食の文化通信

■WINE編 番外

 初心者からみた「ワインの楽しみ方の見取り図」

 池田のワイン初心者向けの説明を読んで、ワインの生産が地域の風土と密接に関わっており、多面的な楽しみ方ができるということに気づき、「ワインの楽しみ方の見取り図」のアイディアが浮びました。そこで初心者(渡辺雅宏)の無鉄砲さで作ってみました。

「ワインの楽しみ方」は多面的だ

 かつて本屋でワインの本を立ち読みすると、断片的な情報の羅列にウンザリして、結局ワインの楽しみとは何か分からない。煙にまかれた思いをしていました。
 池田の説明で、ワインの楽しき方とは多面的なものであることが分かりました。量産されるワイン本では、そのことを一言二言で表現しようとするから、われわれ初心者にはますます分からなくなり、敬遠したくなっていたのだ。

 ワインの多面的な楽しみ方を図示しようというのが目的で、作ってみたところ意外と単純な構成でした。
 しかし、図の内容を詳細に説明するには、私の知識が不足していることが分かりました。また「そんな単純なものではない」とワイン通はから叱られることも承知のうえで、ワインをろくに飲んだこともない初心者の大胆さで作ってみました。

ワインの楽しみ方見取り図のポイント

1.ワインの生産工程がヒントになった「楽しみ方」

 ワインの原料となるぶどうは自家生産が原則であり、地域の風土・歴史がワインに色濃く反映されていることをヒントにしました。
 ワインができるまでを、「ぶどうの栽培」「ワインの仕込み」「ワインの熟成」の3段階に分けて、それぞれ「ワインの楽しみ方」を示していきます。

2.ワインの食し方からみた「楽しみ方」

 ワインと料理との相性があるらしい。当然、料理人やソムリエなどの専門家の書いてあるワイン本に詳しいので、ここでは触れない。

ワインの楽しみ方見取り図

 作ってみたら単純なものになった。知識不足の初心者が作ったものだから、抜けている点があるだろう。
 それにしてもワイン本の著者たちは、この程度のものぐらいは作ってほしい。

ワインの楽しみ方見取り図

<生産工程>

<着目点>

<ワインの楽しみ方>

ぶどうの栽培

その地域の風土(気候、土壌)により、収穫できるぶどうの品種や質が異なり、ワインの品質に大きな影響を及ぼす

A.その地域の風土・文化に思いを馳せながら、ワインを味わう
ワイン=地域の風土を表す

ワインの仕込み

同じ地域ではワインづくりの技術の差、作り手の考え(伝統を守る、革新的など)の違いが、ワインの品質に表れる

B.ワインづくりの技術・経験、作り手の思想を感じながら、ワインを楽しむ

ワインの熟成

ワインにより適切な熟成期間が異なり、それぞれ飲み頃が異なる

C.飲み頃を楽しむ
飲み頃まで待つ楽しみ、飲み頃をあてる楽しみ

ワインを食す

料理との組み合わせ方に、ソムリエなどの専門家が知恵を絞っている

D.ワインの飲み方のTPOを知る、研究する楽しみ

上記図の補足

ワインの楽しみ方 A.その地域の風土・文化に思いを馳せながら、ワインを味わう

 その地域の風土(気候、土壌)により、収穫できるぶどうの品種や質が異なり、ワインの品質に大きな影響を及ぼす(基礎知識その2:ぶどうの品種とその特徴を参照)。
 つまり「ワイン=その地域の風土を表すもの」といえる。

 まずくてもよいではないですか。その地域の文化を理解するための一助と考えればいい。

 その地域の出身者にあったら、「あなたの出身地のワインは、おいしかったよ(まずかったよ)」いえば、「今度はこのシャトーのワインを飲め」と言ってくるかもしれません。交流を深めるきっかけになりそう。

 なお、フランスのように地域ごとに違ったぶどうを栽培している国が多いので、「イタリアのワインはフランスのワインに比べて・・・」というような国単位での比較は、話し手の教養のなさを示すようです。
 本来は地域の中でもさらに小さな地区ごとに、収穫されるぶどうの善し悪しがあるようです。さらに専門家はぶどうの栽培区画ごとにみていくようですが、一般のひとは地域ごとに違いが分かるようになれば十分でしょう。

 なお、地域のワインの比較をしながら楽しもうという本がありました。
 「フランスワイン 楽しいライバル物語」山本博著(文春新書)です。その中の、ボルドーとブルゴーニュの赤ワインを比較していたものを表にしてみました。参考になるでしょうか?

