カスマグサ

 カスマグサ・・・、私はこの名前の響きが好きです。 ところで、この「カスマ」とは何だと思いますか? 韓国歌謡に「カスマプゲ」(「胸がせつない」といった意味)がありますが、その「カスマ」? 人の名前? 

 じつは、よく知られている野草のカラスノエンドウに関係があるのです。 そして、カラスノエンドウに似て、花も葉もずっと小さな野草があります。 花の色も白っぽくて目立ちにくく、カラスノエンドウほどよく知られていませんが、カラスより小さいというので、スズメノエンドウと名付けられています。 下の写真は、この2種が隣同士に生えている写真で、左がカラスノエンドウ、右がスズメノエンドウです。 大きさを比較してください。
 さらに、この2種の中間のような野草があります。 じつは、カスマグサとは、その野草の名前なのです。カラスノエンドウとスズメノエンドウの中間、つまり、カラスの「カ」とスズメの「ス」の間(この漢字は「マ」とも読みます)で、カスマグサなのです。
 では、カスマグサが、ほんとうにカラスノエンドウとスズメノエンドウの間であるのか、この3種類を、もう少し詳しく比較していきましょう。

【花】
  カラスノエンドウ カスマグサ スズメノエンドウ
花柄 ほとんど無い 長い 長い
一カ所につく
花の数
1〜2、場合によっては3 1〜3、2の場合が多い 3〜7
花の色 紅紫色〜淡紅色 淡紅紫色 ごく淡い紫色
スズメノ
エンドウ
の花は、
最初の
写真を
見てく
ださい。
 カラスノエンドウ 花柄はほとんど無い  カスマグサ

【托葉】
 葉の付け根の両側に「托葉」と呼ばれる小さな葉のようなものがあります。
カラスノエンドウ カスマグサ スズメノエンドウ
大きく、複雑な形。黒紫色のはん紋が
あり、ここから蜜が出る(花外蜜腺)。
  小さな葉のよう。   深く切れ込み、裂片は線状。
      └> この蜜をアリがなめているスクープ写真は、 から別ウインドウで開きます。

【果実(豆果)】
  カラスノエンドウ カスマグサ スズメノエンドウ
果実の様子 熟すと、真っ黒
になる。
「カラス」の名の
いわれは、ここ
から。

当たり前のことですが、3種とも、1ヶ所につく果実の数は、花の数以下。
1果実の中の
種子の数
多数
学名 Vicia tetrasperma の種名は「4種子の」の意味

その他     葉面にも毛があるが、果実も毛むくじゃら。
学名 Vicia hirsuta の種名は「多毛の」の意味

 どうです? カスマグサが「カラスノエンドウとスズメノエンドウの間」だということを、納得していただいたでしょうか。 「カスマグサ」の名を考えた人のセンスの良さに感心します。