ヒメボタル

 大阪府大阪狭山市にヒメボタルが生息しています。 ヒメボタルは、大阪府が準絶滅危惧種に指定していますが、まだまだよく分かっていないホタルです。
 「東京にそだつホタル」(http://members.jcom.home.ne.jp/hotaru-net/)には、次のような内容が書かれています。
 ヒメボタルには大型と小型がいる。 神奈川県箱根を境に東日本には大型が、西日本には大型と小型が分布しており、小型の ヒメボタルは西日本の低地に広く分布している(大場、1998)。 全国的には平地から高い山地まで分布するホタルであるが、東京都内において 平地で見られることは極稀で八王子市内の1ヶ所の報告があるのみで、主に標高600m以上の山地の杉林に生息している。 東日本全体でも、 標高が1,000mを超える山地に多く生息しており、一番の低地では房総半島内浦山の約150mという生息地の報告がある。 ゲンジボタルとヘイケボタル に比べて、ひじょうに明るさに敏感で、人工灯が一切ない暗闇でなければ発光しない。
 大阪狭山市のヒメボタルは、平成7年(1995年)に発見されました。 当初はヘイケボタルと思われていたのですが、 平成16年に研究者の指摘でヒメボタルと判明、平成17年には市民有志により「狭山ヒメボタルを守る会」が結成され、調査や環境整備などに熱心に 取り組んでおられます。

 大阪狭山市のヒメボタル生息地は、標高は100mたらず、住宅地から川に落ち込む5m程度の崖に林がとぎれとぎれに残されている環境です。 民家など の明かりもすぐ近くにあります。 このような環境に、数十匹のヒメボタルが乱舞します。 ただし発生期間は2週間足らずと非常に短く、ピークは その年の気温にも左右されますので、乱舞を見るためには頻繁に通わなければなりません。
大阪狭山市のヒメボタル H18.5.27.撮影
 大阪狭山市のヒメボタルの発生時期は、5月下旬から6月上旬にかけてで、8時〜9時頃によく光ります。 しかし、 全国的に見ると、7月になって発生する所もあるようで、場所によって大きく発生時期が違うのも謎の1つです。 また、 光る時間帯も2種類あるようで、夜の12時を過ぎないと光らないタイプもいます。 大阪府と奈良県の境にある金剛山の山頂近くにいるヒメボタルは、 7月に発生し、深夜に発光するタイプのようです。 大阪府の泉南のヒメボタルも深夜型と聞きました。
 ヒメボタルの発光は、ゲンジボタルやヘイケボタルの発光に比べると、発光の時間が非常に短く、ストロボが連続して光っているようです。 葉に 止まったままの1匹のヒメボタルの発光の様子を記録したムービーファイル(14秒、WMVファイル、撮影:平成18年5月27日)をご覧ください。
 また、比較のために、ゲンジボタルの発光の様子も紹介しておきます。 このムービーファイルは、ゲンジボタルを捕まえ、 手の上を光りながら歩いている様子を撮ったもので、何種類かあるゲンジボタルの発光パターンの中では、発光の周期はかなり短いものですが、 それでもヒメボタルのパターンよりは長いことが理解いただけると思います。
 ※ ムービーファイルをご覧いただくには、ビットレート358kbps以上のインターネット接続環境が必要です。
ヒメボタルの発光 ゲンジボタルの発光
 ゲンジボタルやヘイケボタルの幼虫が川に住むカワニナを餌にするのに対して、ヒメボタルの幼虫の餌は、ベッコウマイマイやオカチョウジガイなどの 陸生の貝です。 しかしこれらの陸生の小さな貝が元気よく生活するには湿度が必要で、ヒメボタルが見られるのはやはり水辺が多いということになります。
 ヒメボタルのメスの後翅は退化していて飛ぶことができません。 また、オスの飛翔力も弱いため、分布地は広がりにくいと考えられています。
 人々が環境に配慮しだして、ゲンジボタルやヘイケボタルは少し増えつつあります。 大阪府堺市の鉢ヶ峰でも、ゲンジボタルやヘイケボタルを 見ることができます。 ヒメボタルはゲンジボタルやヘイケボタルに比べると小さなホタルです。 でも、ゲンジボタルやヘイケボタルよりも謎の多い ホタルと言えるのではないでしょうか。
堺市鉢ヶ峰のゲンジボタル。 右は指にとまらせて撮影したもの。 H17.6.12.撮影