No.11--------→ 桜の木の下の幸せ 〜なんちゃん編〜



桜の花が咲き始めました。

麦太郎は 柘榴さんと牡蛎さんを連れて

お花見に行ったんです。

あったかい春風がそよいでいる ポカポカ陽気。

早速 敷物をひいてお弁当をひろげました。

牡蛎さんは大喜びで 目がキラキラ光ってます。

柘榴さんの方は すでに

一杯ひっかけていて

ちょっとほろ酔い気分でした。



みんなで「いただきます」をしようとしたその時、

敷物の隅っこの方から視線を感じました。

チラッと見てみると そこには

バブバブの赤ちゃんがニコニコ笑ってました。


「バブー バブー」


赤ちゃんは お弁当に
熱い視線を送っています。

だから麦太郎は 赤ちゃんを膝に座らせて

一緒にお弁当を食べるコトにしました。

すると今度は 小さな男の子がやってきました。

男の子は 赤ちゃんを見るやいなや


「ここにいたよぉ〜〜〜〜」


と、大きな声で 遠くにいる数人に言いました。

どうやらこの赤ちゃんは 迷子になっていたようです。

この赤ちゃんの家族と思われる人物が やって来ました。


「あらあら、お邪魔しちゃって ごめんなさいねっ」

 赤ちゃんのお母さんが 元気にそう言いました。


「うみゅ・・・ 探したんだよ。 駄目じゃないか。」

赤ちゃんのお父さんが 物静かにそう言いました。


「でも見つかって良かったね」

「うん、良かった」

「良かった良かった」

赤ちゃんのお兄ちゃん達が 安心した様子で言いました。


「しんぱいしちゃったぁ」

赤ちゃんを見つけた小さな男の子も そう言いました。


お父さん、お母さん、4人のお兄ちゃん。そして赤ちゃん。

なんて子沢山な家族でしょう。

そう。 これがなんちゃんファミリーとの出逢いでした。


お父さんの名前は「なんちゃん」。

なんちゃんファミリーも お花見に来たそうです。

男の子が4人もいるので

お弁当の多さは半端じゃありません。

麦太郎たちは なんちゃんファミリーと

合流するコトにしました。

お母さんがお弁当を広げるや否や


いただきまーーーーーーーす


と、一斉に子供達が食べ始めました。

負けじと牡蛎さんも必死になって

お弁当を食べてます。

タコのウインナー、卵焼き、鶏の唐揚げ、

太巻き、おいなりさん・・・・・・

見る見るうちに減っていき、

あっと言う間に食べ尽くしてしまいました。


「あーーー お腹いっぱい」


その様子を お母さんがニコニコしながら見ています。

赤ちゃんは 牡蛎さんの横で ウトウトしてます。

なんちゃんは 柘榴さんとお酒と飲んでます。

お腹一杯になった子供達は

ワラワラと散らばっていき、

ボールで遊んだり かけっこをしています。

麦太郎は なんだかとても幸せな気持ちになりました。

とっても平和な昼下がりでした。


そんな時 事件は起こりました。

なんちゃんが鞄から ノートパソコンを

取り出したのがきっかけです。

それを見たお母さんが 怒りだしたんです。


「お父さん!

 こんな所に来てまでPCをする気なのっ?!」


「うみゅ・・・ ちょっとだけだよ」


どうやらなんちゃんというヒトは

もの凄くPCが好きみたいです。

お母さんの方は なんちゃんがPCをしていても

普段は気にも留めないらしいんですが、

さすがにここまで来て PCを出したとあっちゃぁ

ちょっと黙っていられなくなったみたいです。


「んもうっ!

 こんなに気持ちのいい場所で

 PCするなんて!」


「うみゅぅ・・・

 こんなに気持ちのいい場所だから

 いいんじゃないか」


どちらの言い分も 麦太郎は理解しました。

ふたりはとうとう 口ゲンカを始めてしまいました。

麦太郎はとても困ってしまい

なんとか仲裁しようと思いました。

すると柘榴さんが、


「にゃにゃにゃにゃっ」
(あかん あかん、麦太郎はん)


と、麦太郎に言いました。


「にゃにゃにゃ にゃごにゃご」
 (夫婦喧嘩は犬も喰わないゆうてな、
             放っときゃええねん)


「そ・・・そんなコト言っても・・・」


「にゃにゃにゃん」
(今に収まるさかい よう見とき)


遠くで 子供達が楽しそうに遊んでいます。

あの子達がコッチに来る前に

何とかケンカを止めたい麦太郎でした。


すると・・・・


赤ちゃんが眠りから覚めて

シクシク泣き出しました。

それに気付いたなんちゃんとお母さんは


「よしよし、起きたのねぇ。」


「うみゅ 恐い夢でも見たのかな」


と、赤ちゃんを交互に抱っこしました。

すると赤ちゃんは安心したように

そのまま眠ってしまいました。

お母さんは 赤ちゃんが起きないように小さな声で

「そういえば 昔、同じ様なコトがあったわねぇ」

と、クスクス笑いました。

「うみゅ。そういえばあったね」

なんちゃんもつられて クスクス笑いました。

そしてふたりは昔の出来事を

小さな小さな声で語り始めました。

赤ちゃんが起きないように、

小さな小さな声で。


どうやらふたりは 仲直りしたみたいです。


「にゃんにゃご」
(ほーら、言った通りやろ?) 


柘榴さんが
得意顔で麦太郎に呟きました。

その顔が あまりにも
憎たらしい顔だったので、

麦太郎は

くそっ・・・柘榴め・・・

と 心の中で思いました。



日が暮れかかった頃、

麦太郎は なんちゃんファミリーに別れを告げ

テクテクと桜並木を歩いて帰りました。

とっても素敵なお花見でした。

また来年も なんちゃんファミリーと一緒に

お花見がしたいな。


麦太郎のお友達、なんちゃんのお話でした。