自転車社会学会2010/4/29作成

交通基本法の制定と関連施策の充実に向けて−中間整理−

(原文はこちら。→以下は私のコメントです)

交通基本法の制定と関連施策の充実に向けて−中間整理−
〜人々が交わり、心の通う社会をめざして〜
平成22年3月国土交通省

目 次

1.交通基本法の制定と関連施策の充実に向けて −中間整理−
〜人々が交わり、心の通う社会をめざして〜
2.参考資料
3.交通基本法案
(第165 回国会(臨時会)(平成18 年)民主党・社民党共同提出/第171 回国会(常会)(平成21 年)で衆議院解散となったため廃案)
4.交通基本法検討会の開催状況
5.「交通基本法」の制定に向けた意見募集の結果概要

1.交通基本法の制定と関連施策の充実に向けてー中間整理ー
〜人々が交わり、心の通う社会をめざして〜
平成22 年3 月国土交通省

はじめに

交通は、人や物の移動に必要不可欠なものであり、あらゆる活動の基礎となっています。このため、平成14年以来、民主党と社民党が共同で交通基本法の制定に向けて積極的に取り組んできたところです。将来を見据え、人口減少・少子高齢化の進展、地球温暖化対策等の諸課題に対応するためには、交通政策全般にかかわる課題、交通体系のあるべき姿、交通に関する基本的な法制度や支援措置のあり方などについて、積極的に検討を行っていくことが必要だと考えています。

→ふむふむ,民主党と社民党が共同で・・・・

このため、国土交通省では、昨年の11月から交通基本法検討会を順次開催し、各地の現場でがんばっておられる交通関係者や交通機関を利用される方々の生の声を聞かせていただいてきました。また、本年2月には広く意見募集を行ったところ360件を超える貴重なご意見をいただきました。これまでのご意見を踏まえながら、交通基本法の制定と関連施策の充実に向けた検討の骨子を中間整理としてまとめました。5月〜6月には国土交通省としての考え方をまとめていきたいと思っていますので、引き続き、みなさんからご意見をいただければ幸いです。

交通基本法の制定と関連施策の充実に向けて

私たちは、日々暮らしていくうえで移動を欠かすことはできません。職場や学校に通い、買い物や病院などに行くためには安全・安心な交通手段が必要不可欠です。その乗り物、くるまが主役となって久しくなります。くるまは、戸口から戸口へいつでも自由に移動することを可能にし、私たちの暮らしを豊かにしてきました。くるまのお陰で郊外の広い家に住むことが可能になり、事業所の立地場所の選択肢も広がりました。しかし、くるまに依存する社会となったため、気がつくとお年寄りや体の不自由な方々にはとても不便な社会になってしまいました。子供達にもしわ寄せがきています。くるまを使える者と使えない者の間に大きな格差ができてしまいました。このような「交通の格差社会」の進展は、これからのわが国に深刻な影響を及ぼすおそれがあります。今、日本人の5人に1人は65歳以上の高齢者ですが、5年後には4人に1人、25年後には3人に1人を超えると見込まれています。このままでは多くの方々が社会参加の機会を制約され、活力のない暗い社会に向かってしまうのではないでしょうか。

→第1点は移動制約者(もっといい呼称はないかな?)の補助,保障,活用?移動権の保障?

交通基本法を制定しなければならないと思うもう一つの理由は地球環境の問題です。地球温暖化の最大の原因は大気中に放出されるCO2 ですが、日本では交通部門からのCO2 排出量は全体の約2割で、その90%はくるまからのものです。交通手段をくるまから環境にやさしい公共交通機関に転換するとともに、くるま自体をエコにしていかなければ、鳩山政権がかかげる2020年までに25%のCO2 排出量の削減という目標の達成は難しいと思います。そのためには、私たちの暮らすまちを、自転車、バス、路面電車、鉄道などが充実した「歩いて暮らせるまち」にしていかなければなりません。低炭素社会の実現はグリーン・イノベーションによる成長戦略の道につながりますので、交通基本法のなかにきちっと交通分野の地球温暖対策を位置づける必要があります。

