タブノキ

 タブノキは、日本の暖地の、海に近い肥沃な土地に自生する、クスノキ科の常緑高木です。 樹皮にはタンニンが多く、八丈島では黄八丈の材料としています。 また、葉や樹皮を粉末にして水を加えると粘り気が出るので、線香や蚊取り線香を作るときに使われるなど、身近な樹です。
 地学的には大阪平野は新しい平野であるためか、大阪府にはタブノキの自生は知られていませんが、堺市の泉北ニュータウン泉ヶ丘地区には、あちこちに太いタブノキが植えられています。
 タブノキの特徴の1つに、丸みを持った、先のとがった大きな頂芽があります。 下の写真は、樹皮の様子も分かるように写したものです。
 4月、この芽が伸びだします。 葉が変化した鱗片もほんのり赤みを持っているのですが、その鱗片に保護されていた新しい葉や枝は真っ赤で、なかなか美しいものです。
 花をつける枝では、葉の展開とほぼ同時にたくさんのツボミをつけた円錐花序が急激に伸びてきます。
 花は次々と咲いてきます。 1つの花は直径1cmほどで、色も黄緑色で目立ちませんが、拡大してみると、なかなか面白い特徴を持っています。
 ガクが3枚、花弁が3枚ありますが、ガクと花弁はほぼ同長、色もほとんど違わないので、花被片が6と言った方がいいでしょう。 おもしろいのはオシベです。 オシベは3本ずつ4輪に配置され、計12本ですが、最も内側の3本は退化して、オレンジ色の腺体様になっています。 そしてその外側の3本のオシベの両サイドには、有柄のダイダイ色の腺体がついています。 この3本を含む9本のオシベの葯は、4室に分かれていて、それぞれに弁がついています。 下の写真の花は、もう弁がめくれ上がって、花粉はほとんど出てしまっているようです。
 じつは葯に弁がついているのは、クスノキ科の特徴なのです。 左にタブノキの1本のオシベの写真を載せておきます。 やはり花粉は出尽くしていますが、こんな細かい構造に感動を覚えます。