ギンリョウソウ

 名前の由来は「銀竜草」から。 薄暗い林の中で銀色に輝くこの植物は、不思議な妖艶さを周囲に放っています。 ただし、この白さは、採集すると、どんどん黒くなってしまいます。
 大阪府の槙尾山でも毎年咲きますが、花の期間が短いことと、毎年咲く場所が変わるので、みつけた時は、「また会えたね」と、嬉しくなります。 下の写真は開花しかけているつぼみです。

 このギンリョウソウは、種子植物ですが、光合成をせず、菌根で取り入れた有機物を取り入れて成長し、花を咲かせます。
 光合成をしないので、葉緑素は必要ないのは分かりますが、種子を作るためには、虫を呼んで花粉を運んでもらわねばなりません。 虫の目に見える色は、我々 人間に比べると、短波長側にずれており、赤い色は見えません(赤い花は鳥を呼んでいます)が、紫外線領域を見ることができます。 多くの白い花には、蜜のあ りかを示す我々には見ることのできない模様が描かれていて、我々はその模様を紫外線領域を写す写真で確認することができます。
 ところがこのギンリョウソウは、昆虫の目で見ても白い、つまり、紫外線を含む光を全反射するのです。 「花の自然史―美しさの進化学」(北海道大学図書刊行会)の中で、 田中肇・森田竜義は、紫外線を吸収する腐葉土に囲まれ、暗い森の中で咲くギンリョウソウは、全反射することで昆虫の目にも目立つのだとしています。
 しかし、右上の写真は、マツを中心とした明るい林で撮ったものです。
 これはツボミではありませんから、横から見ると確かに竜の横顔によく似ている気がします。
 こんな明るい場所にも咲くことがあるんですね。

 そして花から約2ヶ月後、ギンリョウソウの花は、水分をたっぷり含んだ果実に変化します(右の写真)。

【おまけ】

 下の左の写真は、ギンリョウソウモドキ(別名アキノギンリョウソウ)。 ギンリョウソウそっくりですが、ギンリョウソウのメシベの柱頭が青みを帯びるのに対し、こちらは黄褐色。 撮影したのは10月です。
 そして下の右はシャクジョウソウ。 修験者の持つ錫杖(しゃくじょう)に似ているところから付けられた名前です。 ご覧のとおり、ギンリョウソウの仲間です。上のギンリョウソウの果実を撮った同じ日にみつけました。

 ギンリョウソウモドキもシャクジョウソウも、乾いた果実をつくります。