→第2点目は地球温暖化対策。

交通基本法は、移動に関する不安や不満をしっかりと受け止めるとともに、交通部門の地球温暖対策に関して私たちが進むべき方向についての指針を明確にするものでなければなりません。移動権を法律に位置づけ、環境にやさしい交通体系を構築していくというこれからの社会にふさわしい交通政策の道しるべとなるべきです。人と環境にやさしい交通体系の実現こそが地域や国全体の活性化にもつながりますので、そのような思いで、交通基本法を制定し、その理念を裏打ちする関連施策を充実させていかなければならないと思います。

→交通基本法の役割を書いている,そのなかで地域活性化もふれられているけど。交通基本法の目的は交通権の確保と地球温暖化対策。その目的に適う法令になっているかな?。

移動権の保障と支援措置の充実

→それでまず第1点の移動権について・・・・と支援措置の充実ね。

交通基本法の根幹に据えるべきは「移動権」だと思います。まず、私たちひとりひとりが健康で文化的な最低限度の生活を営むために必要な移動権を保障されるようにしていくことが、交通基本法の原点であるべきです。とりわけ、お年寄りや体の不自由な方々にとって、移動権は極めて重要です。過疎地域では高齢化が他よりも早く進んでおり、ただでさえ不便なこれらの地域での交通手段の確保は大きな課題です。また、国の骨格をなす離島にとって航路や空路は生命線です。どのような地域で暮らしていても、人々の知恵や新しい技術を活用しながら、すべての人々にとってまちにでやすい環境を整え、移動権を保障していくべきです。

そのためには、地域公共交通をしっかりと維持・再生し、活性化させていくことが必要です。「ユニバーサル・デザイン」、つまり交通施設を誰もが利用しやすいものにして行くことも重要です。権利を法律に規定してもそれを裏打ちする施策を充実していかかなければ移動権は充足されないからです。しかし、地域公共交通をめぐる状況は大変厳しくなっています。地方のバス、タクシー、鉄道、旅客船の旅客数は過去10年間で2割減、20年間で4割減と落ち込み、赤字の会社が増え、運行の維持が困難なところが増えています。そして、採算をとろうとして運賃を上げたため、客離れが起きるという悪循環に陥っています。安全で安心な輸送が脅かされかねません。また、交通施設や乗り物のバリアフリー化も道半ばの状況です。移動権を保障するためには、これらを誰もが利用しやすいユニバーサル・デザインにすることを徹底していかなければなりません。

これまでは、地域の公共交通は交通企業などの「私」の取組みと国や自治体の「公」とに頼ってきました。しかし、残念ながら年々公共交通を巡る環境は厳しさを増しており、「私」の取組みには限界がでてきています。このため、地域公共交通を維持・再生し、活性化させていくためには「公助」を一層充実させることが必要ですが、今までのやり方で単に支援額を増やすだけではいけないと思います。

→公助って,国や自治体が交通機関に対して補助金を出すという意味かな?。その範囲と額は?。

少し具体的に考えてみましょう。まず、移動手段の確保やバリアフリーの問題は、住民、自治体、交通企業などの地域の関係者が望ましい姿を構想し、持続可能な方策を構築することが基本だと思います。これを地方と連帯して支援していくのが国の役割です。従って、国の支援措置は地域の自主性を尊重することを基本におきながら拡充・再構築していくことが必要です。このような観点から、地域公共交通の維持・活性化などに関する国の補助制度は、予算を拡充するとともに、自治体や交通企業などによる地域の協議会の自主的な取組みに対して一括して交付する仕組みに改めてはどうでしょうか。

→地域の協議会の自主的な取組みに対して一括して交付する,って具体的には?。どういう意味?。地方自治体,各交通企業,利益関係者,住民が協議会を作り,協議会の自主的に作成する計画に対して国が助成するという意味ね。地域の単位は国土形成法における広域地方?都道府県?市区町村?。計画を承認するのは誰?。住民投票は非現実的だから地方議会?地方自治体の長?。補助金をもらって支出を決定するのは誰?。計画の検証,妥当性確認は誰がどうやってやる?。

