◆◆環境問題学習会たより No.73◆◆
2001.12
〒950-0852 新潟市石山3−4−55 Tel&Fax 025-286-1259
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家の見学会
河辺 昌子
6月24日、我が家の見学会をかねた例会をもちました。会場は道路に面して床面の高さが道路とほとんど同じ土間で、まだ何もない部屋です。当日は良いお天気、参加者は数人でしたが、持参いただいたお菓子を囲んで、久しぶりの例会を楽しみました。
この新居の自慢できる点、@太陽光発電、Aソーラー給湯システム、B中水システム、C床下収納定温室、D土間(作業室)、E化学物質を使わず木と土の使用等で、参加者にゆっくり見ていただきました。
ここでは例会報告よりこの家でどのように暮らしているか、特に太陽光発電と中水システム、そして木と土の家の付き合いについてご披露してみましょう。
@太陽光発電と格闘
南東向きの屋根に据え付けられた発電装置は、シャープ・太陽光発電(5.2㎾)単結晶ブラックモジュールです。日の出とともにキッチンの壁につけられた電力表示パネルにそのときどきの出力電力が表示されます。曇っているときは一桁から二桁の数字、青空になると四桁の数字すなわち2000Wから3000W発電します。お天気のよいときにこのパネルの表示を見るのは、なんとも楽しいものです。日が昇り電力パネルの数字が大きくなると、私はまずやかん一杯お湯を沸かして、昔ながらの魔法瓶に入れます。クッキングも電化したので、使用する電気はできるだけお日さまがくださるありがたい電気を使わせていただこうと思うのです。それから洗濯を始めます。炊飯もお日さまが元気になるお昼に向かう時間帯にスイッチを入れます。昼食の用意は、ほとんどありがたい電気を使うことができます。でも我が家のモジュールは夕方早くお休みになるので、まだ太陽は西の空から長い光を投げてくれているのですが、キッチンの電力表示パネルには「SLEEP」と出るのです。屋根の向きが夕日を受けてくれないのです。夕食の支度は原発の電気というのは悔しいと、私は昼食後に夕食の下準備をすることにしました。お天気がよく発電しているのに電気を使っていないときの電力は、東北電力に買ってもらいます。どこの家にも外壁に取り付けられている電力のメーターは、我が家の場合は売電メーターと買電メーターの2種類あります。したがって、太陽光発電モジュールの出力電力パネルとあわせて、メーターは3つになります。炊飯器や洗濯機など家電製品を使うとき、私はスイッチを入れるときにこの3つのメーターを読み、スイッチを切るときにまたメーターを読み、6つの数字の足し算引き算から使用家電製品のおおよその消費電力を計算します。同様にして、毎朝読む3つのメーターの数字から、1日に消費した合計の電力を計算します。このようにして私は、今日はお天気であまり電機を買わずにすんだとか、雨だったので買っちゃったとか一喜一憂しています。夕方から翌朝までは、今のところもっぱら東北電力に頼っています。
A中水設備の効用
さて雨が降ると、雨水タンクを見に行きます。200ℓのタンク3個連結されているので計600ℓです。お風呂の残り湯を入れるタンクも設置しました。850ℓの容器です。これらは庭木の水遣りとトイレの流し水(洗車にも使える)に使います。夏、庭木の水遣りは欠かせません。今年の夏は雨が少なかったせいか、この水量では足りませんでした。水遣りが不要なときは余ります。トイレの流し水はひとり1日100ℓ前後ですから、お客様が何人みえても安心です。トイレの流し水に高額の費用と薬品手間を費やしてつくった水道水を使うことに、私は大きな抵抗を感じていたので、リサイクルの水を使うことで気持ちがとても楽になりました。
B木と土の家のゆったり感
化学物質を含む材料は使わないようにということで、外壁、内壁、床、天井まですべて無垢の木と壁を使ってもらいました。そのせいか、住んでいてとても気持ちがいいです。空気が柔らかいような感じがし、なによりもよく眠れるのはうれしいです。床暖房はしていないのですが、裸足足で気持ちよく歩けます。外から入ると家中の空気が柔らかく迎えてくれるという感じで、お客様に玄関で「木のよい香りがしますね」「お宅は暖かいですね」といわれて、気をよくしています。これから冬を迎えるところですから、1年過ぎてみないとはっきりしたことはいえませんが、今は無垢の木に囲まれて満足しています。
C環境家計簿
例会では、このような家の説明と環境家計簿の話をしました。環境家計簿については学習会だより71号に書いてあります。集計表(新潟市環境カレンダーより転載)もそこに載せてあります。電気・ガス・水道などの毎月の請求書を取っておいて、この集計表に記入してみましょう。それぞれの使用量は季節によって異なるので、比較は前年同月ということになります。したがって、最低2年は続けないと比べることができません。たまには集まって、記入しているかどうかなど話しあい励ましあわないと続かないかもしれません。来年春には記入した集計表を持ち寄り、話し合いの機会をもちたいと思っています。それぞれの請求書はしっかり保存しておきましょう。集計表に記入したら、簡単な計算でそれぞれの排出二酸化炭素の量がわかるのです。
