ジャノヒゲの“実”

 庭の一角にカバープラントとして植えてあるジャノヒゲが、今年も“実”をつけました。 植物自体が低いうえに、この“実”は葉の間に埋もれてしまっていて、あまり目立ちませんが、よくみるとなかなか素敵な色をしています。
 ながめていて、あれっと思いました。 花被片(花弁とガク)が残っています。ジャノヒゲはユリ科ですから、花被片は6枚。 この時期に残っている花被片は6枚そろっているとは限りませんが、その花被片に囲まれてメシベがあり、そのメシベの付け根の子房がふくらんで果実になったわけですから、果柄の先には6枚(以下)の花被片のあとがあり、そこに1つの果実がついているはずです。 ところが、1本の果柄がつけている6枚(以下)の残っている花被片に複数の「果実のようなもの」がついている場合がたくさんあります(右の写真)。 これが「果実」だとしたら、おかしなことです。
 さっそく本で調べてみると、ジャノヒゲやヤブランの仲間は、花後に子房の壁が破れて、胚珠が外にとび出す、とありました。 写真に写っているのは、「果実」ではなく、「種子」のようです。
 単子葉類の花のつくりは3の倍数になっているものが多く、ユリ科も花被片は6枚、オシベは6本、子房も普通は3室に分かれています。 もし写真に写っているものが「果実」なら、内部は3室に分かれているはずです。 断面を作ってみました(右下の写真)。 中央に胚乳に富んだ部分が1つ。 やはり果実ではなく、種子ということになります。
 断面を作るまでもなく、子供の頃、この種子を紙鉄砲の玉のように使ってに遊んだことを思い出しました。 この種子の皮をむいて、中にある適度な弾力を持った球形のものを使いました。 その時は何の疑問も感じなかったのですが・・・
 でも、青紫色の皮の下には、水分に富んだ白い果肉のような部分があり、その中に堅い種子のようなものがあれば、これを果実と思っても無理はないと思います。 でも、これ全体が種子ですから、この多汁質の部分は、種子の皮、つまり「種皮」が変化したものということになります。  

 では、これはどうでしょうか?
 右の写真は、よく公園や庭などに植えられているシロヤマブキの冬の姿です。 枯れかけたガクの前面に、4個(以下)の「果実のようなもの」が見られます。