また、「公助」の内容についても新しい発想が必要です。今は健常でくるまを自分で運転することができたり、家族に連れていってもらうことができても、いずれは年をとって運転できなくなり、家族に頼れない状況にも遭遇します。誰もが動くことが難しくなるというリスクを負っているのです。生きていくなかで障害を負ったり、生まれながらに障害をもっている方々もいます。このような状況にあるにもかわらず、交通分野には福祉の思想、つまり健常者が移動に困難を伴う人々を支え合う「共助」の考え方が欠けているように感じます。「共助」の視点を加えて、国も地方も「公助」の内容を大幅に拡充する必要があるのではないでしょうか。

→公助と共助を一緒にはできないけど,共助の視点を加えるって具体的には?。

環境にやさしい交通体系の実現

→もちろん第2点は地球環境問題。・・・交通体系としていますね。

くるまに依存する現代社会が解決すべきもう一つの重要課題は環境にやさしい交通体系の実現です。くるまから環境負荷の少ない公共交通への利用転換やエコカーの普及を加速させるためには、経済的誘因(インセンティブ)や各種の規制を総動員する必要があります。例えば、通勤のこと。全国の就業者の4割が通勤にくるまを使っています。マイカー通勤からのCO2 排出量は年間3,000 万トンに達するとの推計もあります。法律、予算、税制を組み合わせて通勤交通のグリーン化を加速させる必要があります。

→インセンティブや規制と明言していますね。グリーン化とはまた抽象的な。化石燃料を使わない交通体系の構築という意味でしょうか?。

また、経済の牽引役が期待される大都市も交通混雑が常態化していると成長力は半減します。シンガポール、ロンドン、ストックホルムなどで行われているように都市部の渋滞対策にインフラ整備ではなく経済的誘因や交通規制を活用する時代が来ていると思います。

→再び世界を例にインセンティブ+規制に言及。

物流でも荷主と運送事業者が連携して、短距離輸送は自家用トラックから営業用トラックへ、長距離輸送はトラックから鉄道や海運へ転換(モーダルシフト)していくことが必要です。そのためには効率的な輸送機関を荷主に選んでもらう魅力や誘因を充実させることが必要です。

→自家用から営業用へ,トラックから鉄道へのモーダルシフトと高速道路無料化は矛盾しているなあ。

これらのことを実現するためには関係者の努力が必要ですし、一面では負担や制約をもたらします。しかし、短期的なCO2 排出量削減のみならず、長い目でみれば私たちの住まいや事業所の立地に影響し、環境負荷の少ない都市・国土構造の形成にもつながるはずです。

→私たちの住まいや事業所の立地に影響って?

地域の活力を引き出す交通網の充実

→はて?3点目に地域活性化が登場しているなあ。これは交通体系の目的,目標じゃない?結果をアピールしている?。

社会参加の機会が広がるということは、人々が、そして、まちが活気をもつことにつながります。くるまが多いと「渋滞」になりますが、人々がたくさん集まってくると「賑わい」になります。路面電車のまち、自転車で動き回れるまち、バリアフリーの徹底した誰にとっても移動しやすいまち、子育てのしやすいまちは、「住んでよし、訪れてよし」となり、来訪者も増えていきます。それが魅力的なまちづくりであり、地域おこしというものではないかと思います。

また、地域の活性化は、地域間を結ぶ幹線交通網が各地の隅々にまで根を伸ばしてこそ引き出されることになります。その意味で、どこがどのように欠けているのか、新しい高速道路料金制度と整合のとれた交通体系はどうあるべきか、交通結節点へのアクセスで改善すべきところはどこかなど、あらゆる角度から「幹線交通網の総点検」が必要だと感じています。大都市圏をリニアのような新しい超高速交通機関が結ぶ時代も視野に入れて、今後の幹線交通体系を総合的な視点からみつめてみることが必要ではないでしょうか。

→地域間を結ぶ幹線交通網が各地の隅々まで根を伸ばす→日本列島改造論とどう違うのかなあ。
→正確には望ましい交通体系と整合のとれた高速道路料金体系はどうあるべきか,だろうなあ。

都市内や都市間を結ぶ交通網は、日本で暮らしている私たちのみならずわが国を訪れるすべての人々を各地に案内できる基盤となり、日本だけでなくアジア、そして世界の公共財になるのです。日本発の新しい交通技術を海外に普及させていくきっかけにもなるでしょう。そんな世界に開かれた未来志向の発想も交通基本法には必要だと思います。