地球温暖化防止に協力するということは、私たち一人ひとりが二酸化炭素の排出量を少なくすることにかかっていると、私は確信しています。
コラム:巻のごみ収集が変わりました
立石 由美
12月から、大型の溶融炉をもつ清掃工場ができて、巻町のごみ収集が変わりました。何でも燃えるごみで出せます。金属、プラスティック、小型の家電までOKです。ダンボール、アルミ缶などは資源ごみで別。電池は今までどおり別です。それに伴い、何でもビニール袋に入れないと収集してくれないことになりました。紙類は束ねただけではだめなのです。そして今使っている袋、スーパーなどの半透明袋は3月までになり、それ以後は指定袋になるそうです。有料化です。
その話が職員朝会であったとき、手を叩いて喜ぶ人があった反面、時代逆行でないの、といった人もありました。
せっかく子どもたちが分別の大切さを身につけたのに、これはまたごみを増やしてくださいというようなものではないでしょうか。
問題点をみんなで考えられるように、資料を出していきたいと思っています。
最近の洗剤事情
河辺 昌子
@洗剤のパートナーの洗濯機
洗剤不要の洗濯機が話題になっている。せっけん洗剤工業会では記者会見をして、発売したメーカーに抗議をした。メーカー側は環境や健康によい商品をつくったのに、なぜ批判を受けるのかと反論。この新型洗濯機は発売から3ヶ月で3万7千台売れたという。合成洗剤が水環境を汚染していることを知っている消費者は、歓迎したようだ。
A洗剤の経過50年
この半世紀、わが国の洗剤のたどった経過を簡単に振り返ってみよう。50年くらい前まで洗濯にはほとんどの人がせっけんを使っていた。1959年せっけんの生産高は最高の38万tとなったが、その後減少し続け、代わりに合成洗剤が普及し、生産高を増やし、1962年にせっけんの生産高を超えた。そのころから合成洗剤による手あれ、河川の泡立ち、水生生物への影響が現れ始め、洗剤問題として注目を浴びるようになった。せっけん対合成洗剤の対立もそれから始まった。合成洗剤の生産高はどんどん増大し、30〜40年の間に洗剤の生産高はせっけんのみのころに比べ3倍以上となった。人口の増加は3倍くらいなのにである。
洗剤は使用後、一部は下水道下水処理場を通るが最後は河川湖沼に流入する。その間時間とともに分解する。その速度は種類により異なるが、せっけんは速く、合成洗剤は一般に分解されにくく時間がかかる。分解されにくいということが水汚染の原因になるため、合成洗剤を使わないようにしようという運動が1970年代から80年代にかけて盛んになった。しかし現実は、合成洗剤の生産高がどんどん伸びた。
消費者の動きに敏感な洗剤メーカーは、徐々にではあるが洗剤の成分を変え始めた。主成分の難分解性ABSを少し分解性のよいLASに変え、富栄養化の原因となったリン酸塩をゼオライトにした。70年代のことである。80年代になるとほとんどLASが占めていた主成分の界面活性剤を多様化し、陰イオン系だけでなく非イオン系界面活性剤を加え、増量材といわれた硫酸塩を抜いて、界面活性剤の濃度を高め、一回の使用量を減らした。1987年スプーン一杯というキャッチフレーズで1回使用量が25gとそれまでの約半量となった洗剤が登場した。以後20g、15gとなって現在に至る。
合成洗剤が出始めたころ、30ℓ洗濯機1回の使用量は60gであった。間もなく50gとなり、40gと減って、現在20〜15gと減ったにもかかわらず、洗剤の消費量生産高というより、主成分界面活性剤の生産高は増え続けた。洗剤の生産高は1994年をピークに減少してきたようであるが、それは1回の使用量が少なくなったせいであろう。1960年ころまでは使用後の洗剤(主としてせっけん)は難なく自然浄化され、河川を汚染することはなかった。現在人々は自然の浄化能力をはるかに超える量を消費し、捨て、河川を悩ませているのである。水環境の改善には、洗剤の使用量をできるだけ少なくしようと考えるのは当然であろう。そこで洗剤不要の洗濯機がよく売れたということではなかろうか。
さて、みなさんはこの洗剤不要の洗濯機をどう思われるであろうか。
B洗剤の量と質
洗剤問題として大まかに量の問題と質の問題の2つに分けてみると、洗剤不要の洗濯機は量の問題に対処しているとみられる。質の問題については先にもふれたが、成分がいろいろと変わり、主成分の界面活性剤が多様化し、陰イオン系から非イオン系になって、手あれや生分解性はだいぶ改善された。非イオン系界面活性剤AEは皮膚障害についてはせっけんと同程度と弱くなったが、魚毒性は強く、水環境については安全ではないのである。AEをはじめ非イオン系の界面活性剤についての調査研究はLASなどに比べてまだまだ少なく、また例えば水道水には陰イオン系界面活性剤の規制はあるが非イオン系については何もない。それは含まれていても安心というのではなく、わからないからにすぎない。
