No.12--------→ 主の好物? 〜AZさん編〜 *



ある日 目が覚めると
ナント麦太郎の左足が無くなっていました。
麦太郎には覚えが全くありません。
一体どうしたんでしょうか?
とにかく 無くなった左足を探そうと
麦太郎は外に出ました。

朝もやが辺りを包んでいます。
ちょっと寒いけれど
逆立ちしながら麦太郎は左足を探していました。
そこへ一人の少女がやってきました。

「朝っぱらから どして逆立ちしてるのさ?」

少女は不思議顔で訪ねました。
ワケを話すと その少女は麦太郎に同情して
麦太郎の左足を一緒に探してくれました。
少女の名前は AZ(アズ)さん。
AZさんと 逆立ちの麦太郎は
そのまま北に向かって歩き出しました。

しばらく行くと 大きな沼にぶつかりました。
沼には「沼の主」がいるので 麦太郎はビビりましたが、
AZさんは平気そうな顔で 片足を探してました。
そこへ「沼の主」が どばぁーっと現れたんですよ。
山のように大きなカラダの 沼の主です。

「なにしてるー」

沼の主は これまた大きな声で
麦太郎たちに聞きました。

「麦太郎くんの片足をさがしてるんだよー
アンタ、知らない?」

物怖じもせず AZさんは
沼の主に思いっきりためグチで聞きました。
麦太郎はドキドキしました。

「あー しってるよー
ひだりのあしだろー
きのう みつけたよー」


「ドコにあるのさー? 返してよー」

『嗚呼・・・AZさん・・・
そんな言葉遣いでは 主に反感を買うよ・・・』
と 麦太郎は焦りまくりました。
ドキドキしてた心臓は もはやバクバクと脈打ち
目は充血し 息づかいも荒くなっていきました。

すると主は 突然大きな口を開けたのです。

『はうっ 食われるっ』

麦太郎は観念しました。
数々の記憶が 走馬燈のように
クルクルとアタマの中をよぎりました。

「ここぉー
ここに引っかかってるのー」


そう言った主の口の中には 麦太郎の左足がありました。
AZさんは 主の口の中に入って 左足を取ってきました。

「あーりーがーとぉー
スッキリしたよー」


「もう麦太郎くんの足なんか食べたら駄目だよー」

「ごめんねー 麦太郎くんー」

そして主は 沼へと消えていきました。
麦太郎は いまだ興奮冷めやらぬ状態でしたが
なんとか体勢を整え、AZさんにお礼を言いました。

「AZさん どうもありがとう
AZさんは勇気がありますね」

するとAZさんは

「あー あれ、アタシの
トモダチだよ」

あらーー AZさんの友達だったようです。
AZさんって方は 見かけによらず、
随分と怖い系のお友達がいるようです。

戻ってきた 麦太郎の左足には
主のモノとみられる 大きな歯形がクッキリついてました。
麦太郎は ちょっとムッとしてしまいました。
だって みっともないんですもの。
ところがAZさんは それを見て、

「おっ 麦太郎くん カッコいいねー
タトゥーみたいだよ」

と、ニヤリと笑いました。


・・・そして麦太郎は考えました。
見方を変えると みっともないモノでも
カッコ良くなるんだなぁー と。

そして こうも思いました。
「見かけによらず」というのは
ちょっと失礼な考えだな・・・と。

さっきの主だって 見かけは怖いかもしれないけれど
本当はとても優しいのかもしれません。
怖い顔をしているから とか
口調がキツいから とか
そんなコトで 性格を決めつけるのは良くないコトだなー と、
麦太郎は考えながら 左足をモモの付け根にくっつけてました。
沼の主と友達のAZさん。
ちょっと羨ましく思ったりもしました。

「足が戻ってきて良かったねぇ 麦太郎くん」

「うん ありがとう AZさん」

無事に左足が戻ってきた麦太郎は
AZさんに別れを告げて 家路につきました。
牡蛎さんが 寝ぼけまなこで迎えてくれました。
柘榴さんは ソファーで爆睡中のようです。
朝ご飯のときにでも 今日の冒険の話をしてみましょう。


そして次の日。
麦太郎の腕は 筋肉痛でカチンコチンになってました。
逆立ちのし過ぎですよ、麦太郎。

麦太郎のお友達 AZさんのお話しでした。