→都市間を結ぶ交通網は世界の公共財で,地域間を結ぶ幹線交通網は何なんだろう,どう違うんだろう?。

おわりに

フランスでは1982 年に交通基本法が制定されました。今では、首都パリのみならず、ストラスブールなどの地方都市の交通体系は世界をリードするようになっています。遅れること30 年。日本でも交通基本法を制定するときがきました。国土交通省では、来年の国会に関連施策を充実させる方策とともに交通基本法案を提出したいと考えています。

→首都パリのみならず,とはヴェリブのことを言っているのであれば,的外れじゃないかナア。

そのためには、全員参加の過程が重要だと思っています。できるだけ多くの方々と意見を交わしながら、市民本位、住民本位の法案をつくっていきたいと思っています。交通基本法の制定と関連施策の充実に向け、この中間整理に対しても、みなさんから幅広くご意見をいただければと思いますので、どうかよろしくお願いします。

2.参考資料
交通をめぐる環境の変化

全国的に進む人口減少
地域間の人口減少・高齢化格差
急速な高齢社会の到来
労働力人口の見通し
いわゆる交通弱者について
地域公共交通の現状と課題
地方圏における移動手段の現状と課題(1)
地方圏における移動手段の現状と課題(2)
都市と地方の比較
海外の都市で導入されている仕組み
バリアフリー化の現状と課題
安全・安心の確保の現状と課題
日本全体のCO2排出量
運輸部門のCO2排出量
通勤交通のグリーン化
貨物輸送におけるCO2排出原単位

3.交通基本法案(第165 回国会(臨時会)(平成18 年)民主党・社民党共同提出/第171 回国会(常会)(平成21 年)で衆議院解散となったため廃案)

交通基本法案

目次
第一章 総則(第一条―第十三条)
第二章 交通計画(第十四条―第十六条)
第三章 交通に関する基本的施策
第一節 国の施策(第十七条―第二十五条)
第二節 地方公共団体の施策(第二十六条)

附則

第一章 総則

(目的)
第一条 この法律は、交通が、人の移動及び貨物流通を担うものとして国民の諸活動の基礎であるとともに、環境に多大な影響を及ぼすおそれがあることにかんがみ、移動に関する権利を明確にし、及び交通についての基本理念を定め、並びに国、地方公共団体、事業者及び国民の交通についての基本理念に係る責務を明らかにするとともに、交通に関する施策の基本となる事項を定めることにより、交通に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって国民の健康で文化的な生活の確保及び国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。

→基本理念は第三条から第七条だそうです。移動に関する権利は第二条ですね。

(移動に関する権利)
第二条 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営むために必要な移動を保障される権利を有する。
2 何人も、公共の福祉に反しない限り、移動の自由を有する。

→なるほど,移動に関する権利が明確にされていますね。基本的人権の一部と位置づけられるのかな?。移動権と交通体系?。

(安全で円滑で快適な交通施設等の利用等)
第三条 交通施設の整備及び輸送サービスの提供(交通施設の利用に関する情報の提供を含む。以下同じ。)は、何人も安全が十分に確保され、かつ、円滑で快適に交通施設及び輸送サービスを利用することができるようにするとともに、交通施設及び輸送サービスの質が確保されつつその費用の縮減が図られることを旨として、交通施設及び輸送サービスを利用する者の立場に立って、行われなければならない。

→交通施設=道路,線路,空港,港湾・・・・?,輸送サービス=バス,トラック輸送,鉄道,航空,船舶輸送・・・・?。ガソリンスタンドはどちらに含まれる?含まれない?。

(交通体系の総合的整備)
第四条 交通体系の整備は、国土の利用、整備及び保全に関する国の方針に即し、交通に係る需要の動向、交通施設に関する費用効果分析及び収支の見通しその他交通に係る社会的経済的条件を考慮して、徒歩、自転車、自動車、鉄道、船舶、航空機等による交通が、それぞれの特性に応じて適切な役割を分担し、かつ、有機的かつ効率的に連携することを旨として、総合的に行われなければならない。

→交通体系の整備の基本的考え方であり,交通体系そのものの基本的考え方である第七条のあとに記載することが適当。これは基本理念ではなく方法論,第八条国の責務の前に記載することが適切。主語は国,地方自治体,事業者および国民。

