電気自動車について
(FCEV : Fuel Cell Electric Vehicles)
1》動機
今現在、クリーンで省エネという夢の発電システムとして注目を浴びている燃料電池を搭載した「燃料電池電気自動車」。2003年から2005までに、ダイムラー・クラスラー、ゼネラル・モーターズ、トヨタ、日産、ホンダ等の有名な自動車メーカーが、「燃料電池」を搭載した「燃料電池電気自動車」を商業化すると発表しています。又、今後更に厳しくなる排出ガス規制、燃費規制に対応可能な21世紀の自動車として最も有力な事から、最近、私も耳するようになりました。そして、私は「燃料電池電気自動車」に興味を持ち、今年の夏、「燃料電池」について大阪工業技術研究所で学んできました。
そこで私は、「燃料電池電気自動車」を「環境問題を考えた新型原動機」として、調べることにしました。
2》燃料電池車の利点
・電池(バッテリー)は電池自身の中にエネルギーを蓄えますが、燃料電池 はそれ自身はバッテリーを持っていず、エンジンと同じように燃料タンクか ら供給された燃料を使ってエネルギーを生み出す発電機です。従って、燃料 電池は充電する必要が無く、エンジンと同じように燃料を供給する限り発電 します。
・内燃機関のように熱エネルギーを経由せず、燃料の持つエネルギーを直接 電気に変換するので、高い効率を得ることが可能です。
・CO2排出量が少なく、環境や人体に有害な排出物を出しません。自然エネルギーを使って製造した水素を燃料に使えば、環境へのダメージは零です。
・騒音がほとんどありません。(実際に試乗したところ、本当に信じられな いくらいに静かでした。)
■CO2排出量の比較
メタノールFCEV(天然ガス) 0.49
水素FCEV(天然ガス) 0.41
ガソリンエンジン(原油) 1.0
バッテリEV(原油) 0.82
0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0
CO2排出率(対ガソリンエンジン)
(大阪工業技術研究所で配布されたパンフレットより)
3》燃料電池について
水を電気分解すると、水素と酸素が発生します。燃料電池は、逆に水素と酸素を反応させ、発電するシステムです。
燃料電池で利用できるのは水素だけではありませんが、このレポートでは、未来の新エネルギーとされ、WE-NET計画としても注目されている「水素」を例に取ります。
燃料電池の主な構造は、
・二つの電極
・電極を隔てる電解質
・電極を結ぶ導体
です。燃料の水素は陽子と電子からできています。なず、水素が一方の電極へ流れると、電極で水素はプラスの電気をおびた陽子(水素イオン)と、マイナスの電気をおびた電子に分離されます。燃料と接触して陽子と電子に分離する働きを持つ電極は「燃料板」と呼ばれています。
電子は導体(外部回線)を通り、もう一方側の電極へ移動します。電子が通過する回路にモーターを取り込むと、電気エネルギーでモーターを動かす等の仕事をおこないます。
燃料板で分離された陽子は、電解質を通過して、電子は導体を伝わって、陽子と電子が別々の経路でもう一方の電極へ移動します。
反対側の電極では、電子と陽子、外部から供給される酸素が反応して水が形成されます。酸素が流れ、酸化反応をおこなう電極は「空気極」と呼ばれています。酸化反応により発生するエネルギーが、電子と陽子を移動させる原動力となります。
(大阪工業技術研究所で配布されたパンフレットより)
◇ 燃料電池の構造
自動車に乗せる燃料電池はサイドイッチのような構造をしています。一番外側にはセパレーター(黒鉛の板)、その内側に電極(燃料極・空気極)、またその内側に電解質(イオン交換膜)があります。
サパレーター : 電極に燃料や酸素を流したり、電極から生成する水を排出する働きを持つ。グラファイト板の両側に細かい溝が掘られている。その溝の中を燃焼、酸素、水が流れる。セパレーターを薄くすることが燃料電池の体積を小さくするポイントとなる。(1996年には5ミリ程度であったが、1998年には1.1ミリ程度まで薄くなった。)
電極 : 100分の4〜100分の6ミリの厚さのカーボンペーパーからできています。内部に貴金属を細かくちりばめています。電極の性能は燃料の利用効率に影響します。燃料や酸素の変換が低温でかつ大量にできるように、貴金属の種類やその分散のさせ方等の研究が今現在行われています。
イオン交換膜 : 100分の2〜100分の6ミリの厚さの高分子の膜。陽子がこの膜を透過します。陽子が膜を移動できる量が増加すると電池の出力が増加します。水素のまま膜を透過するとその水素はエネルギーとして利用できません。電池の作動温度が高い方が有効である等の理由から、水素が透過せずに、陽子が移動でき、耐熱性に優れた膜の研究が行われています。
◇MCFC(融解炭酸塩型燃料電池)の反応
・改質反応
CH4+H2O → 3H2+CO2 (燃料:LNG)
(C+2H2O → 2H2+CO2 (燃料:石炭))
(C+H2O → H2+CO (燃料:石炭))
(CO+H2O → 2H2+CO2(燃料:石炭))
・MCFC内での反応
アノード反応: H2+CO3 2- → H2O+CO2+2e-
(CO+CO3 2- → 2CO2+2e-)
カソード反応: CO2+1/2O2+2e- → CO3 2-
