放されたとして、その後を自由に想像してみよう。)

Q11: 前問と同様に、お香屋の少年ならアフガン戦争のときにどのような態度をとっただろうか。また、現在どのような境遇になっていると想像しますか。

A11: (タリバンへの抵抗運動を行った、タリバンとともにアメリカと戦ったなど、自由に想像してみよう。)

Q12: アフガン戦争後に状況はどのように変化したか。特に女性の立場について、テレビや新聞等で見たり、読んだりしたことがあれば、書きなさい。

A12: 顔を隠さないで外出する女性が増えた。女性の学校が再開された。アテネオリンピックの陸上100mに女性が参加したなど。

Q13: アフガン復興策の1つとして、農業振興により食料自給率を上げることがあげられます。アフガン戦争による農業への悪影響について、知っていることを書きなさい。

A13: 耕地が爆撃などで荒らされた。戦争のため男手が少なくなり、そのため放棄された農地もある。地雷が多数埋められているため、耕作作業中に爆発事故が起こる。など。

Q14: 映画でみたアフガニスタンの気候や土地の様子から、農業振興においてどのようなことに重点をおくべきでしょうか。

A14: 乾燥地帯のため、灌漑用水の確保、そのための井戸の掘作などが重要。
高地に適した品種の導入と育苗方法などの開発と、その農業技術の指導など。
安心して農作業ができるよう地雷の除去。


◎映像からみたアフガニスタンの様子

 ◆自然

気候 暑そうだが乾燥している。人もあまり汗をかいていない感じ
空の色 きれいな青空
大地の色 砂漠。都市内も埃っぽい感じ。
植物 都市内は植物はほとんどない。郊外(山のふもとか?)にあるタリバン幹部の家の周囲には低木が生えていた。

 ◆文化・風俗(タリバン政権下)

服装 普段は茶系やグレー系の地味なもの。女性のデモの時は、青いブルカを着ていた。ブルカは全身を布で覆っているもので、眼の部分がメッシュになっている。視界は狭そう。
タリバンはターバンを巻いていて、ターバンの巻き方は学校で教えていた。
お店 マリナが働いていた店はミルク屋。ミルクを弱火で温めて、表面に膜が張らないように絶えずかき混ぜているのが仕事。この店ではミルクだけを売っている。
イスラム教で禁止されているためか、結婚式のシーンでも出てこなかったと思う。
家の形、材料 都市内は石造りの集合住宅。中庭形式のようで、中は意外に広い感じだった。
郊外にあるタリバン幹部の家は、石塀に囲まれていてかなり広い(日本の昔の大庄屋さんの家ぐらい)。母屋のほかに大きな建物があり、女性を数人、外から錠を掛けて住まわせていた。
商業の様子 女性が単独では外出できないし、身内の男性と一緒でもタリバンの監視が厳しく、買物は男性の仕事だったようだ。そのため活気のある市場風景などはなし。
都市・道路整備 都市内の道路の幅員は広い。舗装はされていないようだが、平坦にならされている。
コミュニティ 少女の家では、隣家の結婚式を手伝ってお金を貰っていた。
宴会の仕方 通常の宴会は贅沢だということで禁止。隣家の結婚式も内緒で行い、タリバンの見回りがくると、大急ぎで喪服に早替わりし葬式を行っている振りをしてやり過ごした。
教育・学校 タリバンの学校がある。ある年齢の男の子は全て集められ、コーランの音読やターバンの巻き方、体の洗い方(清め方)などを教わる。女の子は教育なし。

2004.06.11 東京都写真美術館ホール(恵比寿)
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