(交通による環境への負荷の低減)
第五条 交通による環境への負荷については、交通が環境に多大な影響を及ぼすおそれがあることにかんがみ、環境への負荷の少ない健全な経済の発展を図りながら持続的に発展することができる社会が構築されることを旨として、できる限りその低減が図られなければならない。

(大規模災害時における交通の確保)
第六条 交通施設の整備は、大規模な災害が発生した場合に必要な交通が確保されるようにすることを旨として、行われなければならない。

→交通施設だけが生き残っても,輸送サービスを提供する組織が生き残らないと交通は確保されないのだけれど・・・・道路は地震で壊れないように作ることを要求しているだけ?。

(国際交通機関等の整備)
第七条 国際交通機関及びこれに関連する施設の整備は、我が国経済の国際競争力の維持及び強化が図られることを旨として、行われなければならない。

(国の責務)
第八条 国は、第三条から前条までに定める交通についての基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、交通に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。
2 国は、交通に関する施策を策定し、及び実施するに当たっては、国民の参加を積極的に求めなければならない。
3 国は、地方公共団体によるその地方公共団体の区域の自然的経済的社会的諸条件に応じた交通に関する施策の推進に資するため、地域の輸送需要に対応する交通に関する事業について、地方公共団体への権限の移譲、国の関与の縮減等の施策を推進するものとする。

→どうして「推進しなければならない。」や「推進する責務を有する。」じゃないんだろう。

(地方公共団体の責務)
第九条 地方公共団体は、基本理念にのっとり、交通に関し、国との適切な役割分担を踏まえて、その地方公共団体の区域の自然的経済的社会的諸条件に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。
2 地方公共団体は、交通に関する施策を策定し、及び実施するに当たっては、地域住民の参加を積極的に求めなければならない。

(事業者の責務)
第十条 運輸事業その他交通に関する事業を行う者は、基本理念にのっとり、交通の安全性、円滑性及び快適性の向上、交通による環境への負荷の低減等に努めなければならない。
2 前項に定めるもののほか、事業者は、国又は地方公共団体が実施する交通に関する施策に協力する等基本理念の実現に寄与するように努めなければならない。

(国民の責務)
第十一条 国民は、国又は地方公共団体が実施する交通に関する施策に協力する等基本理念の実現に寄与するように努めなければならない。

(法制上の措置等)
第十二条 政府は、交通に関する施策を実施するため必要な法制上又は財政上の措置その他の措置を講じなければならない。

→第八条とは別に記載した理由は?。主語が政府となっているが,法制上の措置を講じる責任が政府にある(国会にはない)?。国会の責務はないの?。

(年次報告)
第十三条 政府は、毎年、国会に、交通の動向及び政府が交通に関して講じた施策に関する報告を提出しなければならない。
2 政府は、毎年、前項の報告に係る交通の動向を考慮して講じようとする施策を明らかにした文書を作成し、これを国会に提出しなければならない。

第二章 交通計画

(交通基本計画)
第十四条 政府は、交通に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、交通基本計画を定めなければならない。
2 交通基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
一 交通に関する施策についての基本的な方針
二 交通に関し、政府が総合的かつ計画的に講ずべき施策
三 前二号に掲げるもののほか、交通に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項
3 交通基本計画は、国土の利用、整備及び保全に関する国の計画との調和が保たれたものでなければならない。

→国の計画って?政府が定める国土交通省立案+閣議決定の交通基本計画に対して「国の計画」?国土形成計画全国計画のことかな?これも閣議決定の政府の計画じゃないの?。国会が承認していない計画は政府の計画じゃないの?。

4 国土交通大臣及び内閣総理大臣は、あらかじめ広く国民の意見を聴いて交通基本計画の案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。
5 政府は、前項の規定により閣議の決定をしたときは、交通基本計画を国会に提出して、その承認を受けなければならない。

→アララ,国土形成計画法でも閣議決定なのに国会の承認?。広域地方計画との整合性は?。都道府県ではなく広域地方?。
→交通政策審議会も必要ないんだ,廃止したら?。

6 国土交通大臣及び内閣総理大臣は、前項の規定による国会の承認があったときは、遅滞なく、交通基本計画を公表しなければならない。
7 政府は、交通をめぐる情勢の変化を勘案し、及び交通に関する施策の効果に関する評価を踏まえ、おおむね五年ごとに、交通基本計画を変更するものとする。
8 第四項から第六項までの規定は、交通基本計画の変更について準用する。

