No.7--------→ 不眠不休 〜花恋編〜
ある日 河原の土手を歩いていた麦太郎は
向こうから走ってくる人物と出会いました。
その人物とは オンナのコのようです。
サウナスーツを身にまとい
額から大汗をかいて走ってました。
どうやら 誰かに追われているワケではなく、
自分の意志で走っているみたいです。
その足取りは軽快・・・ とは言えず、
もうフラフラになりながら
かろうじて走っているという印象がありました。
「こんにちは」
麦太郎は すれ違いざま
そう声を掛けてみました。
「はい・・・ゼイゼイ・・ こんにちは・・・・ ゼイゼイ・・・」
オンナのコは そう言ってすぐ
バタンと倒れてしまいました。
「大丈夫ですか?」
麦太郎は 急いでオンナのコのそばに駆け寄り
もっていた日本手拭いで
オンナのコの汗を 拭いてあげました。
しばらく ゼイゼイ言ってたオンナのコは
ようやく元気になり、その場に座って
麦太郎と話しをすることにしました。
そのオンナのコの名前は 花恋(かれん)さん。
花恋さんはダイエットの為
ジョギングしているとのコトでした。
「うちなぁ いっしょけんめー走ってんねん。
せやけど なかなか 痩せへんねんよ。
何が イケナイんかなぁ・・・」
麦太郎は なんとか力になってあげたいと思いました。
だから 麦太郎も一緒に走るコトにしたんです。
タッタカ タッタカ タッタカ
タッタカ タッタカ タッタカ
タッタカ・・・・・・・・・・・・・・
野を越え 山を越え 谷も越えて
いくつもの町も過ぎた頃、
麦太郎は 代わり映えしない景色に アキてきました。
それに とても喉が渇きます。
花恋さんに 休憩を求めましたが
あえなく却下されてしまいました。
“いつまで 走る気なんだろう・・・”
麦太郎は 次第に不安になってきました。
もしかすると このまま一生
走り続けなければならないような気さえしてきました。
花恋さんは 全くペースが落ちません。
軽快に走っています。
走り続けて 三日たった頃、麦太郎は 勇気を出して
花恋さんに言いました。
「花恋さん・・・ あの・・・
この辺で 失礼しますよ」
すると やっと止まってくれた花恋さんが
「麦太郎はん、もうギブなんか?」
と、挑発するような発言をしました。
麦太郎は 心の中で
“くっ・・・・”
と 思いましたが
実のトコロ 限界ギリギリだったので
やむなく頭を垂れました。
「なんや 麦太郎はん。 もうギブなんかい。
こりゃエラいこっちゃ。
花恋一人では ダイエットするんが 寂しくなるわぁ」
そう言い残して 花恋さんは
夕日に向かって 駆けていきました。
寂しそうな 後ろ姿でした。
麦太郎は “ごめんね 花恋さん” と心で呟き
スキップで 家路につきました。
家に帰ってから 麦太郎は
花恋さんのコトを 改めて考えてみました。
確か花恋さんは 麦太郎と初めて会ったとき
相当 走り込んでいた様子・・・
なのに 麦太郎と三日間も走り続けたのに
息すら上がってなかった花恋さん・・・。
彼女は一体
何日間 走っているんでしょう?
麦太郎は なんだか不思議で しょうがないんですけど
とても疲れてしまっていたので
泥のように眠ってしまいました。
麦太郎のお友達、花恋さんのお話でした。
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