食の文化通信

■WINE編 初心者Q&Aその2

 wine6:ボルドー・グランクリュ再質問


 多少ワインに知識をもった渡辺から、再度質問がありました。

Q1
 ワイン専門店で、1997年から1999年のボルドー・グランクリュが比較的安価に売られていました。どの年を選ぶとよいですか

 近年は年による差はあまりありません。ただし、今後の値上がりなどを考えると、一般的には1999年がお奨め。次いで1998年、1997年の順。

 ボルドー・グランクリュは、だいたい5年以上の長期熟成ワインなので、すでに飲み頃に達した10年ものなどが高価になるのに比べて、まだ飲み頃には達していない最近の年のものは安価で売られているようです。
 こうした最近のワインも7年たてば10年ものの高価なワインになるわけですから、今のうちに安く買って家庭で保存しておいて7年後に飲むというのもボルドー・グランクリュの楽しみの1つといえるでしょう。

 近年は、数年に一度の「大当たりの年」がない代わりに、遅霜の被害などで極端にできが悪かった年もありません。素人が楽しむならどの年でも同じでしょう。同じワインであれば、プロであってもテイステイングなどで1997年ものと1998年ものとの違い区別することはできないようです。

 ただしワイン業界をとりまく評論家やマスコミの評価では、1999年が比較的評判がよいようです。実際のワインの質の比較よりも、こうした評判が今後の価格の値上がりに影響しそうです。今後の値上がりを期待して購入する方は、1999年ものがよいでしょう。

 また、1997年はワインブームの影響でシャトーからの蔵出し価格が値上がりした年でしたが、その後思ったほど販売状況がよくありませんでした。そこで、1998年にはまた蔵出し価格を元に戻しました。こうした状況から、ワイン業界(特に販売店)では1997年ものに割高感が残ってしまいました。
 こうした状況から、1997年ものの評価を下げようとする評論家やマスコミの動きがあるようです。そのため、今後の値上がりを考えると1997年よりは1998年の方が良さそうだということです。

 繰り返しになりますが、自分で飲んで楽しむためなら、特に年にこだわる必要はありません。

Q2
 ボルドー・グランクリュの飲み頃と保管期間について教えてください

 一般的には5年以上から飲み頃に入り、10年〜20年くらいが最も良いようです。日本の家庭で保管する場合は、気候条件などからお店から購入して10年以内に飲まれるのが無難です。

 ボルドーのシャトーでは、グランクリュの一番良い飲み頃は10年から20年としているところが多いようです。シャトーによって違いはありますが、だいたい5年以上たっていれば、飲み頃に入ったといえます。
 反対にいえば、5年未満のものは、苦みが強すぎたり、濃すぎて後口が残るなどりして、料理との調和も悪いのです。年を経て熟成することによって、こうした欠点が薄れてマイルドになり、たいへんおいしいものになってくる訳です。

 1999年のグランクリュを購入して、家庭で保管する場合を考えてみましょう。(現在2002年)
 3000〜4000円ほどで購入して、7年間ほど保管すると10年ものになり、お店で購入すれば1万円前後になるはずです。レストランで注文すれば、それ以上の値段になるでしょう。
 ただし日本の家庭で保管できる期間は10年程度と考えてください。フランスよりも夏の暑さが厳しくて湿度も高い日本の気候では、本格的な地下ワインセラーなどの設備がないと、10年以上持たせるのは難しいようです。
 Ch.Angelusは、サン・テミリオン地区AOCで高い評価の赤ワインを出していますが、シャトーの人の話では、20年後に一番おいしくなるように作っているということでした。こんなに超長期熟成のワインでは、1999年ものを買って日本の家庭で20年近く保管しておくのは無理です。価格は高くなりますが、20年ものをワイン専門店で購入するか、フランス料理店などに置いてあれば注文してみることにします。

 また最近の傾向として、特にシャトーのオーナーが代わった場合に、熟成期間を短くするように製造方法を変えるケースがあります。
 Ch.Prieure−Lichineは、湘南zazazaの晴哉のワインでも紹介したように、私の好みのボルドー・グランクリュで伝統的な長期熟成タイプでした。しかし1998年からオーナーが代わり、飲み頃が5年以内の短期熟成タイプに変えてしまいました。全く違うタイプのワインになってしまい、私の好みではなくなってしまいました。

Q3
 ボルドー・グランクリュには、第1級から第5級までのシャトーの等級がありますが、どのような違いがありますか

 第1級は高価な超高級ワインとして有名です。第2級から第5級のワインは、現在では品質に差はなく、いずれも高級ワインといえます。

 復習すると、ボルドー・グランクリュは、フランスのボルドー地方の主にメドック地区の赤ワインの格付けです。メドック地区には8000近くのシャトーがあり、それぞれのセカンドワインも含めると、どれほどの銘柄があるのか分からないほどです。このうち61のシャトーが製造する最高品の61銘柄のみが「グランクリュ」(特級の意味)の表示を許されており、全て最高級のワインといえます。