(都道府県交通計画)
第十五条 都道府県は、当該都道府県の区域の自然的経済的社会的諸条件に応じた交通に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、都道府県交通計画を定めなければならない。

→国が都道府県に命令しているなあ,定めなければならないと。地方自治の理念に反するんじゃないかなあ。インセンティブと規制の観点からいえば都道府県交通計画を定めると補助金がもらえるよ,じゃないのかなあ。

2 都道府県交通計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
一 都道府県の区域における交通に関する施策についての基本的な方針
二 都道府県の区域における交通に関し、当該都道府県が総合的かつ計画的に講ずべき施策
三 前二号に掲げるもののほか、都道府県の区域における交通に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項
3 都道府県交通計画は、交通基本計画との調和が保たれたものでなければならない。
4 都道府県は、都道府県交通計画を定める場合には、あらかじめ、国の関係地方行政機関の長及び関係地方公共団体の長その他の執行機関並びに住民の意見を聴くとともに、当該都道府県の議会の議決を経なければならない。
5 都道府県は、都道府県交通計画を定めたときは、遅滞なく、これを国土交通大臣及び内閣総理大臣その他関係行政機関の長に報告し、並びに当該都道府県の区域内の市町村の長に通知するとともに、これを公表しなければならない。
6 都道府県は、当該都道府県の区域における交通をめぐる情勢の変化を勘案し、及び当該都道府県の区域における交通に関する施策の効果に関する評価を踏まえ、おおむね五年ごとに、都道府県交通計画を変更するものとする。
7 第四項及び第五項の規定は、都道府県交通計画の変更について準用する。

(市町村交通計画)
第十六条 市町村は、当該市町村の区域の自然的経済的社会的諸条件に応じた交通に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため必要があると認めるときは、市町村交通計画を定めなければならない。
2 前条第二項から第七項までの規定は、市町村交通計画について準用する。この場合において、同条第三項中「交通基本計画」とあるのは「交通基本計画及び都道府県交通計画」と、同条第五項中「国土交通大臣及び内閣総理大臣その他関係行政機関の長に報告し、並びに当該都道府県の区域内の市町村の長に通知する」とあるのは「当該市町村の属する都道府県の知事に報告する」と、同条第七項中「第四項及び第五項」とあるのは「次条第二項において準用する第四項及び第五項」と読み替えるものとする。

第三章 交通に関する基本的施策
第一節 国の施策

(交通条件に恵まれない地域における交通施設の整備の促進等)
第十七条 国は、交通条件に恵まれない地域の住民が日常生活及び社会生活を営むに当たり安全で円滑で快適に移動することができるようにするため、当該地域における交通施設の整備の促進及び輸送サービスの提供の確保その他必要な措置を講ずるものとする。

(移動制約者に配慮された交通施設の整備の促進等)
第十八条 国は、高齢者、障害者等移動に関し制約を受ける者(以下「移動制約者」という。)が日常生活及び社会生活を営むに当たり安全で円滑で快適に移動することができるようにするため、移動制約者の移動に係る身体の負担の軽減に配慮された交通施設の整備及び輸送サービスの提供(既存の公共交通機関による移動が著しく困難な移動制約者に対する輸送サービスの提供を含む。)の促進その他必要な措置を講ずるものとする。

(都市部における交通の混雑の緩和等)
第十九条 国は、都市部における交通の混雑を緩和し、交通の安全性、円滑性及び快適性の向上並びに交通による環境への負荷の低減を図るため、都市鉄道の輸送力の増強及び踏切道の立体交差化の促進、都市部における自動車交通量を抑制するための措置その他必要な措置を講ずるものとする。

(運賃又は料金の負担の軽減)
第二十条 国は、交通施設及び輸送サービスを利用する者の運賃又は料金に係る負担の軽減を図るため、交通施設及び輸送サービスの質を確保しつつ、交通施設の整備及び輸送サービスの提供に要する費用の縮減、公共交通機関についての助成その他必要な措置を講ずるものとする。

