樹液に集まる

  虫たちの世界



 泉北ニュータウンは、丘陵地を開発して作られていますが、計画的に元の自然が公園として残されています。 私の住む泉ヶ丘地区でも、あちこちにクヌギ・コナラを中心とした雑木林が残されています。 かなり太いクヌギやコナラも残っており、樹液を出している木も散見されます。
 クヌギの幹から沁み出す樹液にたくさんの虫たちが集まっていました(右の写真)。 周囲は樹液が発酵した甘酸っぱいにおいが立ち込めています。 樹液を吸うのに夢中の虫たちは、近づいても逃げようとしません。 “虫たちのレストラン”というよりは、樹液の魅力に取り付かれた“虫たちの酒場”でしょうか。
 樹液は幹についた傷からしみ出すのですが、この傷は、シロスジカミキリが産卵のために傷つけたものであったり、ボクトウガの幼虫が材に穿孔した孔の出入り口周辺を常に加工し続けるためであったりします。 このボクトウガの幼虫は、ずっと材の中に潜んでいればいいと思うのですが、どういうわけか、時々外に出てきます(右の写真)。 色は、もっと明るい赤みがかった個体を観察したこともあります。 この時の個体は樹液でぬれていましたので、表面に出てくるのは、ひょっとすると、脱皮が関係しているのかもしれません。
 表面に出てくると、当然敵に狙われる危険性も出てきます。 平成18年9月17日には、ヨコヅナサシガメの幼虫の群にたかられて、体液を吸われているボクトウガの幼虫を観察しました(下の写真)。 ちなみに、サシガメとは“刺しガメ”で、カメムシに近い肉食性の昆虫です。 写真で見られる長い体液を吸う口は、普段は折り曲げて身体の下側にしまっています。

 ボクトウガの幼虫は、穿孔しながら、小さな丸い木くずのような虫糞を幹の表面に出し続けます。 右の写真は、樹液を吸っているコアオハナムグリですが、このコアオハナムグリの下に見えている細かい木くずのようなものが、ボクトウガの虫糞です。

 7月から8月にかけては、コナラよりもクヌギの方が、よく樹液を出します。 以下に、これらのクヌギに集まっていた虫たちを紹介しますが、その前に、この場所の環境を、もう少し詳しく紹介しておきましょう。
 右下の写真には、シラホシハナムグリが2頭いるクヌギが写っています。 もちろん、このクヌギも樹液を出しています。 ここで紹介しているのは、ほんとうに人の生活の場のすぐ近くで起こっていることなのです。 私と同じように、散歩をしながら観察を楽しんでいる人たちとも出会います。 周囲にたくさんの人々が住む泉北ニュータウンの小規模なクヌギ・コナラ林に、こんなにいろんな昆虫の集まる場所が残っていることは不思議な気がしますが、このことを意識している人たちもたくさんおられます。 みんなでこの環境を大切に見守っていきたいものです。

ショウジョウバエ


樹液に集まる虫たちを狙ってか
ムカデも

アカタテハ
大混雑 私にも樹液を・・・

サトキマダラヒカゲ


ルリタテハ
みごとな保護色です


ゴマダラチョウ
下にいるのはシラホシハナムグリ

ネブトクワガタ クロヒカゲ

幹を伝って流れ落ちる樹液に集まったネブトクワガタ。 写真には5頭写っています。


キマワリ


ヒラタクワガタ


ヨツボシケシキスイ
大顎が発達しています


カブトムシ
そんなに固くしがみつかなくても・・・

カナブン(2頭)とシラホシハナムグリ

カナブン

モンスズメバチ

シラホシハナムグリ

ホシアシナガヤセバエ
 樹液を吸っている状態(左)から、急にパッと顔を上げ(右、たぶん周囲を警戒しているのでしょう)しぱらく動かず、そしてまた、パッと左の状態に戻りました。 その仕草がとてもかわいかった・・・
 樹液を吸っている口の様子は、まぎれもない双翅目の口で、アブの仲間なのですが、たいへんスリム。 ヤセバエの仲間は、日本ではもう一種、モンキアシナガヤセバエが知られています。 どちらも樹液によく集まるハエです。
 左の写真の上部には、ショウジョウバエも写っています。 大きさを比較してみてください。

(最終更新:H18.9.19.)