◎地域の比較例(ボルドーとブルゴーニュの赤ワイン)
 比較項目

ボルドー

ブルゴーニュ

濃紫紅色。色が濃い・陰鬱な印象 鮮紅色。明るくて陽気そうな色

香り
内向型。香り自体は弱いわけではない。 発散型。グラスに顔を近づけるとくらくらとするぐらい

香り(ソムリエのおきまりの表現)
カシス、西洋スモモ、チョコレート きいちご、いちご、サクランボ、においすみれ

味わい・口当たり
リッチ ビロードのよう
豊潤、豊満。ソフトだがこってりしている。渋み(タンニン)が強い。
フル シルクのよう
きりっとしていて、肉付きがよいがしまっている。酸味がきいている

飲み頃・寿命
若いうちは飲みにくいが、頃合いのときまでボトルで寝かせておくと熟成・変貌する。寿命が長い。 比較的はやくから楽しめるが、そう長持ちはしない。

ボトルの中の澱
量が多い。砂泥タイプの澱 量が少ない。

デカンター
する。年代物は必須。
しないと、グラスに注がれたワインが濁る、雑味が出る。
現地では絶対しない。多少澱がはいっても気にしない。

ボトルの形
ずん胴いかり肩 腰太なで肩

資料:「フランスワイン 楽しいライバル物語」山本博著(文春新書)。作表は渡辺。

ワインの楽しみ方 B.ワインづくりの技術・経験、作り手の思想を感じながらワインを楽しむ

 同一地域であれば、原料として同じ品種のぶどうを使用できるので、ワインづくりの技術(ぶどうの栽培技術も含む)の差、作り手の考え(伝統を守る、進取の気風)が、結果としてワインの質の違いとして表れる。
 つまり、「ワイン=技術・経験、作り手の思想を示すもの」といえる。

 職人の技を堪能できる力を、こちらも持つ必要があります。
 また地域ごとに定められている格付け制度による格付けも参考になるでしょう。
(フランスの格付け制度については、wine1:初心者向けQ&A ボルドーワイン・グランクリュ特集のQ9を参照)

ワインの楽しみ方 C.飲み頃を楽しむ 飲み頃まで待つ楽しみ、飲み頃をあてる楽しみ

 ボルドーの赤ワインなどの熟成を前提としたワインには、適切な熟成期間つまり飲み頃があるらしい。
 この飲み頃まで待つ楽しみ、また飲み頃をあてる楽しみがあるようです。

 なお、この熟成期間の長短は、そのワインにどの程度タンニンが含まれているかで異なるそうです。
 タンニンが多く含まれるワインは、若いうちは荒くて渋いが、歳をとると練れてきて角がとれ、絶妙な味になる。タンニンはワインを長持ちさせる働きを持っている。
 タンニンが多く含まれるワインの代表格はボルドーワインで、反対に比較的少ないワインの代表はブルゴーニュだそうです(上の表を参照)。

ワインの楽しみ方 D.ワインの飲み方のTPOを知る、研究する楽しみ

 料理人やソムリエなどの専門家の書いてあるワイン本を参考にして下さい。なおソムリエは次のようなことを考えて、ワインを選択するらしい。
(例)
 ○共通の香り(料理の素材やスパイスとワイン)
 ○料理の味付け(濃さなど)にあったワイン
 ○料理が生まれた国とワインの組み合わせ
 ○部屋の温度や季節に合ったワイン   など

ワインうんちく本の作り方

 「ワインのた楽しみ方A〜D」に、私のワイン経験(うんちく自慢の楽しみ)を加えて、ワインうんちく本のできあがり。
 それぞれの楽しみを、なるべく「私のワイン経験」に沿って断片的かつ雑多に並べること。その順列組み合わせは無限にあるので「世にワイン本の尽きることは無し」という状況になります。特に著者が、一般の人とは少し違う職業(音楽家、スポーツ選手、女優など)の場合は、一種のタレント本として扱うことができる。

 なお著者の得意分野の楽しみ方に重点を置くと、本の差別化が図れるのでなおよい。

 (例)
  ・学者やワイン協会?の理事が著者の場合
   「ワインの作り方からみた楽しみ方」(上記の楽しみ方のA〜C)に重点を置く

  ・レストランのシェフやソムリエが著者の場合
   「ワインの食し方からみた楽しみ方」(上記の楽しみ方のD)に重点を置く

  ・タレントやスポーツ選手、一般人などの場合
   「私のワイン経験(うんちく自慢の楽しみ)」に重点を置く。
    一般の人が体験できないような経験をした人で、ワイン好きならよい。
    味覚オンチでも見破られることはないので可。
    ただし、うんちくがすぎるとキザで嫌みになるので注意。

おわりに

 あとは、自分の舌と目と鼻を信じて、胃袋と懐具合に相談しながら飲んでいくだけ。


2001.9.8 
渡辺 雅宏 

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