自転車社会学会2007/7/6作成 これからの自転車配慮型道路における道路空間の再構築に向けてこれからの自転車配慮型道路における 道路空間の再構築に向けて
ー歩行者と自転車の安心と安全を守るためにー
平成19年7月
新たな自転車利用環境のあり方を考える懇談会新たな自転車利用環境のあり方を考える懇談会委員名簿
座長:屋井 鉄雄 東京工業大学大学院総合理工学研究科教授
副座長:久保田 尚 埼玉大学大学院理工学研究科教授
委員
片山 右京 レーシングドライバー
勝股美代子 消費生活アドバイザー
古倉 宗治 財団法人土地総合研究所理事
小竹 一枝 NPO法人女性みちみらい上越理事
小林 成基 NPO法人自転車活用推進研究会事務局長
関 一 財団法人全日本交通安全協会専務理事
森山みずほ モータージャナリスト
(敬 称 略)
(五十音順)目次
はじめに
1.背景
2.歩行者・自転車の交通環境における現状の課題
3.道路空間の再構築に向けた基本事項
4.自転車を考慮した道路空間の実現に向けた5つの取組
(1)走行空間の原則分離の推進
(2)駐輪対策の着実な実施
(3)ルールの周知徹底・マナーの向上
(4)戦略的整備の速やかな展開
(5)ネットワーク計画や目標を持った整備の促進
5.留意事項
おわりにはじめに
自転車は、買物・通勤・通学、レジャーなど様々な目的で多くの人々に利用されている交通手段である。自転車の保有台数は年々増加しており、平成17年時点で自動車より多い約8,700万台となっている。近年では、排気ガスや騒音を出さない環境負荷の低い交通手段として見直され、また健康志向の高まりなどを背景に、その利用ニーズが高まっている。
その一方で、自転車利用環境には安全性・快適性の面において様々な課題がある。昭和40年代、わが国ではモータリゼーションの進展に伴い、交通事故は急増したが、自転車歩行者道の整備や普通自転車歩道通行可の交通規制により、自転車と自動車の分離を図ったことは、自転車乗車中の交通事故死者数を大幅に減少することの要因の1つと考えられる。しかし、近年では安全な自転車走行空間の不足や自転車利用者の無謀な運転、マナーの悪さ等が、自転車乗用中の事故が増加している一因であると考えられ、その増加割合は全交通事故に比べ高い状況にある。また、特に歩行者と自転車の交通事故の増加割合が著しく、放置自転車対策を含め、歩行者・自転車の安全な通行の確保が求められている。
また、平成18年度に策定された第8次交通安全基本計画においても、基本理念として「人優先の交通安全思想」が謳われ、弱い立場にある歩行者や、高齢者,障害者,子ドも等の交通弱者の安全を一層確保することされており、歩行者や自転車等が安全に通行できる道路空間の確保は急務となっている。
このような状況のなか、歩行者・自転車の安全性・快適性を向上するためには、現在の自転車利用環境の問題点を明らかにし、走行空間等の整備と空間の使い方の両面から見直していく必要がある。
本レポートは、自転車を取り巻く現状を踏まえ、今後の自転車利用環境のあり方についてまとめたものである。1.背景
急速な高齢化等から、歩行者・自転車にとって安心・安全な交通環境に対するニーズが高まっている一方で、自転車の事故は増加傾向にある。最近では、環境問題や健康志向等から自転車利用の気運が高まっており、安心・安全な交通環境が一層求められている。
1安心・安全な交通環境へのニーズの高まり
近年、わが国においては、急速な高齢化等から、車いすの利用者が増加するなどバリアフリー化された歩行空間の確保の必要性が高まってきている。
それに伴い、安全な歩道が求められているが、現状では歩道上で歩行者と自転車が混在して通行している実態があり、歩行者と自転車のそれぞれがより安全に安心して通行できる分離された空間を確保することへのニーズが増加している。
また、交通安全基本計画においても、人優先の道路交通環境整備の強化を進めている。2自転車事故の増加
自転車の関連する交通事故は増加傾向にあり、自転車乗用中の交通事故死傷者数の増加率は事故死傷者数全体と比較しても大きくなっている。
特に歩行者対自転車の事故件数の増加割合が著しく、最近10年間で約4.8倍に増加している。
また、自転車乗用中の死傷者を年齢層別に見ると、死者については70歳以上の高齢者層が多く、負傷者は19歳未満の若年層に多い。3自転車利用に対する気運の高まり
