ハナアブ アブかハエか

 ハエ、カ、アブなどの2枚の翅を持つ仲間(双翅目)は、多くの人にはあまり好まれません。 ハエやカは衛生害虫として嫌われますし、アブと聞くだけで、血を吸われると恐れる人がいます。 それに小さい体ですので、あまり目立つこともなく、昆虫好きの人でも、双翅目の昆虫を採集して標本箱に並べる人も少ないでしょう。 そんなわけで、双翅目の昆虫も種類は多いのですが、これらを詳しく載せている図鑑もありません。
 そんな双翅目昆虫の中にあって、ハナアブが人に害を与えることは少ないでしょう(後で書きますが、アブとハナアブはかなり違います)。 もっとも、ハナアブたちは、武器を持たない自分自身を守るためにハチに似せているものが多いので、ハナアブが近づくと、ハチだと思って逃げる人も多いと思いますが・・・

クリの花に来たアシブトハナアブ
H18.6.11.堺市南区逆瀬川にて撮影

セイタカアワダチソウに来たオオハナアブ 眼の模様がステキです
H18.10.28.堺市南区にあるフォレストガーデンにて撮影
 なじみの少ない双翅目昆虫の分類ついてお話しましょう。 ただし、この分類体系も、まだ落ち着いておらず、研究者によって、少しずつ違います。
 まず、双翅目を、触角の長いグループ(長角亜目)と触角の短いグループ(短角亜目)に分類しましょう。 前者にはカやガガンボの仲間が属します。 そして後者をさらに2つのグループに分類します。 この2つのグループ間にはいろんな違いが見られるのですが、その中で、サナギから成虫に脱皮するときに、サナギが縦に割れるか横に割れるかが、分かりやすい基準だとされています。 サナギが縦に割れるのが「広義のアブ」の仲間で、横に割れるのが「ハエ」の仲間です。 なお、双翅目全体を、まずこのサナギの割れ方で大別する場合には、触角の長いグループは、サナギが縦に割れるグループに属します。
 さて、ハナアブの仲間は、触角が短く、サナギは横に割れます。 つまり、ハナアブの仲間は、「広義のアブ」には属さず、ハエの仲間に属します。

カンサイタンポポに来たキタヒメヒラタアブ
H18.5.21.堺市南区にあるフォレストガーデンにて撮影
 ではなぜ、ハナ“アブ”というのでしょうか? 色がハエの仲間とかなり違うからでしょう。 はじめに書いたように、多くのハナアブの色は、ハチに似ています。 ハナアブの成虫の食べ物は、花の蜜や花粉、樹液などですので、多くは、同じように花に集まるミツバチなどのハナバチの仲間に似ていますし、一部は細長いヒメバチに似ています。 そして「広義のアブ」に属する多くの種類も、ハチに似ています。 つまり我々は、ハチに似た翅が2枚の昆虫を「○○アブ」と呼んでいるようです。 ちなみに、広義のアブの仲間でもハチに似ていないものは、「○○バエ」と呼ばれていたりします。 頭が混乱しましたか? 例えば、ほかのページで紹介しているハグロケバエホシアシナガヤセバエも、広義のアブの仲間です。
クヌギの葉上で休んでいたキタヒメヒラタアブ
後翅が変化した平均棍が見える
H18.12.10.堺市の泉北ニュータウンにある槇塚公園にて撮影