食の文化通信

■WINE編

 wine2:1997年以降のボルドー・グランクリュについて

  


■はじめに

 台風(15号)一過で、果物生産地の皆さんは大丈夫でしたか。
 ぶどうやリンゴが良く被害に遭いますが、収穫の秋に台風が通過しやすい日本では、あまり対策の立てようがなく、自然被害に対処するのは難儀なことです。

 また夜には、アメリカで同時多発テロが発生しました。ケネディ暗殺以来のたまげた光景でした。
 ここでは、超高層での突発事故や火災に対する企業の危機管理能力が、試されました。組織的に瞬時に反応した企業では大半の人が避難できました。マスクとヘルメットの準備があり、全員避難した中国銀行は見事でした。また、80階から階段で降りると1時間かかるということも判明しました。新宿やみなとみらい等の高層オフィスにご勤務の方は、いざという時のご用意をしましょう。
(世界貿易センターの建物倒壊については、防災ニュースで別途特集を組みます。後日ご覧下さい)

 さて、日本の夏が不順だったように、フランスでも色々と自然現象が変調で農業は大変なようです。
 本日の報道で「日本でも狂牛病発生」と出ていましたが、イギリスでは約18万件も発生し、ヨーロッパ各国のメニューからも「ステーキ」が消えて、「鳥料理」が代替という状況が続いています。日本人の多くの皆さんが「固い」という「安くて薄いけど大きいヨーロッパのステーキ」が、私は大好きなので大変残念に思います。
 案外高いけど、予想以上においしいイギリスの「ロースとビーフ」も今年は無理ですし、イタリアの「骨付きステーキ」も「夢」というのが現状です。
 食の文化通信でも「肉」の好みの比較もいずれ掲載したいと思っています。

「シャトーラグランジェ便り」のお薦め

 さて、ボルドーワインの収穫期に入りました。
 私の小学生〜高校までの同級生鈴田健二さんのシャトーラグランジェ便りの最新版も、そろそろサントリーホームページに掲載される筈です。ぜひ、ご覧下さい。
 この便りは、毎月発信されていて、現在は昨年11月からのバックナンバーが見られます。簡潔にして名文であり、グランクリューシャトーの生の様子とその周辺での行事等がわかり、お薦めのホームページです。
 また、毎月号をパソコンに保存しておくと、ボルドーでの葡萄栽培とワイン醸造の月別の様子が良くわかります。

 この便りをよんでいたら、昨年の葡萄の収穫は、白ワイン「レ ザルムド ラグランジェ」のための葡萄が9月11〜12日、赤ワイン用の葡萄は9月28日にメルロー種から開始され、10月に入りカベルネ・ソービニオンからプティベェルドと収穫して10月10日までに終わっています。昨年は天候が良く、より成熟を増すため収穫を遅らせたとのことです。
 シャトーラグランジェの白ワインは、前のレポートでも記載したように、1996年から生産が始められ、鈴田さんの息子さんの結婚式で飲み始めをしました。フレッシュで葡萄の香りも生きていて、おいしく飲みました。
 この白ワイン「レ ザルムド ラグランジェ」は、鈴田氏のレポートからも自信作と見受けました(ただし葡萄の木がまだ若いため、凝縮した味が出にくいのが少し不満のようです)。どこかで見かけたらお試し下さい。

近年のボルドーグランクリューについて

1997年もの

 現在の評価は、初期設定の値段(プルミエール)が高めにもかかわらず、その割に「青臭い」という評価のものが多くて、評価を落としているそうです。
 生産が上手と評価の高いシャトー以外は、「やや早めに(5年〜8年)飲んで欲しい」そうです。

 現在、ボルドーの生産地でミシェランの2つ星のレストラン(サンテステフだったと記憶します)のオーナーシェフが「1997年の青臭いグランクリューに合わせるメニューを考えている」という発言を聞きました。この店は本物だと感じました。詳細は手元にその記録が見つからず、不正確で失礼しますが、ミシュランで近場におられたら是非その味をお試し下さい。その結果のレポートをお送り戴けると幸いです。

1998年もの

 1998年ものも日本の市場に出回りはじめています。ジャスコで、商社「ドウシシャ」が入れているのを数種見かけましたが、グランクリューでも2980円と手ごろな価格でした。ただし、私自身はまだ試していませんのでコメント出来ません。この年の評価は総体に高くないようですが、こういう年こそ、目利きの楽しみがあります。1997年よりは良いとされているようです。
 なお、ラングドック地方では、1998年を当たり年としていますが、1997年は不良でした。

1999年もの

 1999年は、順調に成熟していると、シャトーラグランジェ社長のデュカスさんがコメントしていました。いずれ試飲結果をお知らせしたいと思います。

販売価格情報

 なお、紀伊国屋鎌倉店では、以下の価格で販売しています。

シャトーマルゴー          1998     19,000円
シャトーラファイアット ロトシルト 1997     19,000円
シャトームートン ロトシルト    1997     16,000円
シャトームートン ロトシルト    1998     17,000円
 いずれも超高級ワインですので、お試し下さい。

 追記:ワインショップ「エノテカ」での期日限定セールでは、

シャトーラトゥール         1997     14,800円
   同              1998     15,800円
シャトーラファイアット ロトシルト 1997     14,800円
   同              1998     15,800円
シャトーマルゴー    上記と同値段
シャトー オーブリオン 1998年のみが29,000円と高い

総体にブルゴーニュの名品に比べるとお得な価格となっています。

2000年もの

 今年の3月22日に前年度ワインの試飲会を、ボルドーのユニオンデグランドクリューで開催。「2000年」という記念の年でもあり、3900人の関係者が集まったそうです。
 「その評価は上々」だったようであり、生産者側も「1991年以来の長寿タイプになる」と期待が大きいようです。今後の成熟に期待しましょう。

■おわりに − フランスと日本の文化の違いについて

AOCと農場の生育工夫の問題

 鈴田レポートで、ぶどうの収穫1ヶ月前の「雨天時に畑地の1部にビニールシートを敷いた」という理由で、サンテミリオンの一部の生産者のワインがAOCを剥奪されて普通のテーブルワインに評価下げとなる事件があつたそうです。
 日本的に考えたら「農家の新工夫」であり、何が問題になるの?という所ですが、ボルドーAOC委員会では「微気象に手を加えて改変したとんでもない行為」と判断されたようです。

フランスと日本の価値観の違い

 こうした両国の価値観の違いは面白く、ニューヨークでの同時多発テロに日本人が多数巻き込まれていますが、「フランス人の被災者は皆無」とアンテン2(フランスのTV局)は報道しています。
 そもそも、ニューヨークの世界貿易センタービルのような超高層ビルには、フランス企業は入居しないのでフランス人はほとんどいなかったのです。
 経費削減を図り公的資金の返済に努めているはずの日本の金融機関が、いかにも家賃の高そうな超高層ビルの高層部に大挙して入居し被害にあったのとは対照的です。
 ここにも両国の「文化の違い」の大きさを感じます。

フランスを理解する。
アメリカを理解する。
イギリスを理解する。
アラブを理解する。
アジアを理解する。
アフリカを理解する。
ロシアを理解する。
バルカンを理解する。

 「食」をキーポイントに各地を理解すると、ある一面を理解することができ、それをきっかけにして諸国の事情等が、少し分かりやすくなるかと考えています。
 「食の文化情報」は長期に、のんびりと展開する予定ですので、気長にお付き合い下さい。


2001.9.14 
フードビジネスコンサルタント  VINCENT Systems 
調理師・1級建築士         池田晴哉 


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