自転車は、環境負荷の少ない乗り物として地球温暖化対策の観点から見直されているほか、近年の健康志向から自転車利用者が増加するなどしており、今後ますます自転車利用が交通社会の中で重要な位置づけを持つことが想定される。
また、平成18年6月の改正道路交通法の施行により、民間の駐車監視員が巡回し、放置駐車車両の確認と標章の取付けが可能となったことにより、放置駐車車両が減り、それらが占めていた空間を自転車走行空間として活用することが期待できるようになったことも、自転車利用に対する気運を高めている要因の一つである。
そのほか、欧米諸国において、自転車活用の有用性から、政策的に広く自転車走行空間の整備が進められていることや、自動車業界団体である(社)日本自動車工業会において、自転車道等の整備を求める声が挙げられていることなどから、今後ますます自転車利用の気運が高まっていくものと考えられる。2.歩行者・自転車の交通環境における現状の課題
歩行者・自転車の交通環境を安全なものとするため、これまで種々の道路整備や交通規制を実施してきたが、歩行者・自転車のための道路整備が不十分、自転車利用者のルール・マナーの遵守意識が不十分といった課題がある状況である。
1歩行者・自転車のための道路整備が不十分
わが国では、モータリゼーションの進展に伴い、これまで自動車を中心とした道路整備が行われてきた。自転車は当初から車両の1つとして定義され、車道を通行することを前提としていたが、昭和40年代の交通事故が増大した時代から、自転車が自動車等から分離された空間を通行することを前提とした自転車道等の自転車利用環境が整備されるようになった。
しかし、わが国における自転車利用環境整備としては、自転車の安全を確保するために、幅員の広い歩道である自転車歩行者道を中心とした歩行者・自転車が混在することを前提とする空間の整備が全国的に行われてきた。そのことが、歩道上での歩行者対自転車の事故増加の一因となっているものと考えられる。また、我が国の道路事情として、特に地方部においては、狭いトンネルをはじめ、歩道が設置されていないなど、十分な道路整備が行われていない状況となっており、今後、自転車道等を含めた道路整備への継続的な取組と、そのための予算の確保とが必要である。
また、交通計画のマスタープラン等において自転車を意識して計画し、その計画に基づいて整備することは少なく、道路の途中で歩行者や自転車のための空間が狭められる、あるいは中断される箇所も少なくなく、自転車走行空間をネットワークとして整備する観点が不足している。
一方、自転車の通行を阻害する放置自転車が、近年減少する傾向であるものの、いまだ駅前や商店街等では多く発生している状況である。2自転車利用者のルール・マナーの遵守意識が不十分
道路交通法においては、自転車は車道(自転車道が設置されている場合は当該自転車道)通行を原則としつつ、普通自転車については、普通自転車歩道通行可の規制が都道府県公安委員会により実施されている場合は歩道を通行できることとされているが、現実には、自転車歩道通行可の規制の有無にかかわらず、自転車利用者自らの判断で歩道通行しているという実態も一般的に見られる。
こうした中で、一部の自転車の歩道上での無謀な通行やルール違反、マナーの悪さが歩行者の安全性を脅かし、厳しく指摘されている。
※普通自転車:道路交通法施行規則に定める、大きさ・構造の要件を満たした自転車3.道路空間の再構築に向けた基本事項
歩行者・自転車が安全で安心して通行できる道路空間を実現するため、自転車道等の走行空間の整備や交通ルールの周知等に取組んでいく必要があるが、それらの具体的な取組に共通する次の基本事項が重要となる。
○人優先
○バランス(歩行者・自転車・自動車)
○パートナーシップ
これまで道路整備は自動車中心に進められてきたが、今後は自転車を交通体系の中で重要な交通手段の一つとして位置づけた上で、歩行者や自転車の通行を重視した、自転車配慮型道路、いわバ強者が弱者に空間をゆずることを基本とした人優先の安全で快適な道づくりとして進めていく必要がある。
特に、近年自転車の関連する交通事故が増加傾向にあることから、歩行者・自転車・自動車の3者が調和し、安心して安全に通行できる道路空間とするため、歩行者の安全確保を前提としつつ自転車走行空間の確保等による自転車の交通安全対策が重要であり、それにより道路空間全体の安全性が高まり、事故全体の削減に寄与する。