C洗剤は化学物質である
多くの人たちが日常多用する化学物質については、安全であることが確信できるまで普及されるべきでないと思うが、何か事故が起こらないと対策が考えられないという現実を消費者はよく頭に入れて生活しなければと思う。質の点からも洗剤はできるだけ少なく使用するよう心がけるようにしたい。
D洗浄・洗剤と生活
では具体的にどのようにしたらよいのであろうか。この点については次回に譲りたい。
スウェーデン・デンマーク・ドイツの環境教育
立石 由美
昨年と今年(2001年)、機会があってスウェーデン・デンマーク・ドイツの環境にふれる旅をすることができました。保育園から企業、社会までの環境教育を見ることができたので、ほんの少し垣間見た程度ですが、まとめてみたいと思います。
@スウェーデンの保育園(ヨーテボリ)
野外活動推進協会のシステムで、子どもたちをできるだけ自然にふれさせる、という考えで、よほどの寒さや嵐でない限り、外で保育します。私たちが訪れた保育園はCO-OPの経営する保育園で、父母が運営にあたっています。街中の森の近くの狭いマンションの一角でした。保母さんはかごに森の妖精ムッレの人形と絵本を入れて、私たちを森へ案内されました。ムッレは子どもたちに森を教えるイメージキャラクターです。子どもたちは森で、虫や動物、草花、風や雪と遊ぶなかで、自然から多くのものを学ぶという考えです。この日も遊具などでなく、砂や木と遊ぶ子どもたちが見られました。さっと子どもたちがいなくなったと思ったら、外にしつらえられたシートでおやつでした。塩の近くのりんごの木のりんごなどを切って、ヨーグルトであえたもののようでした。このおやつや昼食は父母が交代で作ります。私たちを見て「元気ですか」と日本語で挨拶され、恐縮しました。室内は、子どもたちが染めたカーテン、釘を打った小さな織物機などがあり、手を使うことが大切にされていました。
森に近くない園では、狭くても園庭に植物を植えて、ときには郊外の森へ行く、ということがおこなわれているそうです。野外活動推進協会では、森での生活の仕方や、危険(迷子になったとき)防止の訓練があり、これは興味深いものでした。
Aスウェーデンの街角で
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ヨーテボリの街中には、奈良公園のような場所があります。その一角に、電気自動車の充電所がありました。電気自動車などの環境に配慮した自動車は、駐車料金が優遇されるといったメリットがあります。
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ヨーテボリの公園の一角に、リサイクルできるごみの集積所があります。見学している間にも、自転車で運び込んでいる人が来ました。ちょうど、新潟で以前ビンのリサイクルボックスがありましたが、それと同じようなしくみのものです。ガイドのレーナさんは、「日本の牛乳パックのような、切り開いて出す、なんていうのはスウェーデン人は誰もしない。共働きで忙しいし、便利な暮らしをしているから」といわれました。考えさせられる言葉でした。
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ちなみに、ガイドのレーナさんは、京都で日本語を学ばれたので京都なまりがあります。また、東京に10年も住んでいらして、夏休みで帰国されているので、私たちのガイドをしてくださったのです。レーナさんは北欧の情報メールマガジンを発行なさっている(有料)ので、関心のある方は立石までどうぞ。
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広告塔のようなものは、有料のトイレです。1クローネ(約55円)で入れます。出ると自動的に掃除をします。
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生協のスーパーで、デポジットのビンやペットボトルを入れる穴があり、識別されるとレシートのようなものが出てきます。どうもそれは現金でなく、スーパーの商品の割引券のようでした。
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ホテルの朝食のテーブルに、牛乳瓶が置かれました。蓋はしていなく、中身は半分くらいです。さすがスウェーデン、と感心し、飲んでみたけれどおいしくありません。周りの人を見たら、コーヒーに入れていました!