(交通に係る投資の重点化等)
第二十一条 国は、交通に係る投資の重点化を図り、総合的な交通体系の整備を効果的かつ効率的に行うため、真に必要性がある交通施設の重点的な整備の促進その他必要な措置を講ずるものとする。

(有機的かつ効率的な交通網の形成等)
第二十二条 国は、有機的かつ効率的な交通網を形成し、貨物流通の効率化及び円滑化並びに旅客の移動の利便性の向上を図るため、幹線道路、鉄道、航路及び航空路の間における連携並びに公共交通機関の間における連携の強化の促進その他必要な措置を講ずるものとする。

(交通による環境の保全上の支障の防止)
第二十三条 国は、交通による環境の保全上の支障を防止するため、環境への負荷の低減に資する交通施設(移動施設を含む。)の整備の推進、貨物の幹線輸送における環境への負荷の低減に資する輸送機関への転換の推進、環境の保全上の支障を防止するための交通規制その他必要な措置を講ずるものとする。

(災害発生時における交通の支障の防止)
第二十四条 国は、災害が発生した場合において交通に支障が生じることを防止するため、交通施設の災害に対する安全性の向上並びに住民の避難及び緊急輸送のため必要な経路の確保の促進その他必要な措置を講ずるものとする。

(外航海運等の中核的拠点となるべき施設の整備の促進等)
第二十五条 国は、外航海運及び国際航空における国際競争力の強化を図るため、外航海運及び国際航空の中核的拠点となるべき施設の整備の促進その他必要な措置を講ずるものとする。

第二節 地方公共団体の施策

第二十六条 地方公共団体は、前節に定める国の施策に準じた施策及びその他のその地方公共団体の区域の自然的経済的社会的諸条件に応じた交通に関し必要な施策を、これらの総合的かつ計画的な推進を図りつつ実施するものとする。

附 則

この法律は、公布の日から施行する。

理 由

交通が、人の移動及び貨物流通を担うものとして国民の諸活動の基礎であるとともに、環境に多大な影響を及ぼすおそれがあることにかんがみ、交通に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、移動に関する権利を明確にし、及び交通についての基本理念を定め、並びに国、地方公共団体、事業者及び国民の交通についての基本理念に係る責務を明らかにするとともに、交通に関する施策の基本となる事項を定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

4.交通基本法検討会の開催状況

■趣旨
辻元副大臣及び三日月政務官が検討会を主催し、外部の有識者・事業者等からヒアリングを実施。

■ ヒアリングの進め方
有識者・事業者等から公共交通の維持・再生に関する課題等、今後の我が国の交通のあるべき姿についてご意見を伺う。
第1回 交通基本法の意義、移動の権利についての考え方 (平成21 年11 月13 日)
第2回 環境負荷低減のための交通施策やインセンティブ、交通政策の費用便益分析(平成21 年12 月 8 日)
第3回 地域交通の現状・課題と取組み(過疎地の公共交通)(平成21 年12 月25 日)
第4回 地域交通の現状・課題と取組み(中規模都市の公共交通)(平成22 年1 月20 日)
第5回 離島の交通・観光(平成22 年 2 月1 日)
第6回 交通とまちづくり(平成22 年2 月16 日)
第7回 福祉輸送(高齢者、障害者等にやさしい輸送)(平成22 年3 月1日)
第8回 バリアフリー (平成22 年3 月8 日)

※ 10 回程度開催予定
※ 検討会の資料、議事概要については、以下の国土交通省ホームページで公開
http://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/transport/sosei_transport_fr_000040.html

5.「交通基本法」の制定に向けた意見募集の結果概要
平成22年3月

平成22年2月1日から3月2日までにかけて実施した「交通基本法」の制定に向けた意見募集については、361件の意見提出があった。
交通基本法の制定に肯定的な意見が354件、否定的な意見が7件であり、意見提出者の多くがその制定を肯定的にとらえ、具体的な案文の修正意見(165件)や交通施策に関する一般的な意見(189件)の提出があった。
具体的な意見として、

