No.10--------→ 恐怖体験
本日の麦太郎、
ちょっと不思議な世界に行ったようです。
山々に赤みがかかり
木々もドンドン葉を落とすようなこんな時期に
麦太郎は 幽霊に遭遇してしまいました。
コトの始まりは 夜中のトイレに起きたときでした。
夜中の廊下はとても寒く
エクトプラズムのような白い息が口からこぼれます。
寒さに弱い麦太郎は 急いでトイレに駆け込みました。
…用が終わって トイレを出ようとしたそのとき、
トイレの窓の外から 声が聞こえてきました。
「うらめしぃ・・・・」
麦太郎は 外に誰か居るのかと思って
小さな窓から顔を出して
辺りを見回してみました。
しかし 外には誰も居ません。
麦太郎は 空耳だと思い、
トイレを出ようとしました。
ところが また 声が聞こえてくるのです。
「無念じゃ・・・」
語尾は聞き取れないんですが 確かに声がします。
麦太郎は 怖くなってきました。
頭の一番てっぺんにある毛穴に向かって
血が逆流していくような気分です。
『誰かソコに居るのですか?』なんて 聞けません。
聞いたトコロで 『はい、ここに居ますよ』なんて
ワケの分からないモノが現れた日にゃ
麦太郎は失神してしまうでしょう。
トイレは済ませておいたので
失禁の可能性は低いでしょうが。
麦太郎は そ〜っと その場を去るコトにしました。
しかし 足がすくんで動けません。
その時です!!
ガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガっ
窓がガタガタ鳴り響きましたっ
誰かが外から トイレの小窓を
開けようとしているみたいですっ
『しまった! さっき外を覗いたせいで
小窓に鍵は かかってなかった!!』
・・・・・がらり・・・・・
とうとう小窓が 開けられてしまいました。
そして そこから顔を出したのは
頭に矢の刺さった落ち武者の蒼白い顔・・・・
しかし 麦太郎は
さほど怖くはありませんでした。
だってその落ち武者、
体長が20cmくらいのミニサイズだったんですもの。
「うむ・・・やはり怖がらぬか・・・」
落ち武者の霊は 怖がられないコトには
もう慣れっこなんでしょう。
ちょっと寂しそうに そう言いました。
「拙者が現れても 誰も怖がってくれぬ。
今回は 頭に矢まで刺しての
登場であったのに・・・・」
「怖がらせたいんなら
もっと大きくなった方がいいですよ」
「いかにも。
拙者も大きくなりたいのは山々でござるが
何故か この大きさのままなのでござるよ」
「牛乳を飲めば 大きくなれるんじゃないですか?」
「むうっ! 牛の乳となっ!!」
そういう問題じゃないってコトは 百も承知の麦太郎でしたが
落ち武者の寂しげな表情が 一転して明るくなったのを見て
『言ってみて 良かったな』と 思いました。
落ち武者は 「かたじけない 麦太郎殿」と言い残し
ガチャンガチャンと 鎧の音を響かせて 去って行きました。
今度来るときは 大きくなった姿を見たいな・・・
なーんて、田舎のお婆ちゃんのような
独り言を呟いてしまった 麦太郎でした。
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