クワの実

 三木露風作詞、山田耕筰作曲による童謡「赤とんぼ」では、
   夕やけ小やけの 赤とんぼ 負われて見たのは いつの日か
   山の畑の 桑の実を 小篭に摘んだは まぼろしか
と歌われています。
 クワ(写真は正確に言うとヤマグワ)の実は、白っぽい色から赤を経て黒くなります。 この黒くなった時期が食べ頃。 ただし、注意! 多汁質のこの実の汁は、すぐに手や衣服に付き、洗ってもなかなか取れません。 食べた後の口の中も赤紫色に染まります。 でもそんなことは、この実の味の誘惑には勝てません。 少しモッチリとした甘酸っぱい味は、なかなかのものです。
 カイコの餌としては、ヤマグワも使われましたが、主に使われたのは、中国原産のマグワでした。 とにかく、クワは養蚕が盛んな時代には、もっと身近な木であったでしょう。そんなこともあって、このクワの実(左下の写真)は、セキツイ動物の発生のある時期の名称に使われています。 右下の写真は、イモリの仲間のアホロートルの発生の一時期です。 一つの大きな細胞である受精卵は卵割を繰り返し、たくさんの割球(=細胞)が集まって、クワの実に似た姿になります。 アホロートルの胚は白っぽいのですが、多くのカエルなどの胚はもっと黒く、水たまりの底にあるこの時期の胚を上から見ると、黒いクワの実にもっと似たものになります。 この状態の胚を、「桑実胚」、この時期を「桑実期」と呼んでいます。
                                        アホロートルの発生については、こちらからどうぞ