自転車社会学会2007/7/6作成
これからの自転車配慮型道路における道路空間の再構築に向けて

4.自転車を考慮した道路空間の実現に向けた5つの取組

(1)走行空間の原則分離の推進
歩行者や自転車のための道路空間を構築するためには、歩行者・自転車・自動車の交通量等の実態・将来像を踏まえ、それに応じて通行空間を適切に分離する必要がある。
また、自転車の走行空間の再配分については、植栽帯、中央分離帯、車道(車線数)等のあり方について検討することも必要である。

1自転車道の整備
自転車の安全かつ円滑な走行を確保するためには、歩行者、自動車等と空間的に分離された自転車の走行空間を確保することが望ましい。したがって、歩行者・自転車・自動車の通行空間を構造的に分離する必要のある箇所はもとより、それが望まれる箇所においても、道路の新設、道路の改築や道路空間の再配分により、自転車道の整備を積極的に推進すべきである。

2自転車レーン等による車道走行の円滑化
自転車道が設置されていない道路においては、道路状況・交通状況に応じ、自転車を空間的に分離するため、車道に自転車レーン等を設置することは、自転車の車道走行を円滑にする手法として有効である。この場合には、自転車レーンの整備や路肩のカラー化による走行空間の明示にあわせて、他の方法と同様、自転車利用者への通行ルール・マナーの啓発を行うなど、自転車が安心して安全に車道走行ができるような効果がある施策を推進するべきである。その際、違法駐車を抑制するための取組と一体的に実施することが効果的である。
なお、バスレーンを自転車の走行空間として活用することも道路空間を有効利用する手法として考えられる。

3自転車歩行者道における歩行者・自転車の分離
自転車道の整備が困難な場合に、幅が広い自転車歩行者道において普通自転車歩道通行可の規制を実施するときは、歩行者・自転車の交通量に応じて、自転車通行部分の指定を行い、標識等の設置方法・内容を工夫することにも配慮して、歩行者・自転車の空間的な分離を図るべきである。

→1自転車道,2自転車レーン,3自転車歩行者道はどのように使い分けるのでしょう?。どのような状況に応じて使い分けるのでしょうか?。自転車走行空間の整備を進める道路の範囲は何を基準にするのでしょう?。

(2)駐輪対策の着実な実施
駅前や商店街における放置自転車等は、走行空間の阻害及び景観悪化の影響を及ぼしている。これに対応するため、主に自転車ネットワーク上の主要ルートを考慮した上で、歩行者が多い箇所等、放置自転車が問題となる箇所において、自転車駐車場等を整備するとともに、放置自転車の撤去や自動二輪車等の違法駐車取締りなどを行うことにより、走行空間を確保することが必要である。その際、道路空間に余裕がある場合やデッドスペースがある場合には、短時間利用を想定した路上自転車駐車場(ちょいどめ施設)の整備などが有効である。
その上で自転車駐車場におけるラックや自転車繋留用の柵の設置等の利便性の向上による利用率の増加、駐輪スペースの小さな自転車駐車場の有効活用、レンタサイクルの実施など、放置自転車を減少する工夫を検討するべきである。

→放置自転車の撤去だけではない駐輪対策は素晴らしいですね。レンタサイクルを実施すると放置自転車が減少するというのが私には理解できないのですが・・・・効果があるのでしょうね,キット。

(3)ルールの周知徹底・マナーの向上
秩序ある道路空間の利用を促進するためには、道路空間の整備に併せて、自転車利用者に対して自転車は車両であるという意識付けや、車道や歩道における通行方法などのルール・マナーの周知活動が重要である。特に子供や高齢者、自動車の運転免許未取得者など、通行ルールを学ぶ機会の少ない人等を重点に、ルール・マナーを周知するイベントや街頭での啓発活動、学校での交通安全教育等を推進し、徹底したルールの周知を図り、悪質な違反者については指導・取締りも実施していく必要がある。また、歩道上における歩行者優先の自転車の通行については、マナーの向上も強く望まれるところである。自転車の技術的指導やルール・マナーの周知については、自転車のプロや競技者との連携も考えられる。
一方、自転車利用者に対してだけでなく、自動車運転者に対しても、運転免許更新時等にルールの周知を図ることが必要である。また、歩行者に対しても、自転車道にむやみに飛び出さない、歩行者優先が原則であるものの自転車歩行者道では自転車の通行にも一定の配慮をする等、歩行者が守るべきルール・マナーについて周知を図ることが必要である。
なお、地域住民等の理解を得て監視カメラを設置し、その場所を明示することにより、マナーを守ることを促すことも一つの方法と考えられる。

→今,考えればこれが自転車通交方法教則の改正の伏線だったのですね。今後は,具体的な周知,教育の機会の確保が課題ですね。

(4)戦略的整備の速やかな展開
自転車道等の自転車走行空間を確保していくためには、具体的なタイムスケジュールを設定し、重点的な対策箇所やモデル地域について対策を速やかに実施していくことが必要である。その際、予算的な確保も重要となる。

1重点的な対策箇所
都市部の歩行者・自転車・自動車が錯綜しているなど課題が発生している箇所において、駅・学校・住宅地などの交通の発生と集中を考慮した上で、優先的に安全で快適な自転車走行空間の確保に取組む必要がある。