また、自転車利用環境の整備の際には、道路整備・交通秩序の確保等を実際に行う道路管理者・公安委員会を中心に進めていくことになる。この際、真に安全で快適な自転車利用環境を確保する上で利用者や住民の視点が不可欠な要素であることに十分に留意し、自転車利用環境整備に携わる者においても、例えば、実際に自ら自転車で走行するなどして、利用者や住民の視点に立つ努力をすべきである。更に、道路管理者・公安委員会だけでなく、街づくりを担当する市町村、NPO、沿道住民、自転車利用者、歩行者などの多くの関係者がパートナーシップを形成し、取組んでいくことが重要となる。4.自転車を考慮した道路空間の実現に向けた5つの取組
歩行者や自転車が安心して安全に通行できる道路空間の創出を実現し、自転車の交通秩序を回復するためには、自動車中心の道路整備から脱却し、歩行者・自転車のための道路空間を新設・再構築していく必要がある。同時に、道路がその整備の趣旨に即して利用されるよう秩序ある道路空間の利用について利用者の意識を啓発していく必要がある。
そのために為すべき事項について、実施すべき5つの取組がある。
また、関係者が連携し主体となって取組んでいく前提として、様々な問題を解決するために、今後とも、国土交通省・警察庁の連携及び積極的な予算的・技術的な支援が必要である。(1)走行空間の原則分離の推進
歩行者や自転車のための道路空間を構築するためには、歩行者・自転車・自動車の交通量等の実態・将来像を踏まえ、それに応じて通行空間を適切に分離する必要がある。
また、自転車の走行空間の再配分については、植栽帯、中央分離帯、車道(車線数)等のあり方について検討することも必要である。1自転車道の整備
自転車の安全かつ円滑な走行を確保するためには、歩行者、自動車等と空間的に分離された自転車の走行空間を確保することが望ましい。したがって、歩行者・自転車・自動車の通行空間を構造的に分離する必要のある箇所はもとより、それが望まれる箇所においても、道路の新設、道路の改築や道路空間の再配分により、自転車道の整備を積極的に推進すべきである。2自転車レーン等による車道走行の円滑化
自転車道が設置されていない道路においては、道路状況・交通状況に応じ、自転車を空間的に分離するため、車道に自転車レーン等を設置することは、自転車の車道走行を円滑にする手法として有効である。この場合には、自転車レーンの整備や路肩のカラー化による走行空間の明示にあわせて、他の方法と同様、自転車利用者への通行ルール・マナーの啓発を行うなど、自転車が安心して安全に車道走行ができるような効果がある施策を推進するべきである。その際、違法駐車を抑制するための取組と一体的に実施することが効果的である。
なお、バスレーンを自転車の走行空間として活用することも道路空間を有効利用する手法として考えられる。3自転車歩行者道における歩行者・自転車の分離
自転車道の整備が困難な場合に、幅が広い自転車歩行者道において普通自転車歩道通行可の規制を実施するときは、歩行者・自転車の交通量に応じて、自転車通行部分の指定を行い、標識等の設置方法・内容を工夫することにも配慮して、歩行者・自転車の空間的な分離を図るべきである。4地域・地域の取組
道路空間が狭く歩行者・自転車のための十分な通行空間を整備する空間を確保することが困難な場合もあり得るが、そのような場所では、地元住民や利用者の意見を踏まえながら、自動車の一方通行規制と併せた車道上での自転車走行空間の確保、無電柱化、植栽帯の縮小、民地の活用など自転車走行空間を確保する工夫や自動車運転者への注意喚起による自転車と自動車とが混在する空間における危険予防・回避の措置、自転車マップの作成、案内板の設置による迂回路の情報提供、自転車を降りて押すことの推進等道路空間のゆずりあい利用について地元のNPO等と連携したマナーの向上活動を行うなど、地域・地域の工夫による取組により自転車利用環境の向上を図ることが大切である。
さらに、こうした地域・地域のノウハウを蓄積して、全国に発信していくことも必要である。
なお、これらに併せて、誰にでもわかりやすく、全国的に統一された自転車走行空間の着色や適切な標識・標示の設置等、自転車走行空間であることを認識させる工夫を早急に行うことも重要であり、その際には、自転車利用者が見やすいように路面に自転車道であることを表示する等、自転車利用者の視点に立った工夫を検討することが必要である。(2)駐輪対策の着実な実施
