シュウカイドウ

 残暑の残る山間の道を歩いていて、このシュウカイドウの柔らかみのある姿と花の色を目にすると、何かホッとしたものを感じます。

 シュウカイドウ(秋海棠)は、Begonia属の、中国原産の多年草で、江戸時代に渡来しました。 ベゴニアの仲間は、熱帯から亜熱帯にかけて分布する植物ですが、このシュウカイドウは、日本でも戸外で越冬できるため、半野生化し、湿度の保たれている路傍などで見かけることがあります。

 シュウカイドウの名前は、春に咲くバラ科のカイドウ(ハナカイドウ)に似て、秋に咲くところからと言われています。 中国で美人の形容詞に使われるカイドウの花も、垂れて少し下向きに咲きますし、確かに花の色はよく似ています。

 種子植物には、一つの花にメシベとオシベがあるもの、同じ株に雌花と雄花が咲くもの(雌雄異花)、雌花をつける雌株と雄花をつける雄株に分かれるもの(雌雄異株)があります。
 シュウカイドウは雌雄異花で、雌花と雄花の違いがよくわかります。 雄花をつける枝は上に伸びていますが、雌花をつける枝は、垂れ下がっています(最初の写真)。
 雌花にはオシベは見あたらず、子房(詳しく言うと、子房下位ですので、子房を包む花托の部分)には3個の翼状の突起が飛び出ています。 雄花の子房部分は退化してしまっています。
シュウカイドウ

カイドウ

シュウカイドウの雌花
シュウカイドウの雄花

  秋海棠 西瓜(すいか)の色に 咲きにけり
                        松尾芭蕉
 昔のスイカは色が薄かったのでしょうか?

 ところで、この雌花と雄花のつくりの違いは、街でよく見かける四季咲きベゴニア(ヘゴニア・センパフロレンス)でも同じです。 ただし、シュウカイドウと比べると、花は密集して咲きますし、雌花も雄花も垂れ下がらず、子房の部分も花弁化したガクも同じ色、メシベもオシベも同じ黄色ですので、よく注意してみないと、雌花と雄花の区別は難しいかもしれません。
四季咲きベゴニア
四季咲きベゴニアの雄花
四季咲きベゴニアの雌花