10話

◎概要

タイトル 10話     原題:Ten
監 督 アッパス・キアロスタミ(イラン)  
製作年:放映時間 製作年:2002年   放映時間:94分
舞台となる国 イランイスラム共和国  Islamic Republic of Iran
 在日大使館のHP
 外務省ホームページ(各国インデックス・イラン)
空間的移動など 1点型:テヘラン
アクティビティの
ポイント
○イランの都市(テヘラン)の女性の多様性
○イスラム教と女性
感想一言 車の中に取り付けられた2台のDVカメラが捉える母子や女性たちとの会話による10幕。数人のイラン女性の生き方を垣間見ながら、母と子の会話が少しずつ穏やかになっていく。ずるいほどにうまい監督だと思う。
配給会社 ユーロスペース
公式サイト ユーロスペース 高松宮殿下記念世界文化賞受賞記念おめでとう!キアロスタミ!!
 注)ストーリーや登場人物などについては、上記の公式サイトかミニパラ を参照してください。

◎アクティビティ

Q1: イランの位置を地図で確かめよう。

A1: 下の地図に周囲の国の名前や、海洋の名称を記入してみよう。

 

Q2: 面積などをイランと日本で比較してみよう。

A2: 比較表を作成してみました。

  イランイスラム共和国 日 本
面積 1648千キロ平米 377千キロ平米
人口 6892万人(2003) 1億2765万人(2003)
首都 テヘラン(704万人、1998年) 東京(区部人口808万人、2003年)
緯度 テヘラン 北緯35度41分
(東京と全く同じ緯度)
札幌 北緯43度03分
東京 北緯35度41分
那覇 北緯26度12分
月平均気温 テヘラン   1月 2.8度
       7月30.7度
東京 1月 5.8度
   7月25.4度
年間降雨量 テヘラン 219.2mm 東京 1466.7mm
国の周囲 北はカスピ海沿岸でアルメニア、アゼルバイジャン、トクルメニスタン、西はトルコ、イラクと接し、南はペルシャ湾とインド洋に臨む。東はアフガニスタン、パキスタンと接している。 海に囲まれた島国
国 土 北部・南部は山地で森林が多いが、その他は大半が砂漠で乾燥気候。北部のカスピ海沿岸は地中海性気候である。 アジア大陸の東縁の島国
気候は南部が温帯、北部は冷帯
言 語 ペルシャ語(公用語)、英語・フランス語・トルコ語も通用 日本語
宗 教 イスラム教(シーア派)98%、その他ゾロアスター教が少数 仏教、神道、キリスト教

Q3: 少年アミンの母は父と離婚している。イランでの離婚手続きについて述べよ。
A3: 母は画家・写真家で、おそらくイランでは最先端を行く女性なのだろう。母の再婚相手の男性は仕事のパートナーであり、母の仕事に理解があるという。つまり、前の夫は仕事に関して理解がなかったということになる。そこで日本であれば離婚理由は「生きる方向が違った」「性格の不一致」などになる。
イランでは男性からの離婚は簡単だそうで、つまり「性格の不一致」などの理由が認められるようだ。しかし女性からの離婚申し立てが認められるには、「夫の暴力」か「夫が薬物使用者」のどちらかの場合しかないという。母はこの国の法律はおかしいのだ、男女間に不平等があると怒っている。
しかし、そのため母はやむなく離婚裁判の際に息子のアミンに「父が薬物をやっている」と嘘の証言をさせていた。神聖な場である裁判で嘘の証言を息子のアミンに強いたことが、「ママは自分勝手だ」と母子の関係をこじらせた大きな要因となっている。

Q4: アミンの母の姉は教師をしている。この姉妹は服装などの点で対照的である。それはイスラム教の伝統に基く教師という保守的な職業を持つ姉と、画家・写真家という従来のイスラム女性にはない職業を持つ妹(アミンの母)との考え方の違いが表れたものだろう。この姉妹の外見上の違いを比較してみなさい。
A4: 比較表を作成してみました。