・移動に関する権利を明確にし、それを保障するという基本法の規定に賛成の意見
・移動権の保障や環境・安全の観点から公共交通の維持・充実が必要不可欠であり、自家用車ではなく公共交通を優先する理念を基本法において明確に規定するべきとの意見
・移動権の保障のための地域公共交通の維持・充実には大きな費用が必要であり、基本法の制定とともに公共交通支援のための財源を確保すべきとの意見
・交通計画の策定にあたっては、公共交通再生・活性化法の連携計画、まちづくりや都市計画との連携が重要であるとの意見
・公共交通の維持・充実に際しては、離島や過疎地、高齢者、身体障害者、子供等交通弱者に特段の配慮が必要であるとの意見
.基本法に関連する施策の実施にあたり、交通事業者に過度の負担とならないよう配慮を求める意見

等があった。

主要な論点に関する意見とその件数は、以下のとおり。

(基本法の理念について)
自家用車優先から公共交通優先・公共交通が社会インフラであるとの理念を確立すべき32 件
環境負荷低減の理念を積極的に打ち出すべき 25 件
自家用自動車の特徴を活かすべき 2 件
自転車の位置づけを明確にすべき 13 件
物流の位置づけを明確にすべき 18 件
国、地方自治体、事業者、国民の役割と責任を明確にすべき 54 件

(移動権の保障について)
移動権の保障に賛成 26 件
移動権の保障に反対 5 件
移動権の保障の規定について十分な議論を行うべき 19 件
移動権の保障は漸進的に達成すべき 3 件

(財源問題について)

大都市の交通事業者の利益を地方への再配分、ユニバーサル料金や交通税の導入、ガソリン税等による公共交通の助成に関する財源を確保し、助成制度を充実すべき、今は健常でもいつかは交通弱者になるのでお互いを支えあう共助の考え方を盛り込むべき101 件
公共交通に対する公的負担の増加に反対 5 件

(交通計画について)
国が定める交通基本計画には自動車交通量の削減目標、公共交通機関の整備目標等具体的な整備目標を定めるべき7 件
ブロック単位での交通計画を策定すべき 9 件
市町村を超えた広域的な交通計画を策定すべき 23 件
地域公共交通活性化・再生法の連携計画や、都市計画、道路計画と交通基本計画との整合性を図るべき37 件
交通基本計画策定にあたり関係省庁間の連携を深めるべき 11 件
市町村による交通計画策定を義務付けるべき 21 件
自治体交通計画策定への住民の参画を明確にすべき 17 件

(地域交通に関する国の関与について)
地域の交通問題に国が関与すべきでない 6 件
地域の交通問題について国が積極的に関与すべき 49 件

(具体的な施策の方向性について)
離島、過疎地等の交通不便地域の問題を優先的に解決すべき 31 件
バリアフリー化を促進すべき 19 件
代替交通手段(リダンダンシー)を確保すべき 14 件
交通体系を総合的に考えるべき(施設整備、高速料金等) 28 件
モーダルシフトを推進すべき 11 件
モーダルシフトの受け皿、災害時の機能等を踏まえ、港湾、海上交通網の重要性を位置づけるべき17 件
自転車の交通ルールを徹底すべき 8 件
運賃・ダイヤ等の公共交通のサービス水準に公的主体が関与すべき 6 件
参入・退出自由化の撤廃等運輸事業に関する規制緩和の廃止、見直しをすべき6 件
運輸事業の規制緩和を推進すべき 3 件
公平な競争条件の確保、交通事業者の経営の自主性の確保等交通事業者の負担が重くならないよう配慮すべき19 件
道路運送法の改正、運用見直しを行うべき 12 件
道路において人、公共交通を優先するという交通の優先権を明確にすべき 10 件
道路管理や交通流管理について規制や権限のあり方を再検討するべき 16 件
環境面からの自動車の単体対策をすすめるべき 3 件
交通に関する教育を国民に実施するべき 14 件
交通に関する技術開発をすすめるべき 6 件
交通に関連する製造業に関する責務を規定するべき 2 件
交通に関する人材育成をすすめるべき 23 件
交通の安全に関する規定をおくべき 23 件
交通に関する統計の整備をすすめるべき 6 件
交通労働者の労働条件に関する規定をおくべき 7 件

(その他)
基本法の制定にあたり、幅広な意見聴取と、オープンな議論が行われるべき 19 件

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