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スウェーデンはニルスの国。お札にニルスが入っていました。
Bデンマークの学校訪問
コペンハーゲン近郊のヴァレンスベック市のヴァレンスベック国民学校を訪れました。デンマークは義務教育は9年で、同じ学校で過ごします。それで国民学校と訳します。デンマークは伝統的に幼児教育をしてはならないという考えがあり、保育園からすぐ学校でしたが、学校教育に慣れられない子どもたちが多くなり、義務ではないが、学校に幼稚園クラスができました。子どもが6歳になると、学校にいれるかどうか親の意向を尋ねる手紙が役所から届くそうで、親が学校と同程度の教育をするといえばそれも認められるそうです。でもめったにそういう人はいない。
さて、この学校、子ども専用の自転車道で通うことができ、広い敷地の美しい建物でした。校長は40代の女性で、Tシャツに綿パン、サンダル履きで出てこられました。生徒425名、教員42名。国の基準は1学級28名だが、地方分権が隅々まで行き届いているので、ここでは低学年24〜27名、中学年18名、高学年16名。基本的には時間数の一番多い科目の先生が学級担任になり、9年間担任は変わらず、一人ひとりの子どもの発達をみとります。他の科目の教師を加えて、先生チームを組んで授業内容を決めていきます。
国の教育目標:自分の考えを伝える
学校の教育目標:一人ひとりが責任感をもって考えられる、環境・社会全体のなかで考えていく、自然・動物・人間に責任をもつ自覚
これを実現するために、年に3回、環境だけの授業週間をもつ。低学年は身近な地域で触れて見て学ぶ。高学年は身近な環境から国全体へ。7〜9年生は世界へ目を向ける。
カリキュラムや方法など、興味深いものがたくさんありました。それはまたにして・・・ここでも手を使うことが大切にされていました。手芸、大工、料理、技術という科目があり、環境は技術で扱われます。手を使うことは環境を学ぶことのもとになるのでしょう。また、女子が理数についていけず、高等教育を断念することが多いことが問題になり、新しく自然という科目が設けられました。
以前デンマークに住んでいらした方が、「低学年の学習、特に算数がゆったりしたものだ」と書いていました。でも、いつの間にか世界有数の市民の科学の関心の高い国になっています。特に、科学の知識のレベルは世界一です。後述するホルケホイスコーレ(成人国民学校)の存在とともに、こうした教育のあり方がその状態を作り出しているのだと思いました。
日本でも、総合的な学習が取り入れられて、今回の目玉のようになっていて、表面だけ見るとデンマークのこの学校と似ているように思われます。けれど、基礎的な学習にもうんと力が入れられているところが違うと思いました。また、その総合的な学習で、環境に取り組む学校も増えています。その中身は缶集め、分別、掃除、水質検査といった小手先とみえるものが多いのに、ずっと疑問をもっていました。今回、スウェーデンとデンマークで自然から学ぶことを見て、これだ!と思っています。
ドイツのみみずのカーロのシェーファー先生も、自然の本質を教えるものです。その紹介と企業などについては、次号にさせてください。