クヌギカメムシ

 クヌギはいろんな虫たちに生活の場を提供しています。 夏の様子は「樹液に集まる虫たちの世界」で、クヌギの樹上で生活するクヌギシギゾウムシは「ゾウムシ」で紹介しました。 冬でも凹凸の激しい樹皮のくぼみにうずくまる虫たちなどを観察することができます。 年間を通して、クヌギは虫たちの“ワンダーランド”なのです。
 今回はそのなかで、12月中旬に堺市の泉北ニュータウン内の公園のクヌギの木で観察した、クヌギカメムシの産卵の様子を中心に、紹介しましょう。
 クヌギカメムシの成虫は基本的には緑です。 しかし、秋が深まると、紅色や褐色を帯びた個体も見ることができます(右の写真)。
 平成18年12月16日、この日はあちこちでクヌギカメムシの産卵を見ることができました(下の写真)。 産卵場所は地上1〜2mの太い幹の樹皮のくぼみです。 はちきれんばかりの腹部から、赤っぽい卵が次々と生み付けられます。 樹皮にくっつけられた卵は、すぐに黒っぽい色に変化します。
 なぜこんな寒い冬に産卵するのかと疑問を感じますが、クヌギカメムシはミズナラやカシワなどでも見られますので、もっと寒い地方でも生活できる昆虫です。 大阪あたりの12月の寒さなんて、クヌギカメムシにとっては、平気なのかもしれません。
 12月30日、産卵後2週間経った卵の様子を観察しました。 色も変わっていません。 指で触ってみると、プヨプヨした感じがします。 卵は寒天状の物質で包まれていて、この物質は孵化した幼虫の餌になるようです。

 卵からかえった幼虫が脱皮を繰り返して成長していく様子も、下に紹介しておきましょう。

撮影:H18.4.22.

撮影:H18.5.6.

撮影:H18.5.6.

         撮影:H18.7.30.
 このように変化を追いかけてみると、翅が次第に伸びてくるのが分かります。 ただ、色彩については、何齢の幼虫かによる違いよりも、脱皮後の時間経過による違いのほうが大きいようです。 上の写真のように、脱皮直後は色鮮やかなものが多く、我々を楽しませてくれます。