どんなふうに再生工事をしたのか?
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今回の再生工事は、母屋全体ではなく玄関や居間部分とゆがみのはげしかった奥の部分を中心とし、玄関横の座敷部分にはほとんど手を加えなかった。
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奥様がこんなふうにしたいという要望を簡単な図面のような感じで書き、それをもとに大工さんが作業を進めた。
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また、施主がふだん長野にいらっしゃらないので、電話やファックスを使って相談して工事を進めた。
工夫されているところ
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小さな部屋を両隣りの部屋のクローゼットとし、ふすまをそのままクローゼットのトビラとしてあった。
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曲がった柱に15mmぐらいの板を柱の4面にはってまっすぐにした。
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天井に明かり取りの窓を(再生前に使っていた障子を使い紙ではなくアクリル板をはって明かり採りとしてあった。)
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建具等はもともと使っていたものを別の場所に利用していた。(板戸を納戸の押し入れに使用するなど)
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古材は洗っただけで色付けはせず、新材はまわりにあわせて色つけをした。
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ストーブのまわりにはレンガをおき少し洋風な感じになっている。
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屋根はかつては板葺きであったが、再生前はトタンを上からかぶせてあったので今回の再生工事ではさらに上から鉄板を葺いた。
家の様子
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長野県伊那郡の自然豊かなところにある本棟造の民家で正確にはわからないが、だいたい160年ぐらい前に建てられたのではないかという。
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当時この母屋を建てられた方は非常にせっかちだったので欄間などへの装飾があまりない。(飾りよりもはやくたてることを優先させたため)
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本棟造の民家はその土地の最上層の農家にだけ許された形式であり、敷地の中には米蔵と書庫蔵の2つの蔵があり一帯の中でも裕福な家であったと思われる。
*本棟造(ほんむねづくり):
長野県の松本平、諏訪平、伊那谷に散在する民家の形式。
面に板葺きのゆったりした勾ばいの深い軒の出をもつ大きな切妻屋根をみせる。
長方形の平面が一般的である民家の中にあって、本棟造の平面はほぼ正方形でその間取りがむしろ町家に近いのも本棟造の特徴である。
この地方の一般的な形式なわけではなくその土地の上層の農家にだけ許された一種のステイタスシンボルであった。
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