  姉(アミンの叔母) 妹(アミンの母)
位置づけ 伝統的なイスラム女性だが、十分な教育も受けている。
質素。
新しい職業の女性。西洋的な権利・主張などを行う。
イスラム女性としては派手。
職業 教師(イスラムに基いた教育を教えているはず) 画家・写真家(欧米の情報なども十分得ていると推測できる)
家族 夫と子ども1人 再婚(前夫との間に1子・アミン)
服装 黒っぽいグレー一色
チャドルは黒一色
柄の入った服、チャドルは白など、日によって変えている
昼間はサングラスをかけている
チャドルで髪を全て隠している。 チャドルから髪が少し見えるようにしている。それが流行らしい。
チャドルも首のところでスカーフ風に巻くなど工夫している。
化粧 していない。口紅もなし。 している。赤い口紅。
指輪 していない。 している。毎回取り替えている。ダブルでつけたりもする。
自動車 たぶん運転できない。 自分の車があり、運転している。
夫の誕生日の準備 特別な料理を作る。 普段から料理は作らない。お店でバースディ・ケーキを買うだけ。

Q5: アミンは母について、母親失格だといいます。その理由としてアミンはどんな点をあげていましたか。
A5: アミンは次のことを母親失格の理由としてあげている。
 化粧をする。ミニスカートをはく。汚れたお皿をシンクに溜める。毎日同じ料理がでる。

これらの理由は伝統的なイスラムの考え方に沿うものだろう。母はアミンにそれらよりも自分の仕事である絵を書くことや写真を撮ることのほうが、自分にとって大事なことなのだと説明していた。
イランにもこの母のような考え方の女性が現れており、そうした先端的な女性と周囲のイスラム的な伝統的な考え方との葛藤が、この映画のテーマのひとつをいえる。

Q6: アミンの母と叔母のほかに、どのような女性が登場しましたか。
A6: ・老女 毎日3回イスラム教会に通っている。母に礼拝を勧める。
・娼婦 毎晩街角に立ち、車に乗っている男からの誘いを待っている。
・婚約中の女性  母が礼拝に行った時に知り合う。後に男性から婚約を破棄される。
・離婚した女性  母の以前からの友人。前夫とは7年間別居同然だった。

Q7: 母親は、男性に捨てられて女性に対して、「離婚した女性」の場合と「婚約していたが破棄された女性」の場合で、態度が大きく異なっていました。
A7: 比較表を作成してみました。

  離婚した女性 婚約していたが破棄された女性
母との付き合い 古くからの付き合い 知り合って間もない。礼拝の帰りに、車に2回乗せてあげた
別れた男性との関係 結婚していたが、7年間は別居状態。 婚約していたが、男性がなかなか結婚に踏み切れず。結局男性に他に女性ができて別れることに。
職業など 画家・写真家の母と付き合いが長いことから、母と同様な仕事を持つ女性と想像される。 一般的なイランの女性か。(性格はおとなしそう。教会に通うなど。)
母と会ったときの様子 母と一緒にレストランで食事をする約束をする。車の中で「別居していたけど、彼のことが好きだった」と言って泣きじゃくる。 もの静かに婚約破棄されたことを告げて涙を流す。剃髪していたことをチャドルで隠していた
母の対応 「自立して生きていくのよ」と強い口調で言いきかせる。
(レストランの場所が分らずイライラしていたこともあって)
やさしく涙を拭いてあげる。
剃髪までした彼女をなぐさめるしかなかった。

Q8: アミンは父(母の前夫)と暮らすようになり、母は父の了解を得てアミンと時々会います。アミンは母と会う時は、母の家ではなく祖母の家に行くと強行に主張します。なぜか考えなさい。
A8: (想像するに)母の家には新しい夫がいて、アミンはくつろげない。また、新しい夫は母の仕事のパートナーであるため、仕事上の話も多いのかもしれない。祖母の家で母と一緒に過ごす方が、遠慮なく母に甘えられそうだ。

Q9: この映画は、イラン国内の検閲当局からイスラム法に違反するのではないかとクレームがついたそうだ。そのクレーム内容を考えなさい。
A9: 売春婦、髪を剃った女性、母親に口答えする子どもが、登場すること
(映画パンフレットによる)
検閲内容から、イランの社会の建前と実態が垣間見えます。

■その他

イランでは、同じ方向に歩いている人(特に女性)を車に同乗するように誘う習慣があるようだ。
クスノキの匂い、ジャスミンの香りでも同じようなシーンがあった。)
毎日歩いて教会へ礼拝するのは大変なので、それを見かねて行うのだろうと思う。


2004.10.22 ユーロスペース(渋谷)
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