コケ −蘚類と苔類−

 小さくて見過ごされやすいコケですが、じっくり見ると、種類ごとにいろんな表情を見せてくれ、なかなか楽しいものです。
 コケ植物は蘚苔類ともいいます。 つまり、コケ植物は、大きく、蘚類と苔類に分類できます(もう1つ、ツノゴケ類というのがあるのですが、ここでは略します)。 「こけ」の漢字は「苔」ですが、日常私たちが「こけ」という場合には、蘚類をさしている場合が多く、少し混乱しているようです。
 では、蘚類と苔類でどこが違うのか、1種類ずつ登場してもらい、肉眼で確認できる点に限って比較してみましょう。
 まずは蘚類から。 蘚類といえばスギゴケの仲間が有名ですが、ここでは私のお気に入りのホウオウゴケ(正確にはトサカホウオウゴケ)に登場していただきましょう(H16.2.28.滝畑で撮影)。
 「蘚類は立ちあがるコケ、苔類は寝そべるコケ」と言った人がいますが、このコケは水がかかったりしたたり落ちてくるような斜面によく見られ、決して上へ伸びるとは言えません。 大型の端正な美しい姿をしたコケで、その姿が鳳凰の尾に見立てられて名前が付けられたようです。 写真から分かるように、茎と葉が区別できます。 このような体のつくりは、茎葉体と呼ばれていますが、蘚類は全て茎葉体であると言えます。
 細く伸び出しているのは胞子体と呼ばれ、先端にある袋状の凵iさく)の中で、胞子が作られます。 蘚類の特徴として、この凾フ柄がかたくて丈夫であることが上げられます。 また、写真のように、胞子体の上に帽子をかぶっていれば、蘚類であると言えます。 ただ、この帽子は、古くなると取れてしまいますから、注意が必要です。

 次に、苔類のジンガサゴケ、ゼニゴケの仲間です(H16.4.10.泉北ニュータウン内の大蓮公園で撮影)。
 写真に写っているのは雌株で、上に立ち上がっているのは、雌器托(雌器床)と呼ばれ、ここに胞子体がつくのですが、この形が陣笠に似ているというので、ジンガサゴケと名付けられました。
 ジンガサゴケの本体は、地面にくっついている葉状体と呼ばれている部分で、茎と葉の区別はつきません。 しかし、苔類の全てが葉状体であれば、蘚類と苔類の区別は容易なのですが、茎葉体からなる苔類もたくさんあります。
 胞子体を見れば、蘚類と苔類は区別ができます。 ゼニゴケの仲間では、雌器托に複数の胞子体がつきます。 右上の写真は、雌器托を裏から撮ったもので、雌器托の各裂片にある、2裂した包膜に包まれた黒っぽいのが胞子体です。 当然、凾フ柄は、見えていませんが、短く貧弱です。 植物体から凾フ柄を伸ばす苔類もありますが、柔らかな柄です。

 ゼニゴケの仲間は、葉状体の下面に小さな鱗片がついています。 この鱗片の形、色や並び方が種の同定に使われますが、ジンガサゴケは、鱗片が濃い紫紅色なので、見分けやすい種類です(右下の写真)。