駅前や商店街における放置自転車等は、走行空間の阻害及び景観悪化の影響を及ぼしている。これに対応するため、主に自転車ネットワーク上の主要ルートを考慮した上で、歩行者が多い箇所等、放置自転車が問題となる箇所において、自転車駐車場等を整備するとともに、放置自転車の撤去や自動二輪車等の違法駐車取締りなどを行うことにより、走行空間を確保することが必要である。その際、道路空間に余裕がある場合やデッドスペースがある場合には、短時間利用を想定した路上自転車駐車場(ちょいどめ施設)の整備などが有効である。
その上で自転車駐車場におけるラックや自転車繋留用の柵の設置等の利便性の向上による利用率の増加、駐輪スペースの小さな自転車駐車場の有効活用、レンタサイクルの実施など、放置自転車を減少する工夫を検討するべきである。(3)ルールの周知徹底・マナーの向上
秩序ある道路空間の利用を促進するためには、道路空間の整備に併せて、自転車利用者に対して自転車は車両であるという意識付けや、車道や歩道における通行方法などのルール・マナーの周知活動が重要である。特に子供や高齢者、自動車の運転免許未取得者など、通行ルールを学ぶ機会の少ない人等を重点に、ルール・マナーを周知するイベントや街頭での啓発活動、学校での交通安全教育等を推進し、徹底したルールの周知を図り、悪質な違反者については指導・取締りも実施していく必要がある。また、歩道上における歩行者優先の自転車の通行については、マナーの向上も強く望まれるところである。自転車の技術的指導やルール・マナーの周知については、自転車のプロや競技者との連携も考えられる。
一方、自転車利用者に対してだけでなく、自動車運転者に対しても、運転免許更新時等にルールの周知を図ることが必要である。また、歩行者に対しても、自転車道にむやみに飛び出さない、歩行者優先が原則であるものの自転車歩行者道では自転車の通行にも一定の配慮をする等、歩行者が守るべきルール・マナーについて周知を図ることが必要である。
なお、地域住民等の理解を得て監視カメラを設置し、その場所を明示することにより、マナーを守ることを促すことも一つの方法と考えられる。(4)戦略的整備の速やかな展開
自転車道等の自転車走行空間を確保していくためには、具体的なタイムスケジュールを設定し、重点的な対策箇所やモデル地域について対策を速やかに実施していくことが必要である。その際、予算的な確保も重要となる。1重点的な対策箇所
都市部の歩行者・自転車・自動車が錯綜しているなど課題が発生している箇所において、駅・学校・住宅地などの交通の発生と集中を考慮した上で、優先的に安全で快適な自転車走行空間の確保に取組む必要がある。2モデル地区の整備
歩行者・自転車が安全に安心して通行できる道路空間を全国的に広めるためには、走行空間等のハード整備に併せ、啓発活動や取締り等を関係機関や地元の方々と一体的・総合的に実施する先進的な地区を創出し、当該地区における走行空間整備の効果を全国に発信することが必要である。
他の地区への参考となり、先進的な取組を行うモデル地区を選定する際は、地区における自転車通行環境の整備の目的を明確にした上で、例えば、自転車交通量が多く課題を有する箇所(駅・学校・住宅地等)、自転車による移動の出発地・目的地を結ぶ経路を考慮しながら選定することが望ましい。
なお、自動車に自転車の接近を伝えるなどの危険予防・回避の措置に関し、自転車道が整備されることで自転車の走行位置が限定されることから、IT技術を活用したモデル地区の整備も考えられる。3技術ノウハウの充実
地域の道路状況に適した自転車走行空間を整備するためには、現行の道路構造令等の法規範では対応できないものについて検証を行い、対応できるように基準の見直しを図っていくことが必要である。併せて歩道と車道における自転車走行の安全性や快適性について調査・検証を行う必要がある。特に、歩行者・自転車・自動車の交通が交わる交差点においては、自転車走行空間の整備に併せ、自転車横断帯等を適切に設置する必要がある。
更に、適切な整備を行うために、これらの考え方や手法を整理し、各道路管理者や公安委員会に周知していくことも重要である。(5)ネットワーク計画や目標を持った整備の促進