 ボルドー・グランクリュの格付けは、1855年と1973年にされたものです。日本酒の品評会のように、毎年違う銘柄に賞を出して、一喜一憂するような形式のものとは異なります。また、グランクリュの等級は当初の1855年では違いがあったかもしれませんが、現在では全体的に水準が上がり、特にシャトーの第2級から第5級については等級による基本的な品質の違いはありません。その基本的な品質のうえに、さらにセパージュや製造技術、ぶどうの栽培・収穫方法などの技術の差があり、専門的な評価に違いが生じています。
 素人の方にはグランクリュのワインならどれもおいしいと感じるでしょう。シャトーの技術の違いは、ワインを飲み比べてみないと気がつかないと思いますが、こうした違いを感じていくことも大事なことでしょう。

 なお、ボルドーには先ほどあげた61のシャトーの他に、多数の地区AOCがあり、サン・テミリオンやポムロールなどの地区名の表示しています。この地区AOCのワインも「1855年・1973年格付け」のワインとおおむね同等の評価か、中にはそれ以上の評価のものもあります。このことからもシャトーの等級にこだわることはないといえます。

 なお比較的格付けに熱心なサン・テミリオン地区では、1996年に格付けの見直しを行いましたが、次回の見直しは2015年を予定しています。他の地区では1950年以降に格付けを見直して以降、格付けの見直しをしていない地区が多くなっています。したがって、格付け年以降に新しい技術を導入するなどして急速に評価を高めているシャトーもありますが、こうした新興勢力のシャトーは、長らく格付けなしのままになっており、「格付け制度」の問題点の1つとなってます。
 一般の方には、こうした新興勢力のシャトーの情報やワインの入手は困難でしょうから、このHPでは評価の安定しているグランクリュ(地区AOCを含む)のワインをお奨めしているわけです。

Q4
 ワイン専門店で、シャトー・ラグランジェのセカンド・ラベル・ワインが売られていました。セカンド・ラベル・ワインは楽しみ方は

 セカンド・ラベル・ワインは、安くて品質も高くお奨めできます。熟成期間は同じシャトーのグランクリュよりもやや短い場合があるようです。

 グランクリュのシャトーでは、最もできの良いワインにシャトー名を冠したラベルを付けて「グランクリュ」の表示をして出荷しています。これをファースト・ラベル・ワインともいいます。

 セカンド・ラベル・ワインは、ファースト・ラベル・ワインの域には達していないものの、クオリティが高いワインのことです。ファースト・ラベル・ワインとは別のラベルを貼って(当然「グランクリュ」の表示はなし)出荷されるため、こう呼ばれています。
 セカンド・ラベル・ワインは、ファースト・ラベル・ワインよりも安く、クオリティもそれなりに高いのでお奨めできるのですが、一般にレストラン向けなどに販売されているようで、一般向けには流通量が少なく、手に入りにくいものです。

 また、一般にセカンド・ラベル・ワインの飲み頃は、グランクリュと同様に5年以降とされています。ただし同じシャトーのグランクリュよりも熟成が早めになるよう製造されている場合もあるようです。このため同じ年のグランクリュよりは早めに飲まれたほうが無難でしょう。

 渡辺は、やまや池袋東口店(文芸座の隣のビル)で、Ch.Lagrangeのセカンド・ラベル・ワイン
  Les fiefs de Lagrange 1997と1998 (ともに1980円)
を見つけたということです。

Ch.Lagrangeのラベル ファーストとセカンド

シャトーラグランジェ(ファースト)
「GRAND CRU CLASSE EN 1855」

レ・フィエフ・ド・ラグランジェ
「GRAND VIN DE BORDEAUX」

Q5
 ワイン専門店で、立てて陳列してあったワインを買って一晩横にしておいたところ、ワインが漏れてきてしまいました。お店に連絡したら取り替えてくれましたが、どうしたのでしょうか?

 コルクが不良だったためのようです。すでに雑菌が入っている可能性が高いので、味が変わっているかもしれません。

ワインのコルクは、建材などのコルクよりも高品質のものを使用していますので、不良品は滅多にありません。しかし、このケースはそのまれな例になります。

 コルクは水分を含むと膨らむので、封を切っていないワインが漏れることはないはずです。ただしコルクが不良の場合は、コルクの中心部分に空洞のようなものがあって、そこから漏れるようです。

 すでに雑菌が入っている可能性が高く、またコルクの臭いがつくことがあります。買ってから間もない場合は、お店で取り替えてくれますので頼んでみましょう。

◎ワインが漏れてラベルを汚してしまった(右)

 


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