シイの花

 唱歌「お山の杉の子」の歌い出しは、
  ♪ むかしむかし そのむかし しいの木林のすぐそばに 
    小さな おやまがあったとさ あったとさ
で始まります。 このように、シイの木は身近な存在であり、その実(右の写真)は少し炒って食べるとおいしいものです。
      【 関連項目 : 3果のスダジイ 】
 ところがその花となると、しげしげと眺めた人は少ないのではないでしょうか。
 花は花粉をメシベに運ぶ方法から、風媒花、虫媒花、鳥媒花などに分けられます。一般に、虫媒花や鳥媒花は虫や鳥を呼ぶために美しい目立つ花を咲かせ、我々人間も美しい花として認識することになりますが、風媒花ではそうはいきません。
 シイの花は一つひとつは小さく、形態からすると風媒花のようですが(下の写真)、においで虫を呼ぶ虫媒花なのです。 でも、色は関係無いのでしょうか?
 シイの葉は少ない光でも光合成ができますので、シイ林の中は昼でも薄暗くなっています。 こんな中で花を咲かせるよりは、林冠と呼ばれる林の外側に向けて花を咲かせる方が、虫たちに飛んできてもらい易いのでしょう。 そのため、花の時期にシイ林に入っても、甘い香りはしますが、上を見上げても、なかなか花を見ることはできません。 この写真も、谷を挟んだ向こうの斜面に咲いたシイ(詳しく言うとツブラジイまたはコジイ)の花なのです。
 シイの花は、一つひとつは小さく、美しいともいえないのですが、葉も見えないくらいにこれだけびっしりと花をつけると、なかなかの壮観です。 外から見た林の色が変わることで、林全体で花が咲いていることを知らせているようです。 これなら遠くにいる虫たちも花が咲いていることに気づき、集まってきてくれることでしょう。

    

H15.5.10.槙尾山にて(上、下とも)