2モデル地区の整備
歩行者・自転車が安全に安心して通行できる道路空間を全国的に広めるためには、走行空間等のハード整備に併せ、啓発活動や取締り等を関係機関や地元の方々と一体的・総合的に実施する先進的な地区を創出し、当該地区における走行空間整備の効果を全国に発信することが必要である。
他の地区への参考となり、先進的な取組を行うモデル地区を選定する際は、地区における自転車通行環境の整備の目的を明確にした上で、例えば、自転車交通量が多く課題を有する箇所(駅・学校・住宅地等)、自転車による移動の出発地・目的地を結ぶ経路を考慮しながら選定することが望ましい。
なお、自動車に自転車の接近を伝えるなどの危険予防・回避の措置に関し、自転車道が整備されることで自転車の走行位置が限定されることから、IT技術を活用したモデル地区の整備も考えられる。

→IT技術を活用したモデル地区ってどんな整備なのでしょうね。全国に展開できるモデルである必要がありますね。

3技術ノウハウの充実
地域の道路状況に適した自転車走行空間を整備するためには、現行の道路構造令等の法規範では対応できないものについて検証を行い、対応できるように基準の見直しを図っていくことが必要である。併せて歩道と車道における自転車走行の安全性や快適性について調査・検証を行う必要がある。特に、歩行者・自転車・自動車の交通が交わる交差点においては、自転車走行空間の整備に併せ、自転車横断帯等を適切に設置する必要がある。
更に、適切な整備を行うために、これらの考え方や手法を整理し、各道路管理者や公安委員会に周知していくことも重要である。

(5)ネットワーク計画や目標を持った整備の促進
今後、歩行者の安全を前提として、自転車利用者がルールを守れば、安心・安全に利用できる自転車走行空間を地域ごとに提供するため、自転車ネットワーク計画を策定し、その目標を定めた上で、沿道住民や利用者を含めた関係者すべてが連携協力することによって、着実に整備推進する必要がある。

1ネットワーク計画
自転車の利用範囲を考慮すると市町村程度の規模が適切であることから、市町村単位のネットワーク計画を策定し、整備を行っていく必要がある。
自転車のネットワークを計画する際には、目的地となる鉄道駅や公共施設、学校等、主要な施設を結ぶ主要な動線の検討を行い、自転車ネットワークの軸となる道路を設定する。
軸となる道路については、出来る限り分離された自転車専用の空間としていく必要がある。
しかし、計画全体としては自転車道だけではなく、歩行者と自転車、自動車とが空間的に分離された自転車レーンや自転車歩行者道などを活用し、複数の空間構成案を組み合わせた対策を考慮しながら、効率的かつ戦略的にネットワーク化を実施することが必要であり、そのための支援の仕組みや予算措置などを検討するべきである。

→ネットワークで整備するという視点は必要かつ重要ですね。軸となる道路には自転車道を建設ですね。道路の両側に自転車道を設置し,一方通行規制し,自転車道内で自転車が対向したり,交差点に予期しない方向から自転車が飛び出さないようにする必要がありますね。

2目標の設定
歩行者・自転車が安心して安全に通行できる道路空間の整備を着実に進めるためには、課題解決に向けた将来の目標を定めることにより、自転車走行空間の整備を促進していくことが重要である。
そこで、主に都市部において歩行者・自転車・自動車の輻輳が発生している箇所や、歩行者・自転車交通が集中している箇所等分離を促進する必要性が高いものを重点的に取組むべき箇所として、整備延長の目標を設定し整備をしていくべきである。
また、整備延長の目標だけでなく、例えば自転車分担率のような自転車利用環境の目指すべき将来像をイメージできる目標の設定も重要である。
一方で、地下化した道路や鉄道の上に自転車専用道を整備するなど、斬新な取組などの検討も必要なものと考えられる。

5.留意事項

1利用促進
環境負荷の低い自転車を活用し環境問題の解決を図っていくためには、快適な自転車利用空間の整備に併せて自転車通勤の優遇策等により自転車利用の促進する必要がある。
例えば、環境問題や健康志向の高まり等と関連し、イベントやマスコミとのタイアップ、自転車の利用メリットや楽しさのPR等により世論を形成することも利用促進のために重要である。
将来的には、自転車の楽しさや有効活用のため、タンデム自転車や自転車タクシーなどが利用できる環境整備も期待したい。
また、自転車本体の安全性や快適性の向上も必要であり、より安全性の高い自転車の開発、制動装置のないピストなど危険な改造自転車を使用させない取組により、よりよい自転車を普及させることも必要である。
※自転車タクシー:アジアでシクロ等と呼ばれる三輪自転車。近年は、先進国でも環境面から見直され、一部で運行されている。

2多様な自転車利用
日本における自転車の利用形態は様々であり、スポーツタイプによる高速走行から買い物目的の軽快車など多種多様な形態がある。
そのなか、観光は自転車の利用目的の一つであり、自転車を利用した観光を推進するためには、サイクリングロードの整備とともに、休憩所等の整備や自転車で観光地を紹介するガイドの実施等の取組を推進すべきである。
また、自転車の列車への持ち込みや観光施設の割引等、関係機関との連携も必要である。

3路上駐車対策
自転車の走行空間と駐車車両の占める空間が競合する関係にあることに留意し、対策を考える必要がある。
すなわち、自転車の通行空間を確保する際には、物流における荷物の積卸し、人の乗降等道路における駐停車の需要が存在することを踏まえつつ、例えば、商店街において共有の荷捌きスペースを確保するなど、違法駐車を抑制するための取組を併せて実施することや違法駐車の取締活動方針との整合性を確保することに配慮することが必要である。

トップページへ