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全体反応 : H2+1/2O2 → H2O
4》燃料電池電気自動車が有望な理由
現在最もポピュラーなガソリン車のようにエンジン内で燃料を燃焼させる内燃機構は、燃料を急激に燃焼させ、発熱したエネルギーを機械エネルギーに変換するときに、熱エネルギーの多くは排出されてしまう熱になってしまい、変換効率が極端に低下してしまいます。
燃料から作り出されるエネルギーのうち、20〜40%程度しか効率的にエネルギーを作り出されていない、と言うことになります。
燃料電池電気自動車は、現在最もポピュラーなガソリン車に比べると環境面で優れた点が多いです。まず、エネルギーの利用効率が理論的には60%と非常に高く、省エネルギーであることです。燃料電池は燃料の化学エネルギーを電気エネルギーに変換し、それをモーターによって、機械エネルギーに変換して、車を動かします。
排気ガスがクリーンであることも、燃料電池の大きな長所です。世界で最も厳しい排出ガス規制である、アメリカのカルフォルニア州の1997年ULEV規制値と比較をしても、メタノール燃料電池車の排気ガスは、炭化水素排出量で20分の1、窒素化合物で200分の1。一酸化炭素は大気中よりも少なくなる。燃料電池だけなら、機械的部分や可動部分がないので騒音も少ないです。
畜電池をのせた電気車自動車と比較をすると、充電の必要が無く、飛行距離をガソリン車並に長くできる利点がある。(1996年に発売されたゼネラル・モーターズの電気自動車EV1は一回(数時間)の充電で100q走行。
5》燃料電池は今後どの程度普及するか
普通自動車分野でのエコカーの普及動向は、20世紀末から21世紀初頭にかけてはバッテリーとガソリンエンジン、又はヂィーゼルエンジンとを組み合わせたハイブリット電気自動車が主流になるだろう。その後、ハイブリットエンジンの代わりに燃料電池を搭載した燃料電池に置き換わるのではと予測がされている。
楽観的な予測では、2010年頃にはアメリカの普通自動車の市場の3%、2020年には9%程度を占めるとのデーターも出されている。燃料電池車開発の雄ダイムラー・クライスラーは1998年に普及を予測して、2004年には4万台、その後は年に3万台ずつ増産して、2006年には10万台という数を示している。
しかし、市場での普及には燃料電池がどのくらいの価格になるかがキーポイントになる。アメリカのPNGV(次世代に優しい自動車)計画では、燃料電池普及のために2004年までに価格を従来車の約10%増程度に抑えることを目標にしている。新システムの自動車を普及させるためには、価格を抑えることが重要である。月産2000台の販売実績を持つトヨタのハイブリット車「プリウス」も、価格を約215万円に抑えた事が成功の要因となっている。2003年から2005年までの間に燃料電池車を商業化するとの目標に対応して、素材メーカー、部品メーカーによる低価格化に向けた開発競争も激化している。
(Newton 4月号臨時増刊人体・環境異変より)
6》結論
現在、燃料電池電気車はクリーンで省エネという夢の発電システムとして注目を浴び、これから厳しくなっていくであろう環境規制に対応できるであろうと期待されていますが、ガソリンエンジン・ヂィーゼルエンジンに比べると走行距離の短さ、価格の高さが問題となって、今すぐの実現は無理だと思います。けれども、従来のエンジンよりも高効率、機械的部分や可動部分がないので騒音も少ないCO2排出量が少なく、環境や人体に有害な排出物を出さないなどの多くの長所を持っています。そのため、燃料電池が未来の原動機となる期待は高く、燃料電池車を商業化するとの目標に対応して、素材メーカー、部品メーカーによる低価格化に向けた開発競争も激化しているます。
7》考察
この「燃料電池」を調べるのに、最新情報を得ようと思い、まず最初にインターネットで調べました。インターネットのGOOで検索をしたところ、私が考えていたよりも多くののページがリストアップされ、「燃料電池」が注目されている事が分かりました。しかし、どこも実用化にはまだまだ開発途中のためか、あまり多くの情報は得ることはできませんでした。意外なことに、「燃料電池」として調べるよりも、「環境問題」・「未来エネルギー」として調べた方が多くの情報を得ることができました。それでも、あまり多くの情報を得ることができませんでした。結果的には、手持ちの本・雑誌と、今年の夏に参加したサイエンスキャンプで行った大阪工業技術研究所で学習した事、配布された物等から、作成しました。
8》参考図書
世界大百科事典(平凡社) ・ 大阪工業技術研究所創立80周年記念CD-ROM(大阪工業技術研究所) ・ 大阪工業技術研究所で配布されたパンフレット・環境機器(宣伝会議) ・ Newton
4月号臨時増刊人体・環境異変(ニュートン プレス) ・ トヨタ自動車(株) http://www.toyota.co.jp/index.html・日産自動車(株)http://www.nissan.co.jp ・ 日立製作所(株) http://www.hitachi.co.jp/index-j.html ・ 松下電池工業(株) http://www.mbi.panasonic.co.jp/ ・ 三菱電機(株) http://www.melco.co.jp/