今後、歩行者の安全を前提として、自転車利用者がルールを守れば、安心・安全に利用できる自転車走行空間を地域ごとに提供するため、自転車ネットワーク計画を策定し、その目標を定めた上で、沿道住民や利用者を含めた関係者すべてが連携協力することによって、着実に整備推進する必要がある。1ネットワーク計画
自転車の利用範囲を考慮すると市町村程度の規模が適切であることから、市町村単位のネットワーク計画を策定し、整備を行っていく必要がある。
自転車のネットワークを計画する際には、目的地となる鉄道駅や公共施設、学校等、主要な施設を結ぶ主要な動線の検討を行い、自転車ネットワークの軸となる道路を設定する。
軸となる道路については、出来る限り分離された自転車専用の空間としていく必要がある。
しかし、計画全体としては自転車道だけではなく、歩行者と自転車、自動車とが空間的に分離された自転車レーンや自転車歩行者道などを活用し、複数の空間構成案を組み合わせた対策を考慮しながら、効率的かつ戦略的にネットワーク化を実施することが必要であり、そのための支援の仕組みや予算措置などを検討するべきである。2目標の設定
歩行者・自転車が安心して安全に通行できる道路空間の整備を着実に進めるためには、課題解決に向けた将来の目標を定めることにより、自転車走行空間の整備を促進していくことが重要である。
そこで、主に都市部において歩行者・自転車・自動車の輻輳が発生している箇所や、歩行者・自転車交通が集中している箇所等分離を促進する必要性が高いものを重点的に取組むべき箇所として、整備延長の目標を設定し整備をしていくべきである。
また、整備延長の目標だけでなく、例えば自転車分担率のような自転車利用環境の目指すべき将来像をイメージできる目標の設定も重要である。
一方で、地下化した道路や鉄道の上に自転車専用道を整備するなど、斬新な取組などの検討も必要なものと考えられる。5.留意事項
1利用促進
環境負荷の低い自転車を活用し環境問題の解決を図っていくためには、快適な自転車利用空間の整備に併せて自転車通勤の優遇策等により自転車利用の促進する必要がある。
例えば、環境問題や健康志向の高まり等と関連し、イベントやマスコミとのタイアップ、自転車の利用メリットや楽しさのPR等により世論を形成することも利用促進のために重要である。
将来的には、自転車の楽しさや有効活用のため、タンデム自転車や自転車タクシーなどが利用できる環境整備も期待したい。
また、自転車本体の安全性や快適性の向上も必要であり、より安全性の高い自転車の開発、制動装置のないピストなど危険な改造自転車を使用させない取組により、よりよい自転車を普及させることも必要である。
※自転車タクシー:アジアでシクロ等と呼ばれる三輪自転車。近年は、先進国でも環境面から見直され、一部で運行されている。2多様な自転車利用
日本における自転車の利用形態は様々であり、スポーツタイプによる高速走行から買い物目的の軽快車など多種多様な形態がある。
そのなか、観光は自転車の利用目的の一つであり、自転車を利用した観光を推進するためには、サイクリングロードの整備とともに、休憩所等の整備や自転車で観光地を紹介するガイドの実施等の取組を推進すべきである。
また、自転車の列車への持ち込みや観光施設の割引等、関係機関との連携も必要である。3路上駐車対策
自転車の走行空間と駐車車両の占める空間が競合する関係にあることに留意し、対策を考える必要がある。
すなわち、自転車の通行空間を確保する際には、物流における荷物の積卸し、人の乗降等道路における駐停車の需要が存在することを踏まえつつ、例えば、商店街において共有の荷捌きスペースを確保するなど、違法駐車を抑制するための取組を併せて実施することや違法駐車の取締活動方針との整合性を確保することに配慮することが必要である。おわりに
ここまで、道路空間の再構築に向けた基本事項と5つの取組を挙げ、新たな自転車利用環境のあり方をとりまとめた。
しかしながら、自転車利用環境に関する検討はまだ始まったばかりであり、現場の道路管理者や公安委員会における自転車利用環境整備の動きもまだまだ少ない状況にある。歩行者・自転車が安心して安全に通行できる道路空間を創出していくためには、本レポートでとりまとめた内容をもとに、継続して自転車利用環境の見直しに取組んでいくことが必要である。
新たな自転車利用環境の実現に向け、現地の道路管理者・公安委員会の努力とともに、国土交通省・警察庁をはじめとする関係者においても一体となって継続的な取組を期待したい。