カンサイタンポポ


 上の写真は、カンサイタンポポの群落です。 大阪府の泉北ニュータウン内の公園で撮りました('04.4.10.)。 
 カンサイタンポポは、関西から西に多い在来のタンポポです。 このカンサイタンポポと、ヨーロッパから帰化したセイヨウタンポポの分布から、環境を知ろうとするタンポポ調査があちこちで行われるようになってきました。 

 両者の区別は、総苞を比較するのが最も簡単です。
 タンポポの属するキク科の特徴として、たくさんの花が一ヶ所に集まって、1つの花のように見えます。 この花の集団を取り囲んでいる、ガクのように見える葉の変形した部分を「総苞」といいます。 この総苞の一番外側の部分(総苞外片)が、カンサイタンポポではくっついているのに対し(左の写真)、セイヨウタンポポでは、ツボミの時から反り返っています(下の写真)。

 カンサイタンポポとセイヨウタンポポを比較すると、両者には次のような違いがあります。
  カンサイタンポポ セイヨウタンポポ
花の時期 春のみ 活動を始めた春に咲くが、その後も一年中いつでも咲く
種子形成 昆虫による受粉が必要 単為生殖をするので、受粉の必要がない
1つの株の種子の数(=花の数) 少ない 多い
種子の重さ 重い 軽い
 つまりセイヨウタンポポは、自然環境が破壊され、受粉のための昆虫が少なくなったような場所でも、種子をたくさん作ることができます。 この軽い種子は風に乗って広がり、空いた地面があればどんどん株を増やします。 ですから、自然破壊が進行している場所では、どんどんセイヨウタンポポが増えてきています。 でも、1年を通してたくさんの種子を作るということは、光合成で得た養分を自分のために蓄えることが少ないということです。
 根を比較するとカンサイタンポポのほうがずっと太く発達した根を持っています。 ここに自分のための養分を蓄えているのです。
 タンポポの葉は地表に接していますから、周囲に他の草が多いと、葉の上を覆われ、光合成が行われにくくなります。 こうなるとセイヨウタンポポは枯れるしかありませんが、カンサイタンポポは他の草の葉が枯れている寒い時期に蓄えた栄養分を使って耐えることができます。 つまり、いろんな草と共存する自然度の高い環境では、カンサイタンポポの方がセイヨウタンポポより有利になるのです。
 タンポポ調査はこのことを利用して、生えているタンポポからその場所の自然度を見ようとするものです。 ところが最近、カンサイタンポポとセイヨウタンポポの雑種がたくさんできていることが分かってきました。 中間があることになると、タンポポ調査の結果も整理しにくくなります。
 なお、大阪付近で見られるタンポポには、この他にもアカミタンポポやシロバナタンポポがありますが、今回の話からは略しました。


   
カンサイタンポポに飛来したミツバチ